船橋情報ビジネス専門学校

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秋といえば...

2023-09-27 09:00:00 | Weblog

 こんにちは、就職指導室の遠藤です。
 今日は、9月も下旬、来週からは10月です。日暮れも早くなり、日照時間もすっかり短くなりました。しかし、相も変わらず太平洋高気圧の勢力が衰えず、今週末も30度を超える真夏日が予報されています。残暑を通り越し残残残暑といった感じでしょうか? もう、いい加減にして欲しいと、飽きた夏食を脇に退け、恋しくなった秋食の代表格であるおでんを食卓に載せて、汗だくになりながら食べました。さて、今回のブログでは、読書の秋を満喫するための作品、2編を紹介しましょう。


市川沙央(2023)『ハンチバック』文藝春秋
 今年の芥川賞の受賞作。
 物語は、<head>、<title>、<div>といったHTMLタグが入ったテキストからはじまります。無機質なHTMLタグに挟まれて展開するテキストは、低俗で人目をはばかる描写です。掲載されるであろうサイトは、ウィルスの感染の恐れがあり、絶対にクッキーを渡したくないような類のものだと思われます。作者いわく、コタツ記事。コタツ記事とはコタツから一歩も出ることなく書いた記事のことです。取材をすることもなく、時間をかけずに書いた手抜きの記事の自嘲的な表現です。

 作者には取材をしたくともできない事情がありました。歩行もままならないような身体的な特徴を持っているのです。健常者が本を読むとき、特に高いハードルは感じないでしょう。それどころか、紙やインクの匂いや、ページをめくる感覚すら五感で楽しむのです。しかし、作者にとり、本を持ってページをめくることは、体に負荷が掛かりすぎる行為なのです。作者の読書は、より負荷の少ない電子書籍に頼らざるを得ません。作者の読書は、紙の本を憎み、怨念に似た呪詛に満ちた情念を育む舞台となりました。

 この作品は、毎年のように受賞者が現れる芥川賞のレベルではありません。作者の情念のようなものを強く感じる唯一無二の作品です。数年に一度しか現れない才能に接したい人に薦めたい。


石田衣良(2023)『神の呪われた子 池袋ウエストゲートパークXIX』文藝春秋
 第一作目は1998年です。以降、毎年のように出版され、25年も書き続けられている小説です。19冊目となる最新作は、『神の呪われた子 池袋ウエストゲートパークXIX』です。登場人物、時代設定は変わらず、ページを開くと、久しぶりに帰ってきた実家のような懐かしさと安心感を覚えます。

 物語は、毎回、新しい社会問題に切り込む内容になっています。今回、作者が取り上げたテーマは、宗教二世の問題です。

 この作品、すこぶる涙腺を刺激します。周囲に人がいないところで読むことを薦めます。私は歳を取り、だいぶ涙腺の耐性が弱ってきています。今回は、落涙どころか、危うく嗚咽を漏らしそうになりました。本作は、泣きたい人におすすめです。

 

 読書は、初めて本を手に取ったときからはじまります。「ハンチバック」の装丁には、出版社の深い思いが織り込まれています。作者が手にした本は、執筆活動で使っている愛用のiPad Miniとほぼ同じサイズ。しかも軽量でした。作者は、出版に漕ぎ着けた喜びと共に装丁者の思いを感じ取ったのではないでしょうか。

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