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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山で上杉の亡霊ではなく山の主に遭遇(妻女山里山通信)

2008-12-09 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 東京に暮らす息子達へ野菜を送った帰りに妻女山のわが家の山の様子を見に行きました。さすがにキノコはもうないだろうとは思いましたが、不法投棄がないかの確認などです。山はほとんど落葉して見晴らしが利きます。林道は落葉松の落ち葉でバーントシェンナーの彩り。

 妻女山の駐車場に愛車フォレスターを置き、わが家の山へと向かいました。間伐材で積み上げた垣根を越え斜面を少し登ったところで何かの気配を感じて目を上げると、目の前に黒い動物が。熊かと一瞬緊張しましたが、すぐにニホンカモシカと分かりました。12mほど先の落葉松の倒木の向こうに立って微動だにしません。

 幸いデジカメを首から提げていたので静かにスイッチをオン。相手の緊張を解こうと話しかけました。「こんにちは。いい天気だね(曇りでした)。どこから来たの?」
 彼女(ニホンカモシカは雄雌共に角がありますが、雰囲気から雌かなと)は片方の耳をぴくぴくさせて聞いているようです。私は話しかけながらゆっくりと少しずつ近づいていきました。

 檜の木陰でシャッターを切り、また話しかけながら近づきます。最終的には6、7mになったでしょうか。これ以上近づくと限界エリアを越えそうなので立ち止まり、話しかけながら写真を撮りました。やがて緊張からか緊張が解けたからか、横を向いたり足で耳の後ろをかいたりしました。近くのまだ緑の木の葉を食べたりもしました。

 そんな風にして7、8分経った頃、ゆっくりと後ろを向いて歩き始めました。私もゆっくりと付いて行きました。すると足音に気が付いて歩みを止め、ゆっくりと振り向きます。なんで付いてくるのと言いたげに。しばらくするとまた歩き出し、付いていくと振り返り、おなじことを3、4度繰り返すと林道に下りました。

 林道の上から呼び止めると、振り返ってくれました。彼女は林道の壁に生えている草をはんだ後に、ゆっくりと植林の森へ消えていきました。その間約10分のことでした。森には、また何もなかったような静寂が戻りました。私は、なんだか彼女と会話が出来たような嬉しい気分になり、高揚した気分を抱えて山を下りました。

 天然記念物のニホンカモシカは、牛科です。低山から高山の森林に棲息し、通常は単独で生活する森の孤高の生き物です。昔は、妻女山では見られませんでしたが、現在は普通に見られるようになりました。牛科のためか好奇心が強いようで、遭遇しても逃げずにこちらをじっと観察していることがままあります。

 ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、特殊な技法で作るパノラマ写真など。

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