モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

今回の妻女山SDPは、カラコギカエデと悪戦苦闘。癒しの天使がまた(妻女山里山通信)

2014-09-24 | アウトドア・ネイチャーフォト
 今回の妻女山里山・デザイン・プロジェクトは、立枯した樹木の伐採や、以前伐採して枯れるまで放置してあったカラコギカエデの除去、そして除草でした。里山の雑木林というのは、理想的には葉が一層がいいのですが、二層三層となると、地面にはほとんど光が差さず、暗い森になってしまいます。特に、株立したカラコギカエデやダンコウバイは、森を暗くします。加えてヤマフジやミツバアケビが絡みつくと、樹木の葉を覆ってしまい、立ち枯れを引き起こします。そこで、除伐をするのです。
 昔は、木山といって、薪の採取や山の畑のために常に除伐や除草が行われていたので、里山は整備されていました。現在は、人の手が入らず荒れ放題。しかし、リテラシー(読解力)がないと、それも分かりません。整備されることで繁栄してきた生物達もたくさんいるのです。その代表的な例が、国蝶のオオムラサキです。

 株立して複雑に絡み合ったカラコギカエデは、下の枝が枯れ死します。それを伐採して取り除くのですが、生木だと難しいので、2年ほど前に切って枯らしたものを引き抜きました。かなり乾燥しているのでいい薪になります。既に腐朽菌のキノコが繁茂していました。真ん中は、ノイバラやミツバアケビに巻きつかれて枯れ死したズミ。主幹は生きているので、枯れ死した太い枝を切り落とします。右は、二層になった下の部分のカラコギカエデを切り落とし、光を入れます。

 ノイバラの除草をしています。ノイバラも森の縁に繁茂すると高さ3m位になり、幹も太く木質化。森へ入ることができなくなってしまいます。西洋の数々の新種のバラを作り出すためにこの日本のノイバラが使われたそうですが、里山ではなかなかに厄介なしろものなんですよ。シューベルト作曲、ゲーテ作詞で有名な「野バラ」なんですが・・。真ん中は、2本に株立したカラコギカエデの1本を伐採したところです。左から斜めに生えたヤマザクラに掛かり木になりましたが、これは計算済みで、この後ヤマザクラを伐採して両方共倒しました。これで暗かった森に光が入りました。右は、ヤマグワの高木ですが、真ん中に枯れた株があったので、これを伐倒。ヤマグワの実は森の動物や昆虫たちの大切な食料です。林下には、ガマズミなどがあるのですが、これも適度に除伐。ガマズミの赤い実は、果実酒にすると抗酸化作用のあるいいリキュールになります。カラコギカエデは、旺盛に株立するので、年に3回ぐらいは株立を切る必要があります。

 除伐した木は、適当に玉切して積み上げます。伐倒した木にはミツバアケビの実がたくさん成っていました。これはまだ熟れていませんが、紫色に熟しているものもありました。昼のおやつになりました。少し手の込んだ料理ですが、「アケビのブルーチーズ入りミソバーグ」はおすすめです。酢水に浸けてアク抜きの塩梅がポイントです。抜きすぎると味も落ちます。
 2時間ほどで作業は無事に終了。森にも適度に光が差すようになりました。当日の朝の冷え込みのためか、煩いクロメマトイが姿を消したので、作業もイライラすることなく快調に進みました。そこいらじゅうに付くヒッツキムシを除いては。

 そして、昼餉の準備。今回も7月に来てくれたYさん親子を招待しました。今回は、前回来られなかったお兄ちゃんも一緒です。K氏がミツバアケビの中の果肉を口に含んで甘い果汁を吸ったあとで、大量の種をブブブッと吐き出す技を披露してくれましたが、失笑されていました。
 今回は、K氏が作った幻の小麦、伊賀築後オレゴン(通称イガチク)で焼いたパンをS氏やN氏なども焼いて持ってきてくれました。そこへ私が作った手作りベーコンを焼いて、ガーリックトーストに乗せたり、S氏が作ったローストビーブを乗せたりして頂きました。ベーコンやローストビーフは、二人のキッズに大好評でした。タマネギを炒めたり、丸ナスを焼いたり。更には秘密のシロで採ったウスヒラタケ(除染済み)をベーコンとガーリックバター炒めに。これも絶品でした。
 最高気温は25度で、里は暑かったようですが、山は風もあり日陰は涼しいほどでした。そして、食後は私が汲んできた鏡台山の縄文の名水で入れたコーヒー。超軟水なので、非常に柔らかい味のコーヒーになります。

