箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

努力は希望につながる

2019年10月03日 08時46分00秒 | 教育・子育てあれこれ









10月に入り、消費税が10%に引き上げられました。

9月のある日、車の販売店を訪問しましたが、接客テーブルは満杯で、商談が進んでいるようでした。

車のような高価な買い物は税率が2%ちがうだけでも、かなりの出費を抑えることができます。

そんな高価な買い物でなくても、電車の定期券売り場はかけこみの購入者が9月末に列を作っていました。

また、ス―パーではトイレットペーパー・ティシュペーパーの買い込みなど、少しでも出費を抑えようとする人が多くいました。

1973年のオイルショック時を思い起こしました。

あの当時は、「石油がなくなる→トイレットペーパーがなくなる」というデマというか風評に人々が煽動されて、多くの人が買い占めしようと躍起になり、店頭からはトイレットペーパーが消えました。

その時代とは違い、いまは消費者も情報を吟味して賢明に考えます。

一般の消費者は、少しでも出費が抑えたいと思い、税率の低い間に、並んででも買っておこうとするのです。

中学1年のときの国語の教科書で習い、いまでも鮮明に覚えている言葉があります。それは、「生活の知恵」という語句です。

国語の先生が「生活の知恵にあたる具体的な例には、どんなことがあるでしょうか?」と問いました。

クラスメートの一人が「家計簿をつけること」と答えました。

その通りです。消費者が少しでも高い品物の購入を抑え、出費を節約して過ごしたいという気持ちは、あれから半世紀ほどたっても変わらないのです。

それが庶民感覚というものなのかもしれません。庶民は少しでも出費を抑えようという当然で、自然な感覚をもっています。

それは、人々が行う「努力」の一つなのです。

だから、今回のような「駆け込み購入」を誰もが批判することなどできません。それは人々の涙ぐましい努力なのです。

さて、私は、「努力」についてしばしば生徒たちに言っていました。

「努力は無限大の可能性を開く」とか「努力は成功を保証しないが、成長を保証する」などです。

きょうは、消費税10%前の「駆け込み購入」にあわせて、次の言葉をお示しします。

努力している人は希望を語るが、怠けている人は不満を語る。

努力している人は、「明日が少しでもよい日になればいいね」という切なる、またはほのかな願いをもっているのです。

しかし、消費税引き上げに納得できない人、誰かのせいにしている人は、「勝手にきめて」と不満に思うだけです。

ひるがえって、中学生も同じです。

少しでも成績を上げたいので学習に努力している生徒や部活でうまくなりたいと努力している生徒は、不満など言いません。希望をもっているからです。

しかし、怠けている生徒は、多くの場合、誰かのせいだとか外的要因に不満をこぼすことが多々あるものです。

「先生の教え方がまずいから」「ちょっとうまいからって、自分だけがいい子になって・・・」など他者のせいにすることが往々にしてあります。

先行き不透明で、これから将来の生活に不安を感じやすい、今という時代だからこそ、中学生には希望を語る大人になってほしいと願います。