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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

鏡台山の柴平樽滝線で野菊の同定調査。完全にど壺にはまりました(妻女山里山通信)

2014-09-20 | アウトドア・ネイチャーフォト
 聖山で撮影した野菊がなんであるか非常に気になったので、この時期野菊が多い鏡台山の柴平樽滝線やその支線へ調査に行ってきました。その結果ですが、増々分からなくなりました。6倍体とか交雑種もあるらしく、これはDNAレベルまで調べないと完全な同定は無理だと分かりました。そんなですので、割り引いてお読みください。たかが野菊、されど野菊。
 シロヨメナは、ノコンギクの亜種とされシオン属です。ヨメナやカントウヨメナはヨメナ属です。シロヨメナはヨメナとつきますがヨメナ属ではありません。まずこれが混乱の元です。菜とつくのは、若葉が山菜になるからです。

 これは、花の直径が10ミリぐらいしかありません。草高も40センチぐらいで、非常に華奢な感じです。冠毛は短いです。葉には艶があるのですが、針状の毛があります。ヨメナに近いのですが、葉の針のような毛が解せません。ハナビラも非常に細く、枚数が異常に多い。もうこれだけで、なにがなんだか分かりません。ヨメナは、山地で見かけることはまずないという記述もありますが、種が車のタイヤに付いて運ばれたのでしょうか。交雑種でしょうか。でも、これよく見るとヒメジョオン(姫女苑)じゃないですか? そうですよね、このハナビラは。ヒメジョオンももちろんキク科ですが、ムカシヨモギ属ですね。北米原産の帰化植物です。ヒメジョオンは、ハルジオンとともに要注意外来生物に指定されているほか、日本の侵略的外来種ワースト100にも選定されているんです。

 同じ場所の林道の反対側の野菊。花の大きさは20ミリぐらいで倍近くあります。草高も1mを超えるほど。冠毛は長いです。葉はざらついています。ということで、これはノコンギクと断定していいのでしょう・・か。ひとつ前の聖山の記事で、薄紫の野菊を紹介しています。麻績村の説明では、ムラサキシロヨメナと書いてありますが、三和峠で撮影したものは、それほど葉に艶がなかったので、ノコンギクだと思うのですが・・。難しいです。

 そして、支線に入った所に群生していた野菊。花は16~17ミリぐらいで、茎の上部でたくさん分岐して花をつけています。葉の形と付き方が特徴的です。上の野菊の特徴とよく似ています。枝分かれしたたくさんの花がつくところは、ノコンギクやシロヨメナと同じシオン属のゴマナとも似ているのですが、葉はそれほどざらついてはいません。葉が茎を巻き、花の冠毛は長いので、これもノコンギクでいいのかもしれません。ちなみにゴマナの名の由来は、江戸時代の草木図説(飯沼慾斎著)の図に、ゴマナを「葉が胡麻に似る」という記述からだそうです。

 少し標高の低い所の崖下に群生していた野菊です。葉の付き方が非常に特徴的です。花は15ミリぐらいで、茎が横に出る感じです。草高も50センチぐらいと低め。葉の切れ込みが深いものもあるので、ユウガギクかなと思うのですが・・。やれやれ。「野菊の墓」の気分です。

 三滝沢の林道から見た風景。眼下にうねる長野自動車道。左右に伸びる直線は、上信越新幹線。その向こうの山は、茶臼山と姨捨山の中間辺り。山頂に川中島カントリークラブがあります。こんな里山の上にゴルフ場があったら、除草剤で下の地下水は汚染されているでしょう。そういえば、勤めていた知り合いのおばさんが、ジコボウがたくさん出るけど、農薬使ってるから誰も採らないって言ってました。右奥の高い山は、神話の山・虫倉山です。晴れていれば、中央奥に白馬三山が見えるのですが。
 右は、縄文の名水。なぜ縄文なのかよく分かりませんが、真夏でも水温が8度しかなく、非常に美味しい軟水です。今回は8リットル汲みました。これでコーヒやお茶を入れると、驚くような美味しさです。ハッキリ言って、いくつかの日本百名水より遥かに美味しい水です。熊も飲みに来るので、熊鈴を忘れずに。

