11月14日 国際報道2016
北極圏に接する島国アイスランドは
電力の3割
エネルギー全体の7割を地熱が占める地熱大国である。
いまこの地熱を使って意外な産業が生まれようとしている。
アイスランドの一大観光地ブルーラグーン。
5,000㎡にわたって広がる露天風呂。
美肌効果があると評判で年間100万人の観光客が訪れ
地元経済を支えている。
泉源は地熱発電所。
地中2000mから吹きだす蒸気と熱水のうち
蒸気を発電に使い
熱水を露天風呂に使っている。
さらに発電所から出た熱水はパイプラインを通じて
近隣の2万5,000世帯に暖房用として送られている。
石油を使った暖房と比べると費用は4分の1。
アイスランドの家庭の9割以上で活用されている。
(住民)
「とても安いので助かります。」
熱水は野菜の栽培にも。
室温は24度に保たれ1年中トマトを育てることができる。
温室内にカフェを設置して観光客も呼び込んでいる。
(温室運営会社 マーケティング責任者)
「熱水 地熱 電気 自然は多大な恩恵をもたらしてくれます。」
アイスランドが地熱の活用に転じたのは1970年代。
石油危機をきっかけに
国産エネルギーとして巨額の補助金を出し地熱発電所の建設を推し進めてきた。
長い年月をかけて根付いた地熱発電がいま新たな産業を生み出している。
首都レイキャビク近郊に4年前に建設されたデータセンター。
BMWなど多くの企業がここを活用しているという。
データセンターでは常にコンピューターを動かし続けなければならず
多額の電気代がかかるが
アイスランドの電気代はヨーロッパ平均の4分の1。
(データセンター薫英企業 共同創業者 アイザック・カトウ氏)
「外から冷気が入り込みコンピューターを冷やします。」
さらにアイスランドは夏場でも平均気温が10度程度。
一般的なデータセンターでは電気代の3割から5割を占める冷却コストがかからない。
世界で流通するデータ量が急増しIT関連の消費電力が拡大するなか
温暖化の防止にも役立つとして急成長。
今後のアイスランドの主要産業として政府からも期待されている。
(データセンター運営企業同創業者 アイザック・カトウ氏)
「コンプーターやデータへの需要は増加の一途をたどっている。
世界のデータセンター産業を変革し
その大半をアイスランドに持ってきたい。」
国民の生活から産業まで地熱を最大限活用しようというアイスランド。
自然との共生が国の競争力を高めるカギになっている。