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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

ニホンカモシカも春待ちかねて……(妻女山里山通信)

2010-02-26 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 ここ数日で急に気温が上がり、里山の雪も一気に消えてゆきました。カエデやニワトコミヤマウグイスカグラの冬芽も膨らんできました。草は芽吹いてきましたが、若葉はまだ。ニホンカモシカの餌が充分とはいえません。そんな暖かいある日の午後、わが家の山にいつものニホンカモシカがやってきました。

 いつもは、向こうに先に発見されるのですが、今回は向こうが気付かすにやってきました。檜(ヒノキ)の幹の陰に隠れて観察していると、枝落としした檜の葉を食べています。やがて気配を感じて、こちらに気がつきました。15mほど離れていることと、顔見知りなので逃げません。

 落としたヒノキの葉を持って振ると、興味深そうに見ています。もちろんやってきて食べたりはしませんし、餌付けもするつもりもありませんが、首を傾げて不思議そうに見ているような仕草が妙に可愛らしい。しばらくすると消えたので、どうしたのかなと林道を歩いて見下ろすと、急斜面の下の方の段差で座っています。反芻タイムなのでしょう。反芻している間は、じっとして動きません。ご飯食べたらしばらくはジッとしていないとダメだよと、昔親に言われたあれです。無防備になるため、反芻は森の中の周囲を見渡せる急斜面や崖の棚などでするようです

 このニホンカモシカの食害が植林地では問題になっています。檜の苗木を好んで食べてしまうようです。そこで、特別天然記念物ですが、特例として駆除されることもあるようです。雨でも落ちない唐辛子スプレーをかけておくとか、なにか手だてはないものでしょうか。この間は杉の葉を食べていましたが、檜があるとそちらを好んで食べるそうです。檜の方が栄養があるのか、美味しいのか、尖っていなくて食べやすいのかわかりませんが、枝落としした檜の葉をまとめて置いておきました。

 ニホンカモシカは、色々な植物を食べるようですが、さすがに毒のあるアセビやヤマトリカブトは食べません。山菜は人間が食べるものならたいてい食べるようで、蕗、独活、行者大蒜なども食べます。キノコや苔も食べるようです。冬は最も食糧の乏しい季節なので、見ると枯葉や冬芽、針葉樹の葉などを食べています。春はニホンカモシカにとっても待ち遠しい季節でしょう。

 ニホンカモシカの角は、鹿に比べると短いのですが、角研ぎはします。すべすべした木を好むようで、カエデやリョウブなどが使われ、角研ぎをされた木は樹皮が剥けてしまいます。糞場は縄張りの中に何カ所かあって、朝と夕方には必ずするようです。反芻する場所も何カ所かあって、そこは窪地になっています。

 暖かくなったといっても、開花したのはわずかの蕗ぐらいですが、目を凝らすとオオイヌノフグリがいくつか咲いていました。早春から咲く可憐な花ですが、大犬の陰嚢という、あまり可愛らしくない名前をいただいてしまいました。元となった犬の陰嚢がなければ、こういう命名にはならなかったでしょうが、その元のイヌノフグリは、帰化植物のオオイヌノフグリにおされてなかなか目にすることがない植物になってしまいました。蕗の薹(フキノトウ)を探して落ち葉をどけると、バイモの新芽が出ていました。

●オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢、学名 Veronica persica)とはゴマノハグサ科クワガタソウ属の越年草。別名、瑠璃唐草・天人唐草・星の瞳。 アジア西部や中近東の原産で、ヨーロッパを中心に世界中に広く帰化している越年草。山の日当たりの良い山里の草地や畑の畦道、土手の斜面などに見られます。 早春にコバルトブルーの花をつけるます。

★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、地衣類、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。

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