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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

梅雨の森の宝石オオミドリシジミ。ウラゴマダラシジミ、ミズイロオナガシジミ。枯れ始めた貝母の実。熟れた実が匂うあんずの里(妻女山里山通信)

2023-06-17 | アウトドア・ネイチャーフォト
 待望の梅雨の晴れ間。きちんと晴れたのは2週間ぶりです。そろそろオオミドリシジミが出現する頃と登りました。かなりの雨が降ったので林道はひどい泥濘状態。何度も滑りながらやっと登りました。午前9時の気温は18度。地面や下草は湿っていますが、早朝から快晴で日が照ったので湿度は思ったよりも高くありません。期待だけが膨らみます。

 いましたオオミドリシジミ。雨上がりに羽化したばかりなのでしょうか。翅も傷んでいなくて綺麗です。まず後方から気配を殺してゆっくりと近づきます。マクロレンズのラバーフードの先からチョウまでは10センチほどまで近づきます。
 オオミドリシジミ(大緑小灰蝶:Favonius orientalis)は、チョウ目シジミチョウ科ミドリシジミ亜科に属するチョウ。オスの翅は、青緑に輝き非常に美しい蝶です。メスの翅は灰褐色。幼虫の食樹はブナ科のコナラ・クヌギ・ナラガシワ・カシワ・ミズナラなど。

 発生しているのはまだ数頭。数日で大群が出るのではと期待しています。オスが高速で追いかけごっこをしたり円を描いてクルクル回ったりしています。いわゆるテリトリーの占有行動で、縄張り争い。疲れると日当たりの良い葉の上に止まります。これはヒカゲイノコヅチの葉に止まったもの。美しい翅の表の色は鱗粉の色ではなく、オオムラサキと同様に構造色です。
「モルフォチョウ構造色の基本原理:規則性と不規則性の共存」東京理科大学 理工学部 物理学科 吉岡研究室:構造色の研究論文。非常に難解です。「構造色(こうぞうしょく、英語: structural color)は、光の波長あるいはそれ以下の微細構造による、分光に由来する発色現象を指す。」Wikipedia。それ自体は色を持たないか別の色です。コンパクトディスクやシャボン玉、孔雀の羽、アワビの貝殻など。構造色の印刷やディスプレイも。
構造色とは:その物質自体には色がないのに,光の波長程度の微細構造によって発色する現象を構造色といいます.本講座では,発色原理が異なる様々な構造色を取り上げて,その発色原理を説明し,発色例を紹介します. テクノ・シナジー

 ミドリシジミとつくものは他に、ミドリシジミ、メスアカミドリシジミ、ウラジロミドリシジミ、フジミドリシジミ、ミヤマカラスシジミ、ハヤシミドリシジミ、アイノミドリシジミなどがいますが、このエリアでは最後の二種も見られます。

 水曜日ぐらいまで晴れの日が続く予報なので、たくさんのオオミドリシジミが羽化してくれるといいのですが。

 やっと翅を広げ始めてくれました。

 構造色なので見る角度により色味が少し変わります。それもまた美しい。まるでエメラルドかアクアマリンの様。森の宝石です。テリトリーの占有行動は、晴れの日の朝から始まり午前10時半頃に終了します。雨や曇の日には行いません。太陽が大好きなゼフィルスです。

 シジミチョウの多くは、この時期に羽化して産卵するため、農薬散布をすると簡単に絶滅してしまうのです。同時期に林道脇などの除草もされますが、食草であるイボタノキやクヌギやヤマザクラ、カシワの幼木や若木が切られると、大量の卵が死んでしまいます。

 ウラゴマダラシジミ。シジミチョウ科 シジミチョウ亜科のシジミチョウで、幼虫の食草はイボタノキで、成虫もイボタノキやクリで吸蜜するので、その近くで見られることが多い蝶です。イボタノキの花が散ってしまったので今は栗の木の花で吸蜜していると思われます。

 ミズイロオナガシジミがいました。マクロレンズなのでかなり接近しますが、近づくとにじにじと回転してお尻を向けるのです。かといって飛び去るわけでもありません。理由はよく分かりません。恥ずかしがり屋なのかも。

 撮影に疲れたので陣場平へ。かなりの豪雨があったにもかかわらず、貝母はけっこう立っています。冷たいたんぽぽコーヒーを飲みながら一休み。サンコウチョウが鳴いています。エゾハルゼミやハルゼミは少なくなりました。

 貝母(ばいも:アミガサユリ)の実もずいぶんと枯れてきました。さく果なので、晴れの日が続くと弾けて種を飛ばします。

 キボシアシナガバチ(スズメバチ科)です。巣の出入り口の部分が黄色いので分かります。山歩きにはポイズンリムーバー(毒抜き用具)の持参を。刺されたときのために、抗ヒスタミン軟膏を。毒を絞り出してからぬります。前脚で顔を拭ったり、胴を曲げて何かをしています。

 昼近くに下山しましたが、森の中は過ごしやすい気温です。山菜を採りに来た夫婦に二組ほど出会いました。妻女山展望台からの北アルプス白馬三山の眺め。右奥に虫倉山。手前に茶臼山。

 左に戸隠連峰。三角の戸隠富士と呼ばれる高妻山。右に飯縄山。眼下の長芋畑は種芋の植え付けが終了しています。緑に見えるのは耕作放棄地です。この10年でずいぶん増えました。自公政権は食料安保には全く関心が無いようです。兵器があっても食料が無ければ国民は飢え死にます。

 汗をかいたので温泉に入ってからあんずの里へ。あんずの出荷が始まりました。直売所やJAスーパーの産直売り場、ネットでも買えます。近隣の和菓子屋や洋菓子屋では杏を使ったスイーツが並んでいます。

 これは生食用のハーコットでしょうか。まだ完熟していませんね。4-5センチもある大きな実です。7月に入ると熟れて落ちた実があちこちに。集落はあんずの甘酸っぱい匂いで満たされます。

「淡竹と自家製ベーコンのピラフ」淡竹もそろそろお終いです。鯖の水煮缶詰の味噌汁、和風と中華の炊き込みご飯、淡竹のおやきを作りましたが、最後はピラフです。材料は茹でた淡竹、自家製ベーコン、鶏胸肉。新玉葱。コンソメ顆粒、白トリュフの白出汁醤油、マジックソルト、白ワイン、バターで炊き込みます。すごく簡単ですが、これも絶品でした。淡竹と自家製ベーコンの風味が最高のマリアージュ。

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