11月17日 キャッチ!
ブラジル人がこよなく愛する酒“カシャーサ”。
その楽しみ方はさまざまだが
柑橘系の果物を入れたカクテルが人気である。
ライムにたっぷりの砂糖
そこにカシャーサを注ぎ込むと
日本でもおなじみの“カイピリーニャ(かわいい田舎娘”のでき上がりである。
カシャーサの特徴は
ブラジルの大地の栄養を十分に吸ったサトウキビの独特の風味と
喉に残る苦味。
その野性味あふれる味を
ブラジルのライムやリンゴなどの果物
そしてミントの葉の香りとともに楽しむ。
同じ蒸留酒のウイスキーやテキーラなどと比べると世界にはあまり知られていない。
そこでブラジル政府はカシャーサを国際的なブランドに育て上げようと
2009年にカシャーサの定義を決めた。
国内でサトウキビを使って作られるアルコール度数が38~48度の蒸留酒だけに
その名を使えることにした。
しかし世界的に知名度を上げるのはまだまだこれからである。
(カシャーサ販促団体 カルロス・リマさん)
「海外で消費される余地は大いにあります。
政府にはもっとPRしてほしいです。」
ブラジルに渡ったポルトガル人が持ち込んだサトウキビで最初に作られたと言われるカシャーサ。
地元では今年を誕生500年の節目の年と考えている。
この記念の年に合わせて愛好家は小規模ながら独自にカシャーサ作りに励んでいて
なかには熟成を重ね芳醇な香りに挑戦する愛好家もいる。
サンパウロ郊外に住むウィリー・ジルさん(70)。
もともと法律関係の仕事に従事していたが
60歳になったのを契機に「自分が愛する酒を追求したい」と一念発起。
カシャーサ製造の工房を作った。
手作りには独特の個性が出ると自慢する。
(カシャーサ工房経営 ウィリー・ジルさん)
「私のカシャーサを皆が味わい満足してくれるのが一番の喜びです。」
手作りの魅力は作業の丁寧さである。
ジルさんが原料に使うのは自分の畑で育てた無農薬のサトウキビだけ。
また発酵させる際にも大規模工場で使うような化学酵母は使わない。
(カシャーサ工房経営 ウィリー・ジルさん)
「私たちの酵母はサトウキビ汁から抽出します。」
ジルさんは酵母の抽出だけに10日間もかかる手間を惜しまない。
ジルさんが最もこだわるのは「黄金」と名付けられた銘柄である。
ブラジルの国を代表する3種類の木で作った樽で熟成させ
それぞれを絶妙な配合でブレンドしている。
不純物が入っていないか
1本1本自らが確認をする。
ジルさんのカシャーサには愛情とこだわりが溶け込んでいる。
ジルさんの工房は話題となり
連日のように工房見学者が訪れる。
(観光客)
「とても愛情を込めているのが印象的でした。」
「お土産用にたくさん買いました。」
ジルさんはこれからも手作りのカシャーサを素晴らしさを伝え続けたいと話している。
(カシャーサ工房経営 ウィリー・ジルさん)
「私の夢はカシャーサが世界的に有名になることです。
私の造ったカシャーサも貢献できればいいと思います。」