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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

天然マイタケ、ウラベニホテイシメジ、ジコボウ、アカヤマドリ。信州はキノコの季節(妻女山里山通信)

2016-10-08 | アウトドア・ネイチャーフォト
 例年にない長雨で、妻女山山系の地盤はゆるゆる。そのためあちこちで倒木や落枝が発生し、その処理で大変です。今回は、11月6日(日)に行う予定の松代夢空間主催の「妻女山 紅葉と歴史のハイキング」のルートの整備に行きましたが、倒木2本を処理。コースを塞ぐ樹木の伐倒と除草をしましたが、疲労困憊。里山の整備は本当に大変です。

 それとは別の日に、撮影目的ででかけけた遠方の山で、天然のマイタケを発見。全くマイタケを探すつもりもなかったので、発見した時は思わずウォーッと声を上げてしまいました。木につかまらないと登れないような急斜面を下から登って行ったので発見できましたが、下りだったら恐らく気がつかなかったでしょう。
 左右35センチ、奥行きと高さが25センチぐらい。ずっしりと重みがあります。クラクラするほどの強い濃厚な香りがあります。ジコボウ(ハナイグチ)を100本ほど、ウラベニホテイシメジを30本ほど。撮影が目的でザックはカメラや道具でいっぱいなため、上町のPLATINOと田園調布のTEEJUの不織布のトートバックをキノコ入れに持参しましたが満杯になりました。
 過大評価されている松茸ですが、天然マイタケやホンシメジを食べたことのある人はほとんどいないでしょうから、評価もできないのは無理もありません。香り松茸、味シメジといいますが、旨味成分は松茸の2倍以上。マイタケは、早速イガチクと地粉の手打ちうどんにしましたが、仰け反るほどの旨さでした。ついでマイタケの炊き込みご飯。シンプルに鰹出汁でニンニクしょうゆ炒め。いずれも絶品でした。次はパスタにも挑戦。茶碗蒸しもいいですね。

 食菌のウラベニホテイシメジ(左・中)。軸は中実とありますが、これぐらい大きいとゆるゆるで空洞ができます。しかし、クサウラベニタケの様に真ん中に丸い穴が空いているわけではありません。中の写真の様に、地中部が長いのです。
 右はクサウラベニタケ。傘の色がまるでウラベニホテイシメジですが、軸が細く地中部がないのでウラベニホテイシメジではないと分かりました。こういう色のものもあるので要注意なのです。

 今回、一瞬迷ったのがこれ。軸も太くウラベニホテイシメジの様ですが毒のクサウラベニタケです(左)。軸を切ってみると断面に丸い空洞がありました。中と右も色合い的に迷うかもしれませんが、クサウラベニタケです。特に右の写真などは、ウラベニホテイシメジに見えるのではないでしょうか。しかし、軸の地中部がなく、枯葉から出ています。同じクサウラベニタケでも色や形にこれだけの違いがあるのです。図鑑で同定は無理。
★数十年ウラベニホテイシメジを採取している私は一度も間違ったことがありません。極意は、怪しいもの、迷ったものは絶対に持ち帰らないことです。軸の細いもの、地中部が短いものはウラベニホテイシメジと同定できても採りません。

 食菌のウラベニホテイシメジ(左)。この近辺で十数本採れました。すぐ近くにあった有毒のクサウラベニタケ(中)。これは軸も細く、傘もやや薄紅色なので分かります。
 シロシメジではありません。シロノハイイロシメジ(右)。熱を加えると猛烈に臭く、とても食べられません。アメリカではスカンクの臭いとか。

 致死量がわずか8グラムの死の天使、猛毒のドクツルタケ三姉妹(左)。今秋は山中に生えています。中は、傘の直径が25センチ余り、高さもそれぐらいの、たぶんミドリニガイグチ。これも山のあちこちに生えています。苦くてとても食べられません。昔誤って小さなニガイグチが一本入り、鍋をまるごと捨てたことがあります。
 カブラテングタケ(右)。これも不食。大きくなると傘の直径が25センチを超えます。

 ジコボウ(ハナイグチ)の幼菌(左)。別の日に300本ほど採りましたが、小さいものを採り、大きいものは残しました。大きいものは消化が悪いのです。胞子を飛ばしてもらうためにも残します。食菌のヌメリイグチ(中)。シロヌメリイグチもありましたが、当地では誰も採りません。傷みやすいのとジコボウに比べると美味しくないからです。傘の直径が15センチ以上あるウラベニホテイシメジ(右)。傘の裏が薄紅色なので老菌ではありません。充分に美味しくいただけます。茶褐色になっていたら食べられません。

