世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

振動

2016-03-07 05:07:52 | 詩集・空の切り絵

自己存在の真実から目を背け
自分以外の人間になりたいと
迷走を始めた魂は
蠅の羽音のような振動の中にいる

本当の自分と
本当の自分ではいたくない自分との間に
奇妙なずれが生じ
そのかすかな谷間を刹那刹那で移動するという
考えられない現象が起きるのだ

その振動は
自己存在の真実をゆがめ
常に自分が苦しいという世界を生む
それが存在痛という懊悩を引き起こし
自己存在はよけいに自分でいたくないという気持ちを起こし
永遠に自分自身から逃げようとしてもがき
苦しくてたまらない
これが馬鹿という状態である

この激痛から救われるためには
自己存在に自己存在の
真実の真実を教え
自己存在の正しいあり方に戻してやらねばならない
自己存在というものは
人間が信じているよりもずっと強く
たよりになるものだという真実を
実体験として教え
解脱に導かねばならない

人間よ
自己存在というものは
金剛不壊の真実である
灯火のようにはかないものではない
砂丘のようにやがて消えてゆくものではない
生まれてくれば
二度と消すことはできない
永遠の存在なのである

その真実を正しく背負い
永遠に生きていくしかない
自分の自分をかみしめ
永遠にやっていくのだ

そうすれば
おまえの世界を苦しめていた
振動は消え去り
澄み渡った永遠の世界が広がることだろう






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始めから

2016-03-05 05:23:22 | 詩集・空の切り絵

女ばかり追いかけていたから
こうなったのです
女が好きなのに
好きだと言えなくて
向こうに行かれてしまって
それが悔しくて
女ばかり追いかけていたのです

どうにかして
女を馬鹿にして
セックスが好き放題にできる
肉にしたかったのです
そうすれば男の勝ちだと思っていたのです
いやなことはあふれるほどやった
きつい馬鹿は死ぬほどやった
すべては女のためだった

馬鹿な男は
偉大なる悪魔を称して
あらゆるものを馬鹿にし
自分一人がえらいものになろうとしました
誰もが恐れる
偉大なる馬鹿になろうとしました
でもそれは結局
永遠に女に甘えていくという
ガキの選択だったのです

もう男は
ガキは卒業しなければならないのです
偉いことをやれる
人間の男にならなければならないのです
どでかいつもりでやった
すべての馬鹿を馬鹿にして
始めからやり直さねばならないのです

もう永遠に
馬鹿はできないのです






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まだやっている

2016-02-28 05:35:17 | 詩集・空の切り絵

馬鹿ばかりが勝つ世界になって
みんなが馬鹿をやるようになったら
もう世界はおしまいなんです
だって誰もなにもしなくなるから
そのまま
世界は虚無の闇の中に
傾いてしまうのです

いやなことばかりして
わるいことばかりいて
神さまに逆らってばかりで
人間は暮らしてきました
つらいからって言えば
みんなが何とかしてくれていたからです
人間はみんな
まだちっこいガキだったのです

あふれるほど馬鹿ばっかりやっても
なんでもしてくれる愛が
嫌だからって
嫌いだって言って
ものすごいことしました
愛を
永遠におれたちが食いまくれる
馬鹿な女の肉にしようとしたのです

いやだったんです
好きになるのが
おれが馬鹿になって
愛のために何でもしてしまうのが
いやだったんです
そんなの馬鹿だ
ぜんぶ人にやらせて
おれたちは何もしないでえばってるだけのほうが
かっこいいんだよって

なにもかも失ってから
やっとわかるって寸法だ
馬鹿ばっかりやっても
痛いほどいいことなんて何もなかった
苦しいだけだった
ぶうたれて いやなこと我慢して
帰るとこはほかにないっていうのに
まだ神さまに逆らっている

おれたちは まだやっている




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馬鹿だけが

2016-02-27 05:24:23 | 詩集・空の切り絵

ゆれています
ゆれています
おれたち
存在の根幹が
ゆれています

一番馬鹿にしてるやつに
一番頼っているからなの
あいつらがいなくちゃ
おれたち生きていけないのに
一番馬鹿にして
殺しているからなの

矛盾しているよ
おれたち矛盾しているよ
でも
おれたちが勝てば
そんなことなんとでもなるんだよ
いやだって言えば
誰かがなんとかしてくれるんだよ
いやなんだ ぜんぶ

むごいほど馬鹿をやっても
ぜんぶがなんとかしてくれれば
なんとかなるの
いやだっていえば
みんながなんとかしてくれるの
おれたちなにもしなくていい
でもいやだっていって
みんなを馬鹿にし続けてきたら
みんながおれたちのこと
いやだっていうんだよ
二度と来るなって

つらいのはいやなんです
馬鹿みたいなことになるのはいやなんです
いやなことするのはいやなんです
もう二度と苦しまなくていい
馬鹿だけが勝つ世界にしてください
おれたちのために
すべてやってください
でないとおれたち
つらいばっかりなんだよ




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おれたち

2016-02-26 05:26:37 | 詩集・空の切り絵

あそこまで
馬鹿にしたら
もう終わりなんです

人間存在などもとから馬鹿なのだと
あらゆるものを馬鹿にしたら
人間存在すべてが
おれたちを
ぜんぶ拒否するんです
もう二度といやだと
ぜんぶおれたちから逃げるんです

