9月3日 経済フロントライン
車いすバスケットボールが盛んな国の1つ ドイツ。
2部制の全国リーグは
24のチームが競い合っている。
チケットは11ユーロ(約1,300円)。
会場が観客で埋まる試合も少なくない。
車いすバスケの魅力は激しいぶつかり合い。
そしてその独特のルールにある。
出場する5人の選手には
それぞれ障害の程度によって持ち点(1~4,5点)が設定されている。
点数は障害が軽いほど高く
重いほど低くなる。
5人の合計点を14点以内にしてチームを結成しなければならない。
攻撃的な場面
守備的な場面によって
14点以内の選手を入れ替える。
その戦術を楽しむのである。
車いすバスケが競技スポーツとして根付いているドイツ。
ドイル車椅子スポーツ連盟理事で
自らのチームの事務局長を務めるアンドレアス・ヨネクさん。
「他の協議と同様
プロスポーツとして市場化すれば
“楽しめる競技”として人々に受け入れられるのです。」
チームのプロ化が進んだのは2000年。
それまで各チームにはスポーツクラブのようなチームしかなかった。
連盟が目指したのは
各チームが独立採算を自立することだった。
まず始めたのが競技の魅力を広めるためのイメージ戦略。
会場で配る冊子には選手の個人ストーリーなどを掲載。
通りに面した壁には選手のかっこいい写真を飾った。
さらに各チームが地元の商店や病院の呼びかけで運営資金を募った。
しだいに地域の人たちが試合会場に足を運ぶようになり
なかには大手のスポンサーがつくチームも現れるようになったのである。
(ドイツ車椅子スポーツ連盟理事 アンドレアス・ヨネクさん)
「今では試合の1時間以上前から
お客さんが列になって入ってきます。
そして2,000人もの人が私たちにスタンディングオベーションをしてくれます。」
ヨネクさんのチームの年間収入は約75万ユーロ(約8,700万円)。
そのうちスポンサー収入が85%である。
独立採算のカギはスポンサーをいかに獲得するかにかかっている。
今ではインターネットによる試合の配信も行われるようになった。
選手のレベルが上がり
それが観客をさらに呼び込むという好循環につながっている。
一方の日本。
各地にチームがあるが
ほとんどがスポーツクラブのような団体である。
公式戦では観客はまばら。
入場料はどの試合も無料である。
チームの運営費は選手の個人負担で賄っているのが現状である。
東京パラリンピックを目指して日本の競技団体も動き始めている。
8月下旬
日本車椅子バスケットボール連盟に役員が集まって会議が開かれた。
競技としての魅力を広く知ってもらうために
ドイツのようなトップリーグの創設に乗り出したのである。
「システムを作っていかないと。」
「だからやらなきゃいけない トップリーグを。」
(日本車椅子バスケットボール連盟 専務理事 小瀧修さん)
「やっとスポーツとして認知されるような状況になってきている。
2020年に向けて観客動員を頑張っていきたい。」
各チームでは独立採算に向けて
独自に資金を集める取り組みがスタートしている。
群馬マジック(関東車椅子バスケットボール連盟)で
選手をしながら監督をしている 高橋俊一郎さん。
地域の企業に試合会場に足を運んでもらい
資金面での協力を得ようと働きかけている。
(ネッツトヨタ湘南 専務取締役 渡邊善憲さん)
「今日初めてです。
こんなに激しいスポーツなのかと思った。」
地道な努力が実り
支援を申し出る企業も徐々に現れてきている。
(群馬マジック 監督 高橋俊一郎さん)
「僕たちもできることは一緒にやりながら
企業と一緒にタイアップしながらやれたらと思う。」