箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

学校の部活動って価値がない?

2022年06月14日 07時09分00秒 | 教育・子育てあれこれ
今、国が進めている中学校の部活動を地域に移行するという方針は、学校の教員(顧問)の働き方改革推進をベースにしています。

中学の場合、教員は顧問として土日も部活の練習に従事したり、他校との試合、大会に引率したりします。

それにより、教員の時間外勤務が膨れ上がっているという認識のもとに、土日の活動を地域の指導者、コーチに委ねるというものです。

しかしながら、本当にすべての運動部の活動を地域が担えるのかという点が不透明なままです。

すべての運動部を指導できる指導者やコーチが全国の各地域で見つかるのか。

さらに、その報酬にあてる財源は、自治体が確保できるのか。

もちろん国からの補助金が出るでしょが、現在では、その財源確保の見通しは立っていないです。

その点、公立中学校で部活を設ける従来のやり方は、すぐれた制度でした。

公立の義務教育の中学校は、「原則、無償」でどの地域でも、どの生徒にも公平に、ほぼ同等の部活動を保障できたのでした。

再度いいますが、今、学校の部活の地域移行は、働き方改革や少子化による部活の維持が困難になりつつあるという認識をベースに進められようとしています。

しかし、そのときの判断基準は、中学校の部活にはさほど大きな教育的価値がないというなかば定着した「合意」や考えが底流に流れています。

そして、現行の体制は維持できないので、地域移行が方針になっていりのです。

現行のの体制が維持できないところまでにきているので、地域へ移行させるのなら、具体的な移行の道すじを示すべきです。

最後は自治体任せ、丸投げにならないようにしなければなりません。

そうでないと、自治体による部活の整備状況に当然、差が生まれます。

そのとき、被害を受けるのは、生徒です。

教育は誰のためにあるのかと言えば、生徒のためにあります。

地域移行で、教員と生徒がいっしょに過ごす時間が減れば、教育的な効果が薄れていきます。


先日、大学3年生になり、教員を志望する卒業生と話しました。

彼女は中学校の部活経験をいま客観的に振り返ってみて、「いろいろあったけど、部活の先生が与えてくれた経験が、いまのわたしをかたちづくっている。わたしは、だから教職に就き部活指導もしたい」と話してくれました。

地域に部活を移行するには、移行の枠組みや地域差を生まないようにした上で、学校の部活動の教育的価値を削がないような改革が必要だと、わたしは思います。




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