2022年1月2日の善光寺平は、雲ひとつない朝となりました。昼近くには北アルプスには薄雲が掛かり始めましたが、絶好の撮影日和なので妻女山展望台へ。パウダースノーが5センチぐらいありましたが、溶けて再凍結はしていないので車で登れます。アイスバーンになったら、脱出用スパイクアタッチメントがないと登れません。上信越自動車道は、豪雪の場合は冬タイヤだけでなくチェーンがないと通行できない場合もあります。豪雪や除雪作業で通行止めになる場合もあるので、ドラぷらや長野国道事務所のサイトで情報確認を。
東の松代方面。左の奇妙山は、積雪期に登ったことがありますが、山頂右(南)の30mの崖を下りる時は本当に緊張しました。右奥に根子岳(2207m)と四阿山(2354m)。
左の根子岳は山スキーのメッカです。スノーキャット(18人乗り雪上車)に乗って山頂直下まで行くツアーがあります。晴れた日なら、日本百名山の30峰以上が観られるそうです。そこから四阿山へのスノーシュー登山のツアーもありますが、冬山仕様の完全装備が必須です。拙書で詳しく書いていますが、四阿山は真田の修験の山で、山頂には麓の山家神社の奥宮が二つあります。里宮には、真田幸隆が奉納した奥宮の漆塗りの扉が現存します。
北東に目を向けると、たかやしろの名前で知られる高社山(1351.4m)。美しいコニーデ型の火山で、別名を高井富士といいます。山の向こう側は木島平村で、木島平スキー場があります。調布市と木島平村は姉妹都市なので、息子達は中学の時にスキー教室で訪れています。この日は二人共ここへ滑りに行きました。左手前には、ホワイトリングとエムウェーブが見えます。右手前の松代大橋のたもとの森には、武田信繁の墓がある典厩寺(てんきゅうじ)があり、ここの川中島の戦いの展示は全て本物なので一見の価値があります。
高社山の山頂の峰には、冬期に雪庇(せっぴ)が、こちら側にできます。踏み抜いて滑落したら助かりません。新年の冬山登山で登る人も多い山ですが、充分に気をつけなければいけません。拙書ではGWころの花をたくさん載せています。古くは修験の山で、山頂の峰には、高森杜神社、御嶽神社が祀られています。
展望台から北を見ると千曲川と川中島の向こうに戸隠連峰と飯縄山がそびえています。飯縄山手前に見える飯綱高原スキー場は、1998年の長野五輪の際にはエアリアルとモーグルの会場になりました。経営難から2020年2月で営業を終了。現在は飯綱高原づなっち広場となっています。右手の信濃町方面にいいづなリゾートスキー場、北側に戸隠スキー場があります。
山頂は右の頂きです。左の南峰には飯縄神社の奥宮があり、上のカットではその建物が見えます。祭神の飯縄権現(飯綱大明神)は、管狐(くがきつね)を使って術を行う飯縄遣(いいづなつかい)の仏神。山岳信仰が発祥といわれる神仏習合の神です。その姿は白狐に乗った烏天狗で、大日如来の化身の不動明王のさらなる化身といわれています。冬山登山は雪がしまる2月中旬以降がおすすめです。もちろん冬山装備は必須。アイゼンも必要です。
別名を戸隠富士と呼ばれる高妻山。奥には乙妻山。手前に戸隠連峰。一番手前は富士ノ塔山の尾根です。
戸隠連峰の西岳の峰々。鎖場の直登や両側崖の痩せ尾根がたくさんあり、高度な技術と経験を積んだ登山者向け。鏡池からその険しい山容が望めます。
西を見ると北アルプスの白馬三山。左にWに切れ込んだ不帰ノ嶮(かえらずのけん)。右の天狗ノ頭から右へ縦走すると白馬三山。左から白馬鑓ヶ岳・杓子岳・白馬岳。明治時代に帝国陸軍陸地測量部が地図を作るために白馬村に訪れた時、この山々には確固たる山名がありませんでした。岳山(たけやま)とか西山とか適当に呼んでいたそうです。そんな馬鹿な話があるかと役人に怒られて、長老が集まって必死に考えて命名。雪型の代かき馬からとって代馬岳、貝杓子に似ているので貝杓子岳、長いので貝を取って杓子岳、尖っているので槍ヶ岳、しかし槍ヶ岳、鹿島槍と既にあるので駄目だと言われて白馬鑓ヶ岳と命名。西山にいる山の主で天狗の尾根、身の程を知らぬ者が天狗に近づこうとして帰れなくなったので不帰ノ岳と命名して今に至ります。代馬岳は、実際の地図では白馬岳となっていましたが、村人達は長い間その事実を知らなかったそうです。(出典:『北アルプス白馬ものがたり』石沢 清著)
