箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

教えて導くだけではない

2020年08月15日 06時08分00秒 | 教育・子育てあれこれ
生徒により個人差はありますが、生徒の中には、深い悩みや心の揺れを感じながら生活している子もいます。

どの子も、程度のちがいはあれ、多かれ少なかれ気持ちが揺れるのです。

自分を過小評価して、恥ずかしがり屋で、「自分はとるに足らない存在」と思い、一度は自信を見失う時期でもあります。


悩みを抱える生徒と話すことがあります。

人は自分の心にある悩みや困りごとを誰かに話したり、打ち明けたりすることでホッとして救われた気持ちになることがあります。

受ける教師は職務上、なにか解決方法をしめさなければならないと思いがちです。

でも、別に解決してもらわなくてもいい、何かアドバイスをしたからなくてもいい、ただ話を聴いてくれるだけでいいという場合が多いようです。

私の話を聴いてくれたということで、自分が存在していることを確かめることができ、ズッシリと重かった心が、少し軽くなることがあるのです。

思っているだけでなく、言葉にして話すことで、自分自身の耳でその言葉を聞き、混乱していた心が整理されることがあります。

また、「ああ、これが私の悩んでいたことだったのか」と客観的に眺めることができる場合もあります。

「聴いてくれる」には以上のような効果があるのですが、それ以上に、誰かが一人でも、自分の話に真剣な耳を傾けてくれたことに喜びが生まれるのです。

そして、自信をとりもどし、生きることへの勇気が生まれるのです。

この効果を、教師や親はもっと深く考えるべきだと思うのです。

もちろん、この通りにならないこともあるでしょう。

「どうしたらいいか、大人だったら言ってよ」となることもあるでしょう。

しかし、大人が教えて導くという考え方から、子ども本人の中にある回復力を引き出すとか、本人が気づくという付き合い方も、思春期の子にはとくに大切だと思うのです。


コメントを投稿