「大統領の執事の涙」
人種差別の色濃い南部アメリカ。綿花畑で奴隷として働いていた家族、ある日、白人の主人に母親が乱暴され、父親が殺される。父親を失った主人公セシルに白人の老婆は「泣くんじゃない。お前は今日からハウスニガーをしなさい」と言い、厳しい綿花労働の仕事から給仕の仕事へと変わり、給仕の役割を叩きこまれる。やがて、成長し、巡り巡って、ホワイトハウスで執事をすることになる。息子たちは成長し、一人は人種差別撤廃運動をするブラックパンサーに、もう一人はベトナム戦争に行く。
最初の15分くらいは人種差別のおぞましい時代のエピソードが次から次へと起きて、見続けることを挫折しそうでした。
で、眉間に皺を寄せながら、「あれ、お母さん、マライア・キャリー?」とびっくり。その後もレニー・クラヴィッツも出ててびっくり。レニー・クラヴィッツって俳優業もやってたんだ!セシルが成人すると、「あ、クライング・ゲームの役者さんだ!」と。その後も、ロビン・ウィリアムズ、キューバ・グッテン・Jrやジョン・キューザックなど知った顔が次々と。歴代の大統領の中でレーガン大統領が一番似てたかな。
ホワイトハウスでもケネディ大統領の存在は魅了されていたよう、アイゼンハワー大統領は真面目で内向的、ニクソン大統領は黒人票を取り込みを手段としている。レーガン大統領の時代では南アフリカの人権問題が世界的に非難される時代になっている。執事たちは無関心なふりをしながら時代を見守っている。
時代と共に少しづつ恵まれた生活ができるようになると、息子は自分が逃げた南部の大学を選び、そこで、人種差別撤廃運動を始める。父親は自分の子供の頃に記憶から息子を南部に行かせたくない、ましてや、命の危険にさらすような人種差別運動をさせたくない。主人公は白人に好まれる顔をもう1つ作ることで、平穏を手に入れたのだから。しかし、息子は自分の志を曲げず、運動に身を投じ、父親が白人の元で働いていることを批判する。しかし、「彼らが白人に見せる態度によって、白人は徐々に黒人に対して心を開き始める。彼らは彼らの闘いをしているのだ、そうとは自覚していなくても。」という言葉には深みがありました。
7代の大統領に使え続けた主人公は黒人の賃金の値上げと昇格を望み続けます。そして、彼が最後に観たものとは・・・。