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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

県の天然記念物のミヤマモンキチョウを求めて峰の原高原から根子岳へ。妻女山のいま(妻女山里山通信)

2017-06-25 | アウトドア・ネイチャーフォト
 そろそろ羽化して舞っているのではと先週の金曜日は早朝から峰の原高原へでかけました。

(左)旧大笹街道を歩き、白樺並木の小径を菅平牧場へと歩きます。(中)牧場で入山料200円を箱に入れて牧場のフェンス沿いの道を登って行きます。ツツジの枝にアワフキムシ。泡をどけるとハサミムシみたいな黒い幼虫がいます。(右)登山道の沿いにはたくさんのミネヤナギ。風が吹くと綿がフワフワと舞います。

 登山道沿いには上の方までずっとレンゲツツジの群落が続きます。有毒なので決して蜜を吸ってはいけません。笹の葉が朝露に濡れて光っています。カッコウの鳴き声がします。中腹ではホトトギス。もっと上ではウグイス。気温は低いのですが直射日光がきつい。赤松やシラビソの日陰が助かりました。

(左)レンゲツツジ。場所によって満開、残花、蕾と色々でした。(中)イワカガミ。登山道沿いの斜面であちこちに見られました。可憐な花です。(右)神話にも登場するヒカゲノカズラ。他にはベニバナイチヤクソウなども。

(左)ミネザクラ。山頂付近の登山道沿いに散見されました。(中)撮影しながら2時間ちょっとで山頂。まだ9時なので誰もいません。(右)山頂の神社。名前の由来などは拙書でも紹介しています。

 時間もたっぷりあるので、四阿山方面へ。左手前に見える溶岩ダイクのところまで行ってみようと思いました。ところが、溶岩ダイクの手前で左下の急斜面の藪の中からなにか獣の大きな足音が向かってくるのに気づきました。間違いなく月輪熊だと思い、足踏みで激しく地面を叩き、大声をあげました。しばらくして去って行きましたが、念のため戻ることにしました。ニホンカモシカだと足音はたてませんし、イノシシだとたいていブヒブヒと鳴いています。間違いなく月輪熊だと思うのですが、なんでこんな山頂付近に来たのでしょう。好物の根曲がり竹はもっと低いカルデラの中ですし。

 山頂から北東を見るとザレ岩。米子大瀑布へと下っていく登山道が見えます。このルートはマイナーですが、非常にいいコースなので拙書でも紹介しています。四阿山、根子岳、浦倉山のカルデラ周回コースは、23キロ歩いて10時間ほどかかりますが、非常に魅力的な山行が楽しめます。地図やコースの状況などは、ぜひ拙書をご覧ください。

 帰路は小根子岳に寄りました。そこから見る右手前に根子岳。左奥に四阿山。

 小根子岳から西の展望。眼下にダボスと菅平のペンション街。左向こうに大松山。ゲレンデの麓は、高原野菜の白いマルチが光っています。右の奥は拙書でも紹介の鏡台山。さらに右へは妻女山まで長い戸神山脈が続きます。

 標高1800m辺りでミヤマモンキチョウに邂逅。慌ててレンズをマクロに替えて撮影。しかし、彼らが好む夏の花がまだ咲いていないため、すぐに飛び立ってしまうので、撮影は困難を極めました。吸蜜しているのは、ミヤマニガイチゴでしょうか。アザミ類とかが咲き出すと、もっと長時間吸蜜するので撮影もしやすくなります。県の天然記念物ですから捕獲はもちろん禁止です。

 下の牧場でも舞っていましたが、牧場の中には入れないので撮影不可。気になったのはシロツメクサがあるので、モンキチョウとの交雑種が発生しているのではと。2年前にブログに書きましたが、向かいの大松山のは交雑種の可能性があると、友人の蝶の研究家が言っていたものですから。心配です。ただ撮影できた個体は、牧場より標高がかなり高い場所でのものなので交雑の心配はなさそうです。
天然記念物のミヤマモンキチョウに会いに峰の原高原から根子岳へ(妻女山里山通信)
猛暑を逃れて菅平高原の大松山へ。ゲレンデのジャングルに突入。穴場です(妻女山里山通信):ミヤマモンキチョウとモンキチョウの交雑種!?

 レンゲツツジ越しに見上げる根子岳。下界は最高気温28度だった様ですが、菅平は22度。根子岳山頂は16度。爽涼の風が吹き抜けて気持ちのいい山行ができました。

 ホームフィールドとして定点観察と撮影を続けている妻女山のいまです。(左)妻女山松代招魂社。昨年はオオムラサキが舞い始めていたのですが、今年はまだ。春先の低気温や雨が影響しているのかもしれません。今年は発生数が少ないかもしれないと思っています。森の杏も不作です。(中)仲間としている椎茸の原木栽培ですが、季節は終わりです。ひとつだけ大きなものがありました。これは天ぷらにしました。(右)ソメイヨシノの桜ん坊。道にたくさん落ちていて、車で走るとプチプチと潰れる音がします。

(左)シモツケが咲き始めました。草本のシモツケソウというのもありますが、妻女山山系で見られるのは、木本のシモツケです。(中)春には貝母(編笠百合)が咲き乱れた陣馬平。そろそろオオムラサキが舞い始める時期です。(右)仲間と貝母の群生地を守るためにヨシとノイバラを除去したところに、ヒメジョオンがパイオニアプランツとして侵入してきました。実はどんな植物が寡占するだろうと興味深く観察していました。5月のハルジオンは、ウスバシロチョウやゼフィルスが好んで吸蜜に訪れます。しかし、ハルジオンもヒメジョオンも環境庁が定める100種の有害な外来植物でもあるのです。貝母には直接影響はないと思いますが、来月の妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業で除草することになると思います。我々が抜き取ったことで、オオブタクサはかなり減りました。しかし、カモガヤは減りませんね。長野市に委託されて除草する業者も、帰化植物について全く知見がないのも問題です。妻女山への舗装路や林道沿いを一律に草刈機で除草してしまいます。そのため、この時期にゼフィルスが卵を産み付けるイボタノキとかも切られてしまいます。何百何千という蝶の卵が失われるのです。そもそも行政が無知、あるいは現状を把握できていないことが大問題だと思います。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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