箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

みんな懸命に働いている

2020年07月14日 06時42分00秒 | 教育・子育てあれこれ

東京をはじめ、関西でも、新型コロナウイルス感染者数が連日、増加傾向にあります。

感染者のうち、感染経路がわからない人が多いと聞き、いつどこで感染するかがわからないという不安が高まります。

緊急事態宣言が解除され、経済活動が徐々に感染防止に留意しながら再開されてきていますが、メディアは繰り返し、感染源に「夜の街」を取り上げます。

「夜の街が・・・」と一言に言いますが、夜の街関連の仕事や業種はさまざまです。本来、コンビニ、ファーストフードも夜遅くまで料理やお酒を出す飲食店、深夜スーパーなども夜に営業しているので、「夜の街」に含まれるはずです。

そのなかで、さらに悪の象徴のように、「接待を伴う飲食店」を繰り返し発言するのは、店舗構想上、感染者が多いだろうという理解はできますが、夜に働く人たちを公正に見ていないような偏見を感じるのは、私だけでしょうか。

「夜の街」という大くくりの言葉を使っておき、ぼやかしながら表現するのは、かえって聞く人の思い込みや偏見を助長するのでないかと思います。

ホスト、ホステス、風俗関連など、近距離での接待が問題だというなら、規制基準を明確にした措置をして、制限すればいい(もちろん補償をちゃんと手厚くしたうえで)。

それなのに、なにも手立てをすることなく、「夜の街の人ってよくないよね」と多くの人々から生まれる同調圧力で、営業をできなくしているかのように、わたしには思えます。

学校の子どもたちは、大人が「夜の街」へ行って感染してくると聞かされます。

「夜の街」って何なの? どんな人がいるの?など、疑問をもちます。

でも、みんな生きるために、一生懸命、ギリギリのところで働いているのです。その労働の本質を真っ先に子どもたちは学習しなければならないのです。
懸命に働いている人がいるところには、職業や仕事に「優れている/劣っている」などないのです。

なのに、意味ありげに「夜の街」とか「夜の街関連」と、責任ある立場の人が言い続けるのは、教育上いいことだとは思えません。

世の中の嗜好や人々の好み・流行に影響を受けやすく、安定した収入が確保しにくい職業に従事する人々に思いを馳せる責任者であってほしい。

責任のある人が言う発言は、それをもとにテレビや新聞、ツイッターなどのSNSで広報・拡散され、世論をかたちづくるのですから。


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