Michiyo Kamei "Shape of life"いのちのかたち  

画家 亀井三千代 記
「身体曼荼羅」春画と解剖図
michiyokamei diary

骸骨の思い出

2011年07月06日 11時25分41秒 | 日記


もちろん作り物。

鼻腔の形が間違っている。

これは怪しいものではない。

渡辺一夫*という有名なフランス文学者がいるが、
その人は、父(故亀井龍夫)の師であった。

私は子どもの頃、
その先生の家に、よく連れて行かれた。

まだ記憶にある。
薄暗い、洋風の家。

何枚か油絵が飾ってあり、
印象に残っているのは

鉄格子の中に閉じ込められた、
泣き顔の人のたちの絵

そして、
ゴミだめの中に人の手足が埋もれている
恐ろしい風景画。
渡辺先生自身が描いたその絵のタイトルは『百花繚乱』
今は父の遺品である。

他にも
どこかの部族のミイラの生首の飾り物や
そして、この骸骨も渡辺先生の家にあったのだ。

幼い私は、先生にこの骨をねだった。

おそらくしぶしぶだっただろうが、
私はそれをゲットした。
子どもとは得ないきものである。

大人になって解剖学を学ぶなんて
その時は夢にも思わなかったが。


先日、父の遺品整理をした。

主に大量の本。

この骸骨は本棚にちょこんと在った。
そういえば、昔からそこにあったっけ。

本物よりも少し小さいその頭蓋を
両手で包んだら
父が吸っていたパイプのにおいとともに
懐かしい思い出が溢れてきた。

渡辺先生の写真も本棚に飾ってある。
昔、父がその先生の顔を
デッサンしていたのを思い出した。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%A1%E8%BE%BA%E4%B8%80%E5%A4%AB



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