こんにちは、就職指導室の遠藤です。
今日のテーマは、メタバースです。最近、ニュースへの登場も多くなってきました。早速、考察してみましょう(少し、長文です)。
11月に入って、IT業界に衝撃的なニュースが飛び込んできました。これまで米国の株式市場の牽引役かつ主役であったGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)の株価が急落しました。急落の原因は、第3四半期(7月~9月)の決算内容が振るわなかったためです。GAFAMは巨大で、わずかこの5社の時価総額の合計が、東証プライム全体の時価総額を抜いた時期もありました。決算不振の原因は、GAFAM各社が追求してきたメタバースが上手く花開いていないためです。特に、Facebookを運営する米Meta(メタ)は、全社員の13%に当たる1万1000人を削減するまでに追い込まれました。
では、メタバースは既に終焉しており、単なるあだ花だったのでしょうか? 答えは否です。それどころか、我々は、既にメタバースの入り口にいます。そして、メタバースの恩恵を享受しつつあります。
例えば、日頃、私たちがネットで見るニュースは、自分好みのニュースが表示されているはずです。Android携帯であれば、ブラウザのChromeが表示するDiscoverには、自分が欲しい情報が並んでいるはずです。YouTubeでも自分が見たい番組がリコメンドされるようになっています。既に、ネットで読むニュースは「自分好みのニュース」へと変貌しています。もう既に、新聞テレビのように「全員が同じニュース」を見たり読んだりすることは、前時代の遺物となってしまいました。
メタバースとは何か? まだ、メタバースの最終的な形は見えていません。現在、関係各社が試行錯誤で構築している最中です。典型的なメタバースの紹介として、ゴーグルディスプレイを装着して、VRゲームの世界を放浪する例が有名です。しかし、これは本質的なメタバースの例ではないと思います。メタバースの本質で分かりやすい例は、フィルターバブルという概念です。
人々は軋轢や衝突や炎上を好みません。そして、人々は同じ趣味嗜好、同じ意見を持った人たちとの交流を好む傾向にあります。同じ趣味嗜好の人々をネットの世界に囲い込むのが、フィルターバブルという概念です。フィルターバブルの中では、同じ趣味嗜好の人々が、自由で思い通りの意見を発信でき、炎上もしません。そして、これこそが、人間が本能的に追い求めてきた承認欲求を満たすものに他ならないのです。メタバースの本質は、このフィルターバブルを実現し、誰もが承認欲求を満たすことができる理想郷を実現するものです。
メタバースは、まだ始まったばかりです。当面、各社とも試行錯誤を繰り返すと思います。このため、一時的な株価の浮き沈みはあるでしょう。しかし、いつかは、メタバースの最終形が明らかになるはずです。今後の展開に目が離せないのと同時に、それを実現するITの力に期待したいものです。
写真は私が利用している駅のイルミネーションです。毎年、この時期が楽しみです。