手前右の里山は茶臼山(729.9m)。中腹には双子のレッサーパンダが生まれて話題の茶臼山動物園があります。その下には恐竜公園。
左から白馬鑓ヶ岳(2903.11m)・杓子岳(2812m)・白馬岳(2932.24m)。手前の里山は、右が茶臼山南峰(699m)。左には信里小学校とJAの建物や民家が見えます。白く見えるところの多くは林檎畑。標高の高いところではサンフジ、低いところではシナノゴールドや秋映などが作られています。
更に左へ目をやると仁科三山の左に爺ヶ岳、右に鹿島槍ヶ岳。もう一座の武田菱の雪型で有名な五竜岳はその右でこのカットには入っていません。手前は、茶臼山から続く里山で、西山と呼ばれます。高齢者が多いのですが、世界的なミュージシャンが住んでいたり、極上のパンを売るお店や隠れ家的な蕎麦屋やカフェがあるのです。旧更級郡なので、正月は「おしぼりうどん」を食べる習わしが残っています。大晦日の年取り魚は、富山のブリと新潟の鮭を食べる文化が混在しています。
鹿島槍ヶ岳(2889m)。山頂の右手の陰になっている谷には、平家の落人が隠れたというカクネ里があり、上部の雪渓は2018年に長野県初の氷河であると認定されました。
その南に鎮座する爺ヶ岳(2670m)。栂山・栂谷ノ峯・後立山・五六ヶ岳・爺岳・爺子岳とたくさんの別称があります。南峰と本峰の間の白沢の上部には、春に種蒔きをする老爺の雪形が見られ、山名の由来となりました。雷鳥も生息します。以上は、2日の風景です。4日の朝は夜から雪が降り続き、長野市南部でも6センチ。ほぼ一日中降りそうです。雪掻きが大変です。視界は1キロもありません。夜はホワイトアウトするので運転するべきではありません。
●妻女山展望台大パノラマ
◆Queen Don't Stop Me Now
新年にもっとも聴きたい曲。こんな一年をおくりたいものです。
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
東の松代方面。左の奇妙山は、積雪期に登ったことがありますが、山頂右(南)の30mの崖を下りる時は本当に緊張しました。右奥に根子岳(2207m)と四阿山(2354m)。
左の根子岳は山スキーのメッカです。スノーキャット(18人乗り雪上車)に乗って山頂直下まで行くツアーがあります。晴れた日なら、日本百名山の30峰以上が観られるそうです。そこから四阿山へのスノーシュー登山のツアーもありますが、冬山仕様の完全装備が必須です。拙書で詳しく書いていますが、四阿山は真田の修験の山で、山頂には麓の山家神社の奥宮が二つあります。里宮には、真田幸隆が奉納した奥宮の漆塗りの扉が現存します。
北東に目を向けると、たかやしろの名前で知られる高社山(1351.4m)。美しいコニーデ型の火山で、別名を高井富士といいます。山の向こう側は木島平村で、木島平スキー場があります。調布市と木島平村は姉妹都市なので、息子達は中学の時にスキー教室で訪れています。この日は二人共ここへ滑りに行きました。左手前には、ホワイトリングとエムウェーブが見えます。右手前の松代大橋のたもとの森には、武田信繁の墓がある典厩寺(てんきゅうじ)があり、ここの川中島の戦いの展示は全て本物なので一見の価値があります。
高社山の山頂の峰には、冬期に雪庇(せっぴ)が、こちら側にできます。踏み抜いて滑落したら助かりません。新年の冬山登山で登る人も多い山ですが、充分に気をつけなければいけません。拙書ではGWころの花をたくさん載せています。古くは修験の山で、山頂の峰には、高森杜神社、御嶽神社が祀られています。