 恐らくテングタケ科のキノコ(左)。図鑑を見てもこれといった種と同定できませんでした。中の紫色の小さなキノコも未同定。検索しましたが、同じものは見つかりませんでした。キノコはまだまだ種が確定されていないものがたくさんあるのです。
 食菌のアカヤマドリ(右)。これは傘の直径が10センチほど。虫が入りやすいので、これぐらい小さいものが食べるのには最適。醤油や和風出汁と合わないので、おすすめはオムレツやバターソテー。今回はスライスしてオリーブ油でガーリック炒めにしてみましたが、歯切れもよく美味でした。

 木漏れ日のスポットライトを浴びて現れたザトウムシ。座頭虫と書きますが、目がないわけではなく、ちゃんとあります。アメリカではあしながおじさんと呼ばれる森の掃除屋さん。小さな昆虫やミミズなどを食べます。8本脚でダニに近い仲間で日本には80種以上います。この個体は前から二番目の脚が欠損していますが、普通のことです。種の同定は難しいのですが、大波座頭虫かもしれません。
 台風18号は、信州に大雨はもたらしませんでしたが、もの凄い突風が吹いて、妻女山山系は滅茶苦茶になりました(涙)。これは相当酷いだろうと覚悟して翌日登りましたが、なんとMさんが、林道を塞いでいた欅の倒木、コナラの倒木、赤松の倒木を処理してくれていました。宙吊りになった落葉松は、下をくぐれるので後日。助かりました。私はその後始末と林道に落ちたもの凄い量の落枝を片付けました。11月6日に松代夢空間主催の「妻女山 紅葉と歴史のハイキング」のコースも、もう一度チェックしなければなりません。自然は生き物です。絶えず変化します。実は同じ風景は二度と無いのです。

 この三種のキノコを完全に見分けられないなら、ウラベニホテイシメジは採るべきではありません。まず左のキノコ。軸も白く太く、傘も霜降りで、一見ウラベニホテイシメジの様ですが、毒のイッポンシメジです。中はクサウラベニタケ。軸は中空で根が地中からではなく枯葉から出ています。ウラベニホテイシメジは軸が深く地中に潜っています。
 右がウラベニホテイシメジ。傘の直径は15センチほど。ここまで大きくなると軸はわりとスカスカで中空の様にも見えますが、クサウラベニタケの様に中央に丸く穴があるわけではありません。このウラベニは傘の裏が茶褐色なので老菌。食べられません。お腹を壊します。妻女山山系のキノコの季節は、一旦終わりです。次はしばらくしてムキタケやムラサキシメジなどの晩秋のキノコの季節になります。

 マムシグサの実(左)。有毒で、誤って食べると口中がただれます。ウマノスズクサ科カンアオイ属のカンアオイの一種(中)。カンアオイの仲間は50種ほどあり、同定が非常に困難です。これはどんな花が咲くのでしょう。驚きました。季節外れのヤマツツジが咲いていました(右)。

 妻女山展望台から久しぶりに見る、左に爺ヶ岳、右に鹿島槍ヶ岳。この夏はほとんど見られませんでした。千曲川に掛かるのは岩野橋。その向こうは、第四次川中島合戦の時に、最初に武田信玄が本陣を構えたという横田城跡のある横田地区。茶臼山に布陣は、江戸時代後期に作られた物語です。

 右に目をやると茶臼山の向こうに白馬三山。左から白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳。その右の里山は、拙書でも紹介の神話の山、虫倉山。神城断層地震で、山頂が四割も崩壊してしまいました。千曲川の川原の大きな樹木はヤナギ。タチヤナギが最も多く、カワヤナギ、オノエヤナギ、ネコヤナギ、コゴメヤナギなどがあるらしいのですが、同定は難しいですね。近年はハリエンジュ(ニセアカシア)が増えて問題になっています。手前の畑の濃い緑は、長芋です。葉が枯れると燃やして芋掘りが始まります。高齢化により、耕作放棄地が年々増えています。

ウラベニホテイシメジとクサウラベニタケ
ウラベニホテイシメジとクサウラベニタケの見分けクイズ!!

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本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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