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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

森の貴婦人 紫占地の絶品おやき!:新信州郷土料理(妻女山里山通信)

2009-11-14 | 男の料理・グルメ
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 雨上がりの山へちょっときのこ狩り。出発が午後2時過ぎと遅かったので走って山越え。林道は落葉松の落ち葉で一面芥子色。それは見事です。落葉もかなり進んで森も見通しがよくなってきました。きのこの季節もそろそろ終盤ですが、積もった落ち葉のために探すのは容易ではありません。シロを知らないとまずみつかりません。

 雨後のため森は湿っていて、落ち葉を踏みしめても無音です。途中落葉松林できのこ狩りをしている男性がいました。あの森は時候坊のシロがあるところ。しかし、度重なる豪雨で林道の土砂が流れ込み、めっきりきのこが出なくなった場所です。私はさらに山奥を目指します。深山ではどんぐりもなくなって、そろそろ冬眠前の熊も里近くまで下りてくる頃です。しかし、見通しがよくなったので熊鈴はつけません。

 山奥のシロを駆け足で見ていくと、枯葉の下にポツポツと紫占地を発見。虫もついていないきれいなきのこです。黄色や茜色、焦げ茶の枯葉の絨毯に、紫色の鮮やかなきのこが隠れています。きのこを採ったら、石突きははさみで切るか、石突きの菌をとって埋め戻します。たくさん発生している菌糸を見つけたら、半分ぐらい採取して、わが家の山に移植します。こうしてわが家の山にも大きなシロができました。

 前記したように紫占地は日本では栽培種が量販店で市販されていないので馴染みがありませんが、フランスではピエ・ブルーといって栽培種が高級食材として売られています。バターやクリームなど乳製品との相性がいいので洋食にも合いますが、今回は信州名物の「おやき」にしてもらいました。

 紫占地は、水気をしぼるか半日ほど干して刻み、油で炒めます。和風出汁と味醂を少し加えて信州味噌を加えてさらに炒めます。水気が多すぎるようでしたら片栗粉でとろみをつけます。これをみみたぶくらの柔らかさにねかせた小麦粉に包み、油で焼いて焦げ目をつけてから蒸ししてできあがりです。少し冷めたぐらいが紫占地の旨さがにじみ出てなんとも美味です。山の秋をまるごといただく。そんな感じです。

 今年のきのこ狩りもそろそろ終わりです。今年最大の収穫は、なんといっても今や松茸以上に高価で幻の、本占地のシロを発見したことです。鬼が笑ってしまいますが、来年の秋が楽しみです。

★新信州郷土料理は、MORI MORI RECIPE(モリモリ レシピ)をご覧ください。時候坊料理のレシピやブナハリタケ、マスタケ、幻のイワタケなどのレシピもあります!

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