2月19日
いやどうも、今回は天気予報通りで、火曜日からいきなり寒くなり、水・木・金と、四日連続で寒いのなんの。
そのせいで、逆に昨日も一歩も出ず。
・・・というわけにはいかないからと、夜、いつもの通り、申し訳程度の素振り。
僅か300回のことながら(いや、だからこそ、と言いたいのは山々だが)、木刀持って玄関を出るまでの精神的な弱さが、何より大きな抵抗勢力。
素振りをしているうちに指先がどんどん冷えてこわばって来るのは、しばらく忘れていた感触。
今日も昨日と似たような寒さだった。
それでも、何時でも出掛けられるようにと、起きてすぐカッターシャツを着て、ズボンだけ穿き替えれば良いように準備をしていたのだが、セーターを着ているのに寒い。そんな状態で「寒い」と感じたのは数年ぶり。
風はない。風はなくとも寒さは十二分。
で、今日も昨日に引き続いて外出せず。散歩だけでもと思ったものの、無理はしないことにした。途中で行き倒れになっちゃならない。
昔、「行き倒れ」ってのは「旅の途中で倒れ、多くは亡くなってしまう」ことだと思っていたが、近所を歩いていながらも誰も顔を知らなければ、それだって行き倒れなんだ、と気が付いたのは三十過ぎてからだったか。
今の時代、よっぽどの僻地でない限り人は通るから、滅多に行き倒れなんかないだろうけど、逆に言えば人通りの多い人口の密集したところでも、その分顔を知られている可能性は低いんだから。夜に散歩、なんてのは危険と言えば危険。
ん?なんで行き倒れの心配ばかり。いやいや、独居老人のためにあるような言葉だろう、これ。散歩をサボろうとする怠け者の言い訳?違う違う、純粋に『危険』だから。ホントホント。
とにかく素振りだけやっておこう、と、夕食後、300回。
素振りを終えて気が緩んで庭で倒れたら、これは道以上に誰にも発見されない可能性が高い。その時はなんて言うんだろうか。歩いてないから「行き倒れ」、じゃないな。庭倒れ?家倒れ?単に例の「孤独死」で括られるんだろうな、やっぱり。
それはそれで良いのかもしれない。仰向けになって倒れているんじゃなくて前のめりになって息絶えていることが大事なんだ。
「見てくれ。俺の背中に撃たれた後はないぜ」
「撃ちてし止まん」、だ。
だ~か~ら~。行き倒れの心配なんか、今しなくていいって。