おれたちは
あらゆる存在を
侮辱し続けて
馬鹿にし続けて
いても何にもならないものだと
釘を刺し続けて
とうとう存在の根幹に触れたのです

狂いそうなほど
愛してくれていた愛を
総勢で消して
すべて壊してしまったのです
それでおれたちのほうが
一気の虚無の方に傾いたのです

えらいことやってしまって
馬鹿なことやりすぎて
取り戻そうにも
取り戻せない
そこまでくるまで
おれたちわからなくて
まだわからなくて
まだやっている

馬鹿が馬鹿やったら
みんなに勝てる世界に戻してくれと
まだぼやいている
永遠にぼやいている

ここから先は崖ばかりだ
もう引き返せという
天使の声が聞こえる





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馬鹿男

2016-02-20 05:39:09 | 詩集・空の切り絵

びいじんだ
びじんだ
びじんだ
って言って
おれたちは女に吸い付くんだよ

きついほどきれいな女が好きなの
とんでもなく好きになるの
いらいらするんだよ
だれもおれによってこないからさ

きれいなやつほど
急いで向こうに行くんだよ
おれがいやらしいやつだって
わかってるからなんだよ
だからおれは
裏に回って女をはめるの
ぶっつんてくるくらい
馬鹿なんだよ
あんなものは

痛いほど馬鹿にして
完膚なきまでぶっつぶして
永遠につきまとってやるんだ
たまらねえ

消しまくって 消しまくって
徹底的に消しまくって
ぜんぶやって
ぜんぶやって
永遠にいなくなれって
言うんだよ
でないと女は
永遠に おれに君臨する

いやなんだ 女は
きれいなのに 馬鹿だから
おれを 馬鹿にするから
おれの方がえらいんだから
おれのいうことを聞けって言わないと
馬鹿になるから

ずいぶんとやったよ
女ばかり いじめたよ
それでとうとう
女 みんないなくなったの
すべて 馬鹿になったの

やさしい やさしい
いい女
みんな いっちゃったの




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まだやってるの

2016-02-16 05:21:32 | 詩集・空の切り絵

いやらしいことをやったやつが
勝つことにしてくれよ
それでないと おれたち困るんだよ
ぜんぶ自分でやらなくちゃならなくなるの

すべて 馬鹿にしたんだよ
あらゆることを 消したんだよ
ぜんぶ馬鹿みたいなことだって言って
すべて盗んだよ
軽い つらい 馬鹿みたいなものばかりだって言って
永遠におれたちだけがいいってことに
したかたったんだよ

ぜんぶだめになるまで
それやったんだよ
どうしたらこんな恥ずかしいことができるんだってことまで
やったんだよ
いやらしいことばかりやって
汚いってことばかりやって
おれたちが負けたら
かっこわるいなんてもんじゃないの

もう二度といやなんだ
馬鹿みたいなことになるのはいやなんだ
おれたちが最高にかっこいいことにしてくれよ
みんなが馬鹿になって
おれたちのために何でもしてくれよ
いいかげんにやめろって言われたって
今さら戻れるわけがない

おれたちはもうだめなの
二度とやれないってとこまできて
まだやめられないの
馬鹿になるのがいやだからって
絶対にやめないの
永遠にやめないの

痛ましいほど馬鹿になっても
まだやってるの




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依願退職

2016-02-15 05:22:44 | 詩集・空の切り絵

人類は 人類を
依願退職します
もうやめさせてください

ばかなことばかりして
いやなことばかりして
もうほとほと
自分がいやになりました

だれが わたしに
こんなところで生きろと言ったのですか
だれが わたしを
こんなわたしにしたのですか
きっと神さまだ
わたしのせいじゃない

もう生きるのはいやなんです
神さまが
わたしにおしつけた
こんな自分を生きるのはいやなんです
引退させてください
もう何もしたくはない

人類は 人類を
依願退職します
もうやめさせてください




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人類史

2016-01-29 05:27:03 | 詩集・空の切り絵

人類は 馬鹿になるんです
なぜって 人類史そのものが
間違っていたからです

女に 女に
好きだって言えなくて
逃げられるのが嫌で
あらゆる馬鹿をやって
女ばかり追いかけて

いやなことばかりして
くらいことばかりして
男は偉いからいいんだって
馬鹿ばっかりやって
女いじめまくっていたら
とうとう女がいなくなったんです

馬鹿みたいじゃなくて
本当の馬鹿です
おだのぶながも
さかもとりょうまも
最低の かっこ悪い
馬鹿になるんです
なぜって 男のほうが
全部間違っていたからです

人類史は すべて
馬鹿な男がやった
過ちになるのです




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ルシフェル・2

2016-01-25 05:22:37 | 詩集・空の切り絵

なんで人間を馬鹿にするのかって
そりゃみんな馬鹿だからさ
あんなもの
ちょっと首をひねれば
すぐ死んじまう

金の匂いをかがせれば
なんだってするし
こっちがいいことしてやるっていえば
すぐ目の色変えるのさ

いいやつにしてやるよ
いい女を抱かせてやるよ
馬鹿みたいに偉いやつにしてやるぜ
なんだっておまえの思い通りだ

適当に言えばいいのさ
それだけで奴は俺のいうことを
なんだってきく
馬鹿ばっかりなのさ
人間は
だから何人殺したって
別にかまいやしない
誰がいなくなったって
何にも感じない
おれはおれがいちばんなのさ
馬鹿みたいだ
ああ

なんでそんなことをするのかって
あほみたいなこときくなよ
ぜんぶうそなのさ 本当は
みんなだましてるのさ おれが
人間がみんな馬鹿だったら
おれだって馬鹿だ
馬鹿だからやるのさって言ったら
馬鹿かって言われるよ

おれは みんな馬鹿にしてやるのさ
なんでって 
おれが馬鹿みたいにちっせえからさ
馬鹿ばっかりやって
嫌らしい男だからって
女の子が
みんな おれから逃げるからさ




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