モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

月の女神と東京レクイエム

2006-08-23 | 歴史・地理・雑学
息子達の曾祖母の告別式への道すがらのことである。大通りに出る電柱で女子高校生がふたり、なにやら指さして何か言っている。「これなに?きれい」「キモイ!」などなど。

きれいで気持ち悪い?なんだそれはと電柱の向こう側を除くと一頭の大きな蛾が留まっている。開張12センチはある大きな蛾だ。名前を「オオミズアオ(大水青)」という。学名のアルテミスは、月の女神のこと。

最も美しいという人と、不気味という人とに見方が分かれる。なんでこんな町の真ん中にと思われるかも知れないが、ごく普通に市街地でも見られる。透明感のある緑色の幼虫を見たことがある人も少なくないはず。
灯火に飛来することが多いが、日中しかも電柱になぜ留まっていたのだろうか。

よく見ると、電柱のスチールのベルトに左の前肢をひっかけて留まっているのが分かる。何かに追われたのだろうか、蛾というと日陰者のイメージで、同じ鱗翅目の蝶が持て囃されるのに比べて不遇の扱いを受けている。しかし、鱗翅目の9割以上は、蛾が占めているのである。日本には約4800種の蛾がいるそうで、毎年数十種が追加されているそうだ。

中には成虫になると口が退化し何も食べないで一生を終える種もいる。アゲハチョウそっくりな蛾もいる。トラガやマドガのように昼行性の蛾もいる。スカシバ(透かし羽・硝子蛾)などはハチそっくりで、飛んでいても蛾とは気が付かないものもいる。

右下は、新宿野村ビル48階からの夜景。眼下に多摩丘陵まで続く幾万の町の灯りは、曾祖母への送り火のように見えた。こんな夜の町を人知れず、蛾も飛び回っているのである。
蛾は不思議な魅力を持っている。

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2 コメント

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夜の東京は (MORI MORI)
2006-08-26 17:36:46
いろんなものが飛んでいるんですよ。

夏に東京スタジアム(味スタ)にサッカーの試合を見に行くと、無数のコウモリが飛び交います。

みんな普通の鳥が飛んでると思ってますけどね、鳥は鳥目なので夜は飛びませんよね。



昨日の朝、わが家のアピオスの葉の陰でコミスジが羽化したばかりのところを発見しました。ジッとしてたのでアップの写真が撮れました。1時間ぐらいしてはねが乾いたら飛び立っていきました。

なんだか嬉しかったですね。
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オオミズアオ (kousaku!)
2006-08-26 12:03:08
久しぶりに見ました。昔はよく見かけたものですが

いつもきれいだなと思って見ています。もし触覚がストレートだったら蝶に見えますね。



スカシバでしょうか‥まるでエビが飛んでいるような感じですね…(^。^;;
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