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中国 “化学強国” その実態は

2018-09-18 07:00:00 | 報道/ニュース

8月27日 国際報道2018


国別に見た論文数のランキング(科学技術指標2018)
2014~2016
1位 アメリカ
2位 中国
3位 ドイツ
4位 日本
5位 イギリス
論文の品用数(科学技術指標2018)
2004~2006
1位 アメリカ
2位 イギリス
3位 ドイツ
4位 日本
5位 中国
2014~2016
1位 アメリカ
2位 中国
3位 イギリス
9位 日本

上海から車で2時間の江蘇省のビル。
ビルの中にあるのはスーパーコンピューター 神威 太湖之光である。
国と大学が共同で開発したこのスーパーコンピューター。
計算速度に関する世界ランキングで
今年6月まで2年間 世界1位の座を保ってきた。
この装置を使って地球の気候変動の予測などに役立てる。
いまやスーパーコンピューターの開発において中国は世界をけん引している。
国をあげて科学の強化に力を入れる中国。
(中国 習近平国家主席)
「科学技術強国を目指す。」
大学と企業などが投じた研究開発費は右肩上がり。
年間45兆円に達し
1位のアメリカに迫る勢いである。
こうした豊富な研究資金をもとに世界をリードする分野も出てきている。
中国科学技術大学の潘建偉教授。
量子通信の世界的権威で
去年 イギリスの科学誌・ネイチャーが選ぶ「今年の科学者10人」にも選出された。
量子通信は
「光子」と呼ばれる光の粒に情報を乗せて送る新たな通信技術である。
第3者が情報を解読しようとすると
光の粒の性質が変わり探知できるため
ハッキングに強いのが特徴である。
サイバーテロなどに備える“次世代の通信技術”として世界で開発競争が続いている。
潘教授のグループは人工衛星を介した量子通信の実験のため
一昨年 開発費100億円ともいわれる人工衛星を打ち上げた。
そして世界で初めて
人工衛星と地上との間 約1,200キロの距離で量子通信に成功したのである。
世界をリードする研究成果は国の支援が欠かせなかったと言う。
(量子通信の世界的権威 潘建偉教授)
「中国政府は数十年にわたって基礎科学の研究を支援してくれています。
 中国の研究チームのレゲルが上がり
 われわれも目標を達成することができました。」
数年以内にも次の人工衛星を打ち上げる計画で
装置の開発を進めている。
(量子通信の世界的権威 潘建偉教授)
「われわれの次世代の衛星は
 一部の量子通信を可能にします。
 量子通信の分野でわれわれは世界のけん引役であり続けたいです。」
中国の科学の躍進を支えているのが海外で実績を積んだ中国人研究者たちである。
上海科技大学で免疫機能と癌の研究を行っている 王教授。
3年前までアメリカで研究生活をおくっていたが
海外の研究者を好待遇で中国の呼び寄せる政府のプログラムに応募し
中国に戻ってきた。
「千人計画」と呼ばれるこの制度。
政府は多くの研究者に移住資金として1,000万円以上を支給し
それまで以上の給与も約束。
この10年間に7,000人以上の研究者を集めたと言われてる。
アメリカの「サイエンス」などの一流紙に論文を発表してきた王教授。
アメリカと比べてみても中国の研究環境には満足していると言う。
(上海科技大学 王教授)
「アメリカはたしかに進んでいますが
 そのトレンドは変わりつつあります。
 中国の研究グループは多くの分野で急速に力をつけています。」
恵まれた研究環境に惹かれる外国人も増えている。
中国の名門 復旦大学の服部素之教授(36)。
日本でたんぱく質の構造などを研究してきた服部さんが
「千人計画」に応募し中国に来たのは3年前。
30代前半だったが
大学からは教授職と5年間で1億円以上の研究費を提供された。
個人では手が出ない高額な実験装置も
大学側が国内の研究者向けの共同機器として購入。
その分の研究費を学生の経済支援などに充てることができ
日本では考えられない好条件だと言う。
(復旦大学 服部素之教授)
「日本だと私の前の研究室の同僚で私よりも研究実績がある人でも
 研究室をまだ持てないという状況の人がたくさんいるので
 日本だとほぼ不可能な環境なので
 その点はすごく感謝してます。」
国が旗振り役となった大学の研究開発はばく大な富をも生み出そうとしている。
ロボットに使われている音声認識機能。
精度は98%と世界トップクラスである。
開発したのは大学で音声認識技術を研究していた学生らが起ち上げた大手ベンチャー企業である。
設立から約20年で売り上げは800億円を超えている。
中国ではこうした“大学発”の企業を増やす仕組みが作られている。
“中国のMIT”と呼ばれる理系のトップ大学 清華大学。
大学をあげてベンチャー企業の育成に取り組んでいる。
起業を目指す学生や研究者には投資会社を紹介するほか
格安のオフィスも提供。
これまでに入居した企業は5,000社を超える。
清華大学の支援を受けて設立された企業である。
植物の生育を管理するシステムを商品化し年々売り上げを伸ばしている。
アプリを通して簡単に植物の健康状態を把握できるのが特徴である。
(ネイフューチャー 石俊峰CEO)
「大学側の資金面でのサポートのおかげでアイデアを商品化できました。」
清華大学傘下の企業の総資産額は日本円で3兆円を超えるまでになった。
企業が得た資金は大学側の研究費にも還元されている。
科学政策の立案にかかわる専門家は
中国が科学に力を入れる方針は今後も変わらないと言う。
(中国科学院 教授)
「経済成長に科学技術は不可欠です。
 成長の原動力である科学技術に今後も投資を増やしていきます。」

 

 

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