平成31年3月8日(金)に亘理山元いちご選果場研修室を会場に亘理・山元沿岸部の農業者を対象に水稲栽培研修会を開催しました。
同地域は津波で水田表土が失われたため,砂質水田が広がり,圃場整備後も多くの課題があります。
今回の研修会では,昨年同地域の水田を調査した山形大学農学部の藤井弘志教授より今後の営農の留意点について講演が行われました。
講演では,①当該地域では,稲の生育後半に葉色が落ちるなど地力がなく,一発肥料に頼り追肥がおろそかになるなど,肥培管理にも問題がある,②移植時の田面が締まる「いつき現象」による移植精度の低下と活着不良による欠株の発生,初期生育の不良が顕著である,③通常の水田と比較して砂質水田では基本栽培技術を徹底しないと収量がより一層下がるリスクが高い,などが説明されました。
また,今後の栽培の留意点として,①地力向上(堆肥・緑肥、稲わら腐熟、スラグ等のケイ酸資材)の取組みと一発肥料+α(穂肥の体系化),②代掻きから移植までの期間の見直し(いつき現象回避),③ケイ酸資材を使った根張りの良い健苗の育成,④台風や強風による稲の傷みを緩和する水管理対策など,地域の立地条件に合わせた対策が説明されました。
講演に続き,普及センターから砂質水田における栽培上のポイントとして,①緩効性肥料「てまいらず」等を利用した肥培管理の事例,②いつき現象回避のための代掻後即移植する体系の提案,③畦畔の水漏れ対策・茎葉処理剤を加えた雑草対策の方法等,情報提供しました。
最後の意見交換では,出席者から,「ケイ酸資材の重要性がわかった」,「健苗育成については震災後はあまり意識してこなかったので今作から改めたい」,「深耕や鶏糞を使った稲わら腐熟で土作りに取組んでいる」などの感想や今年の作付けに向けた意気込みが語られるなど,参加した農業者にとって自らの栽培を見直す良いきっかけになったようです。
<連絡先>
宮城県亘理農業改良普及センター 地域農業班
TEL:0223-34-1141 FAX:0223-34-1143