平成27年12月25日に東松島市大塩市民センターにおいて,地元代表者や各関係機関の約60名が出席し,奥松島地域営農再開実証プロジェクト(事務局:東松島市農林水産課)の報告会が行われました。当プロジェクトでは,東日本大震災により壊滅的な被害を受けた奥松島地域において,平成28年度からの本格的な営農再開に向けて復旧した農地で塩害対策等の課題を抽出し,今後の基盤整備や栽培管理に反映させるため,平成26年度から試験ほ場を設置しており,平成27年度は洲崎地区において水稲乾田直播などの試験を行いました。
平成26年10月に播種した大麦は,塩害などの生育不良は確認されず,順調な生育で地域の標準収量をあげることができました。また,水稲は当地区で震災前から取り組んでいた乾田直播を行い,生育量は地力不足によりやや少なかったものの塩害などの生育不良は確認されず,震災前と同等の収量が確保されました。平成28年度以降の本格的な営農再開にあたっては,堆肥等施用による土づくりや適切な肥培管理の徹底が必要と考えられました。
一方,復旧1作目で大豆を試験しましたが,通常より1か月ほど遅い27年7月になってからの播種となり,塩害は確認されなかったものの,砂質土壌による作土の硬化や地力不足,根粒菌未着性などの要因で生育量が少なく,低収・小粒となりました。当初より塩害対策等のため復旧1作目は水稲作を基本としていますが,あらためてその確認をすることができました。
報告会では,地元JA女性部の支援により試験ほ場で収穫した大麦を使った大麦うどんやごはん等の試食会も行われ,本格的に営農再開できる喜びをかみしめていました。
普及センターでは関係機関と連携して復旧農地の栽培技術や担い手育成の支援を継続し,地域農業の復興に取り組んでいきます。
<連絡先>
宮城県石巻農業改良普及センター 地域農業班
TEL:0225-95-1435 FAX:0225-95-2999