 支線にキンポウゲ科センニンソウ属のクサボタン(草牡丹)の群生がありました。毒草です。真ん中はシソ科のカワミドリ(河碧・川緑)。野草は切り花にするとしすぐ萎れてしまうものがほとんどですが、カワミドリは強く、蕾で採ってきてもちゃんと花瓶で開花します。茎の断面も四角で丈夫です。全草に強い香りがありますが、オミナエシのように部屋が臭くなることはありません。生薬名は、藿香(カッコウ)で、古くから風邪や頭痛に用いられていた薬草です。
 一番右は。 ユリ科のウバユリ(姥百合)。花期には葉(歯)がないことから姥の百合らしいのですが、結実してもボロボロですが葉はあります。ぎっしり詰まった種の割には群生はあまり見ないので、この種の形も多い割には発芽成長率はあまり高くないのかもしれません。若芽、鱗茎ともに食べられる山菜です。花が咲くのはこぼれた種子が発芽してから6~8年目です。開花すると枯れますが、翌年は鱗茎から芽が出て開花します。

 キノコ狩りに来たわけではないのですが、タマゴタケ(卵茸)。テングタケ科のキノコでは唯一安心して食べられる美味しいキノコ。和風よりコンソメスープやチーズクリームパスタなど洋風料理によく合います。ロシアでは帝王のキノコと呼ばれるそうです。タマゴタケのクリームパスタのレシピをどうぞ。今回は鶏肉とクリームリゾットにしました。
 真ん中は、アミタケ(網茸)。有名な食菌ですが、私は採りません。どうも相性がよくないようで、お腹を壊すのです。
 最後は、食菌のウラベニホテイシメジと間違えやすい毒キノコのクサウラベニタケ。よく似ていますが、軸が細く華奢で枯葉から出るため短め、ウラベニホテイシメジはその下の地面から出るので太く長めです。毒のイッポンシメジも間違えやすいので要注意。
ウラベニホテイシメジとクサウラベニタケ(毒)の見分け方、食べ方

 バラ科のキンミズヒキ(金水引)。春先の若葉や若芽は山菜になるそうですが、食したことはありません。生薬名を龍牙草(りゅうげそう)又は、仙鶴草(せんかくそう)といい、止血や抗菌、消炎、鎮痛作用があるそうです。
 真ん中は、タデ科のオオイタドリ(大痛取)。高さ3mぐらいあります。オオイタドリは、山菜でもあり関節痛などに効く薬草でもありますが、真夏のトレッキングで、これの藪に行く手を阻まれるとかなり大変です。この鏡台山の三滝沢米子の滝の上から根子岳へ登った時には、本当に難儀しました。トレッキングに鎌が必須となります(笑)。最後は、鏡台山の谷筋に多いタマアジサイ(玉紫陽花)。

★千曲市の林道柴平樽滝線は、全面舗装ですがガードレールがほとんどありません。運転を誤ると谷底です。乾燥した枯葉が積もる晩秋は、雪より滑ります。積雪期、特に春先は溶けて凍結したアイスバーンの路面になり、スタッドレスでも非常に危険です。また倉科側が通行止めになるので、森の沢山側から入っても倉科には下りられません。狩猟期には猪刈りも行われます。全面舗装なので、マウンテンバイクはもちろんロードバイクもおすすめです。倉科から登って、沢山で坂城方面へ登り、和平高原から坂城へ下りるのもおすすめです。熊の生息域なので熊鈴など音の出るものを。私は3回遭遇しています。

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必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ:グリホサート剤)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)を引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。

★妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。

★ネイチャーフォトのスライドショーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。

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