展望台から北を見ると千曲川と川中島の向こうに戸隠連峰と飯縄山がそびえています。飯縄山手前に見える飯綱高原スキー場は、1998年の長野五輪の際にはエアリアルとモーグルの会場になりました。経営難から2020年2月で営業を終了。現在は飯綱高原づなっち広場となっています。右手の信濃町方面にいいづなリゾートスキー場、北側に戸隠スキー場があります。
山頂は右の頂きです。左の南峰には飯縄神社の奥宮があり、上のカットではその建物が見えます。祭神の飯縄権現(飯綱大明神)は、管狐(くがきつね)を使って術を行う飯縄遣(いいづなつかい)の仏神。山岳信仰が発祥といわれる神仏習合の神です。その姿は白狐に乗った烏天狗で、大日如来の化身の不動明王のさらなる化身といわれています。冬山登山は雪がしまる2月中旬以降がおすすめです。もちろん冬山装備は必須。アイゼンも必要です。
別名を戸隠富士と呼ばれる高妻山。奥には乙妻山。手前に戸隠連峰。一番手前は富士ノ塔山の尾根です。
戸隠連峰の西岳の峰々。鎖場の直登や両側崖の痩せ尾根がたくさんあり、高度な技術と経験を積んだ登山者向け。鏡池からその険しい山容が望めます。
西を見ると北アルプスの白馬三山。左にWに切れ込んだ不帰ノ嶮(かえらずのけん)。右の天狗ノ頭から右へ縦走すると白馬三山。左から白馬鑓ヶ岳・杓子岳・白馬岳。明治時代に帝国陸軍陸地測量部が地図を作るために白馬村に訪れた時、この山々には確固たる山名がありませんでした。岳山(たけやま)とか西山とか適当に呼んでいたそうです。そんな馬鹿な話があるかと役人に怒られて、長老が集まって必死に考えて命名。雪型の代かき馬からとって代馬岳、貝杓子に似ているので貝杓子岳、長いので貝を取って杓子岳、尖っているので槍ヶ岳、しかし槍ヶ岳、鹿島槍と既にあるので駄目だと言われて白馬鑓ヶ岳と命名。西山にいる山の主で天狗の尾根、身の程を知らぬ者が天狗に近づこうとして帰れなくなったので不帰ノ岳と命名して今に至ります。代馬岳は、実際の地図では白馬岳となっていましたが、村人達は長い間その事実を知らなかったそうです。(出典:『北アルプス白馬ものがたり』石沢 清著)
手前右の里山は茶臼山(729.9m)。中腹には双子のレッサーパンダが生まれて話題の茶臼山動物園があります。その下には恐竜公園。
左から白馬鑓ヶ岳(2903.11m)・杓子岳(2812m)・白馬岳(2932.24m)。手前の里山は、右が茶臼山南峰(699m)。左には信里小学校とJAの建物や民家が見えます。白く見えるところの多くは林檎畑。標高の高いところではサンフジ、低いところではシナノゴールドや秋映などが作られています。
更に左へ目をやると仁科三山の左に爺ヶ岳、右に鹿島槍ヶ岳。もう一座の武田菱の雪型で有名な五竜岳はその右でこのカットには入っていません。手前は、茶臼山から続く里山で、西山と呼ばれます。高齢者が多いのですが、世界的なミュージシャンが住んでいたり、極上のパンを売るお店や隠れ家的な蕎麦屋やカフェがあるのです。旧更級郡なので、正月は「おしぼりうどん」を食べる習わしが残っています。大晦日の年取り魚は、富山のブリと新潟の鮭を食べる文化が混在しています。
鹿島槍ヶ岳(2889m)。山頂の右手の陰になっている谷には、平家の落人が隠れたというカクネ里があり、上部の雪渓は2018年に長野県初の氷河であると認定されました。
その南に鎮座する爺ヶ岳(2670m)。栂山・栂谷ノ峯・後立山・五六ヶ岳・爺岳・爺子岳とたくさんの別称があります。南峰と本峰の間の白沢の上部には、春に種蒔きをする老爺の雪形が見られ、山名の由来となりました。雷鳥も生息します。以上は、2日の風景です。4日の朝は夜から雪が降り続き、長野市南部でも6センチ。ほぼ一日中降りそうです。雪掻きが大変です。視界は1キロもありません。夜はホワイトアウトするので運転するべきではありません。
●妻女山展望台大パノラマ
◆Queen Don't Stop Me Now
新年にもっとも聴きたい曲。こんな一年をおくりたいものです。
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。