箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

環境問題を身近に感じるいま

2022年01月29日 08時57分00秒 | 教育・子育てあれこれ


私は大阪の北部の緑多い地域で生を享(う)け、ずっとそのふるさとに住み続けているので、この約50年の自然環境の変化は身をもって感じています。

満点の星が見えにくくなった。
雪があまり積もらなくなった。
車の騒音が大きくなった。

このような自然環境の変化を肌で感じます。




いみじくも、今年2022年は、「ストックホルム会議」(国連人間環境会議 1972年)から同じく50年が経ちます。

そのときすでに環境の問題が提起されていました。

「環境問題は人類共通の課題」と打ち出されました。

また、石油資源はいずれ枯渇すると警鐘を鳴らしていました。

しかし、当時はインドやブラジルなどの途上国を近代化して経済成長をさせるという課題があり、環境保護を全面的に押し出す状況にはなりませんでした。

その後、1990年が近づく頃に世界的な気候変動が認識されだした1992年の「地球サミット」(国連環境開発会議)では、環境保護が世界で取り組む環境問題の課題として提案されました。

しかし、ソ連が新体制に移る時期で、資本主義を世界中に広げるという流れが主流でした。

その結果、経済成長を資本主義拡大路線で実現しながら、環境問題も貧困問題も解決していくという潮流に世界の国々は飲み込まれていきました。


つまり、この50年間は、環境保護よりも開発優先を続けるというベクトルが働き続けていたのです。

この50年間を反省することなく、今回SDGs(持続可能な開発目標)が世界的に進められようとしています。

SDGsを進めていくのは必要不可欠ですが、この50年間に気候変動が深刻化し、動物や植物が受けた被害を思うと、あまりにも大きな代償を払ってきたと思います。

今では線状降水帯やスーパー台風、竜巻、サンゴの死滅など,多くの人びとが環境問題を身近に感じるようになりました。

新型コロナウイルスの大流行も、科学者はその背景に無秩序な自然破壊、森林伐採をあげています。

いまや世界でのいちばん最新の考えは、成長を追い求める資本主義からの脱却です。

しかし、日本はまだ火力発電や原子力発電にたよる議論をしています。

新型コロナウイルス対策でも、早く終息させ、経済を立て直すという成長追求の議論が中心です。

でもいまは昭和のように経済成長を追い求める時代ではないのです。

コロナ渦ではさまざまな面で私たちは、「不自由」な生活を強いられています。

「早く前のように戻ってほしい」と私たちは言いますが、もう前のようにまったく同じに戻ることはないと、わたしは思います。

外出を控えること、困っている人には補助金や給付金、医療従事者を尊重する機運、ひとり親家庭(母子家庭)が受ける大きな生活苦の認識が深まるなど・・・。

十分ではないにしろ緊急の事態のとき、わたしたちは生活様式や考え方を変えるチャンスを受けとりました。

ある程度の生活ができればそれでいいという考え方の中で、「成長」ではない、あたらしい生き方を探していき、そのなかにしあわせを感じる社会の時代がもうそこまでやってきています。


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