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活動的「隠居」

2018-09-01 07:00:00 | 編集手帳

8月16日 編集手帳

 

 ユニークな語釈で知られる三省堂「新明解国語辞典」で、
この字句を引くと少し明るい気持ちになれる。
【隠居】
<仕事や生計の責任者であることをやめ、
 好きな事をして暮らすこと>

他の辞書のように「静かに暮らす」などとは書いてはいない。
どこか活動的で開放的なご隠居像がよぎる。
瀬戸内海の島発のニュースに思い浮かべた。
どこからともなく現れた78歳の男性が、
行方不明の男の子を山中から見つけ出した。

山口県周防大島町の親戚宅に来ていた藤本理稀(よしき)ちゃん(2)が三日三晩を外で過ごしながら、無事な状態で保護された。
沢の石に座り込んでいたらしい。

その理稀ちゃんを、
バスタオルにくるみ山から下りてきたのは大分在住の尾畠春夫さん。
本紙の取材によれば、
捜索難航の報を聞いて駆けつけたという。
65歳で魚屋を引退したあとは「世の中に恩返しがしたい」と、
新潟県中越沖地震や東日本大震災でボランティアをしてきた。
つい先日まで広島で家の泥出しを手伝い、
大分に帰ったばかりだった。

元魚屋のご隠居は人助けが<好きなこと>なのだろう。
はつらつとした老後を過ごされている。


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