 食べるだけ食べてお腹がいっぱいになったところで、今回の隠し球、ハンモックを吊りました。これは私が南米アマゾンを旅していた時に使っていたものです。これで、小さい頃の息子達も遊びました。適当に吊る木と場所がないので、林道を塞ぐ形で吊ることにしました。ずっと雨もなくキノコも出ていないので、キノコ狩りの車も来ないだろうとの判断です。ハンモックはメチャクチャ気に入ったようです。もっと揺らして!下ろして!乗せて!と大はしゃぎ。オフロードバイクの二人が来ましたが、笑いながら端っこをくぐり抜けてくれました。ありがとう!
 挙句に地面を覗いていた次男のR君が、砂の中に大量の茶色いウジ虫が隠れているのを発見して大騒ぎ。ヨトウガの幼虫、ヨトウムシの一種でしょうか。このハンモックは、後でお母さんも乗っていましたが、大変気に入ったようです。ハンモックを森に吊って読書したり、お昼寝したりって最高の贅沢です。ちなみに森林組合に勤めている長男は、お昼休みにこれをやっているそうです。
 更にオオスズメバチの死体を発見して大騒ぎ。持って帰る持って帰るとわめくので、K氏が針だけ抜いてくれました。周囲には死体が散乱。なにがあったのでしょう。気がかりです。初夏にスズメバチが多いとハイカーに危ないのでハチトラップを仕掛けることもあるので、ハチのサンプルはたくさん持っていますが、千曲市のネオニコ(神経毒)空中散布もあるので、今年は仕掛けませんでした。ミツバチが全滅すると、人類も4年で絶滅するとアインシュタインが言ったとか。愚かです。無知なるが故に、静かに滅亡は迫っているのです。

 そんなこんなで、ゆるゆると午後が過ぎて行きました。妻女山から見た松代の城下町と里山。奥に根子岳と四阿山が見えます。左の奇妙山の右上や、空に見える黒い粒は、アキアカネです。ヤマザクラが色づき始めました。まだミンミンゼミとツクツクボーシが鳴いていますが、夜は家の周りでコウロギが鳴いています。少しずつ少しずつ秋が深まっていく信州です。

★『伊賀筑後オレゴン種(通称イガチク)』は、 三重県伊賀上野市の農林省関西試験場が、筑後平野で作っている小麦と、アメリカ西部のオレゴン州の小麦を交配して作った硬質小麦です。日本の小麦は、軟質小麦。アメリカのオレゴン種はグルテンが多い硬質小麦です。この二つを交配して作られたのが伊賀筑後オレゴン種で、準強力粉です。信州の善光寺平から上田にいたる間の千曲川の沿岸で、大正時代から戦後まで作られた人気の小麦でした。 わが家でも父が昭和30年代半ばまで作っていました。60俵も収穫していたそうですが、イガチクは小麦の粒がこぼれやすく面積あたりの収量も少なかったので、新品種に取って代わられたということです。現在、その懐かしい味を再現しようと、有志の方々が再び作り始めています。わずかに市販もされていますが希少です。これで食べる、埴科更科名物の郷土料理「おしぼりうどん」は絶品です。うどん通垂涎の、幻の小麦です。本当のうどん通ならぜひイガチクを食べてから薀蓄を語ってください。

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◆この度、「信州 山の日」制定に伴い、「信州 山の達人」の募集がありましたが、私がそのひとりに選ばれました。妻女山SDP(里山デザイン・プロジェクト)の活動や、ブログ「モリモリキッズ」や当サイトでの情報発信活動が、「独自性」「継続性」「有効性」「発信力」の観点から優れていると認められ、選考されたということです。今後も、里山保全活動や、里山インタープリター、ネイチャーフォトなどに力を入れていくつもりです。
妻女山SDPの活動記録は、■MORI MORI KIDS Nature Photograph Galleryのインデックスの妻女山SDPか当ブログ「モリモリキッズ」をご覧ください。


必見!◆新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間:JEPA(pdf)ネオニコチノイド系農薬は、松枯れ病だけでなく、水田の除草剤やカメムシの除虫、空き地の除草剤や家庭用殺虫剤に使われていますが、元はベトナム戦争の化学兵器の枯葉剤と同様で(代表的なのがラウンドアップ:グリホサート剤)、脳の発達障害、多動性障害(ADHD)を引き起こす強力な神経毒の『農薬』ではなく、『農毒』です。

★妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。

★ネイチャーフォトのスライドショーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。

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