9月11日 キャッチ!ワールドEYES
去年 日本で難民認定申請数は19,000人余と過去最高となったが
その中で特に増えたのが東南アジアからの人たちである。
インドネシアからは2,000人余の人が申請し
そのほとんどが就労目的だとみられている。
こうした事情の裏にはそれを斡旋する業者がいると見られ
時には詐欺にあうケースもある。
インドネシアの首都ジャカルタから車で2時間ほどの町。
去年 働くために日本に渡り強制送還になったドゥクロンさんは
この町で塗装業を営んでいる。
夜には屋台も営んでいるが収入は月にわずか約1万円。
一緒に住んでいるのは娘と父親で
妻はより良い収入を求めて台湾に出稼ぎに出ている。
ドゥクロンさんも家族のために海外で働きたいと思っていた。
そうしたなか日本で働けるチャンスがあると聞き
一昨年 知り合いが運営する研修施設に通い始めた。
(ドゥクロンさん)
「私はここで3か月間一生懸命に勉強して
結局だまされてしまいました。」
この施設は政府から認可を受け日本で働いた経験のある男性が運営。
ドゥクロンさんはここで日本語や日本の習慣を学んだ。
施設に通い始めて数か月後のある日
インドネシア人4人と“たけし”と名乗る日本人が訪ねてきた。
男たちは日本企業からの紹介状を見せながら
正規の就労ビザを取得して働ける仕事を紹介できると研修生たちに説明した。
ドゥクロンさんは簡単な面接を受け
数日後 日本で働けることになったと告げられたと言う。
(ドゥクロンさん)
「日本では月給38万円がもらえると言われたのです。
日本人と会えたので将来は日本で働けると信じました。」
男たちはビザを取得するためだとして
ドゥクロンさんの中学校の卒業証明書や収入を証明するための書類を偽造。
観光ビザで日本に入国し正式な就労ビザが取得できると説明した。
ドゥクロンさんはこうした書類の手数料や渡航の費用など
約70万円を親類に借金をして支払い
去年2月 日本へ向かったのである。
しかし日本到着後の入国審査で
男たちから渡されたホテルの予約証明書が偽造されたものだったことが発覚し
強制送還されてしまったのである。
一緒に日本に渡った友人の中には入国できた人もいたが
入国後 説明にはなかった難民申請をさせられたと言う。
日本国内で難民の申請をすると
半年後に一律で就労可能な在留資格が与えられるという
去年までに制度を利用したものと考えられる。
正規の就労ビザを取得できるという話を信じたドゥクロンさんはだまされていたのである。
(ドゥクロンさん)
「難民ビザなんて全く望んでいませんでした。
難民ビザは紛争中の国や迫害された人たちのものです。」
ドゥクロンさんは同じように強制送還された友人たちと共に
研修施設の代表や仕事を紹介すると話した男らを警察に訴え
このうち3人は詐欺の罪で起訴された。
3人は逃走している別の男が主犯格だとして
詳しいことは知らないとする一方
ドゥクロンさんたちに付き添って日本に渡航した男は
日本での難民申請の手続きには日本人が協力していたことを明らかにした。
(起訴された仲介業者)
「主犯格の男が電話で指示し
弁護士がビザの手続きをすると言われました。
その弁護士はビザの手続き費用のために20万円が必要だと言ったのです。」
判決当日
(裁判長)
「インドネシア人を日本に派遣する過程で
被告は1人あたり約45万円を受け取った。」
今年5月 男3人に禁固3年半の実刑判決が言い渡された。
しかし主犯格の男やドゥクロンさんを面接した“たけし”という日本人の行方はいまだにわかっていない。
日本で働くことを夢見たドゥクロンさん。
後には借金だけが残った。
(ドゥクロンさん)
「とても失望しています。
研修施設の人やビザの手続きをした人に私はだまされたのです。
お金を返してほしいです。」