イヴの夜。月がきれいだった。
クリスマスにはサンタクロースが、
毎年とあるホテルのクリスマスディナーをプレゼントしてくれる。
これはその時のコンソメスープ。
魔法のスープだ。
なんとも言えない香り、色。
舞茸だけじゃない、複雑な味。
想像力をかきたてられた。
たったこれだけの液体に
こんなに豊かにさせられるなんて。
ものと違って、飲んだらなくなる。
でもそのあともずっと…
舌から私の記憶に刻まれる。
複雑で豊かな幸せ。
消えてなくなるからいいのかな?
絵とは逆だな。
食べてるとき、幸せです。
ところで、
もう何年も
サンタクロースはこのプレゼントを忘れたことはない。
人はだいたい気まぐれなものだし、
悪気がなくても口先だけになってしまうことが多いでしょ?
でも、私はこのサンタから有言実行がいかに大事かということを教わった。
妥協をしないということや、それと何より
「途中であきらめない」ということに関してはすごくうるさかった。
このサンタの頭脳はただものではない。
天才というのはこういう人のことを言うのだろうと思う。
美術の世界の人ではないが
私にとっては恩人である。
頭のいい人は、頭を使うのが楽しくてたまらないらしい。
だからどんどん頭が良くなる。
で、そのまま歳をとるので、
歳をとればとるほど、知の巨人になっていく。
こういう人に巡り会えて、なんて幸せだろうと思う反面、
彼らの世界に少しでもかすりたいなら
常に努力をしている彼らの(なんなら努力を楽しむ彼らの)、
その何百倍もの努力をしなくてはならないだろう。
来年はストイックに引きこもろうかな…。