世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

どこへ

2015-10-21 04:02:09 | 詩集・空の切り絵

馬鹿が偉いという
世界を創りたかったんです
勉強したって
あいつらには追いつけないから
そんなのは馬鹿にして
馬鹿の方が偉い世界を創ろうとして
あらゆることをやったんです

人からいいもん盗みまくって
馬鹿ばかりえらくいいもんにして
本当にいいやつには糞ばかり食わして
ぜんぶだめにしてやったんです

そしたら 突然世の中ひっくり返って
今までやってきたこと
すべてがだめになったんです
なんでって 俺たちが創ってきたものみんな
馬鹿が好きになるおもちゃみたいなもんばかりで
本当の人間はそんなもんいらないっていうんですよ

地位も名誉も金も大きな家も美人の妻も
馬鹿かおまえはって言われるだけで
うらやましいなんて誰も思ってくれない
おれのもんみんな
何でもない馬鹿になってしまったんです

みんな みんな行ってしまう
新しい世の中に
星みたいな光を持って
行ってしまう
おれはどうすればいいんだ

馬鹿ばかりになった
おれのガラクタを引きずって
どこへいけばいいんだ

(もうやめろ)
どこからかだれかの声が聞こえる




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ひかり

2015-10-18 04:22:10 | 詩集・空の切り絵

あしたの ひかりを
野の花のように摘んで
心臓の壺に差し
生きてゆくことが
小鳥が土の中を飛ぶことよりも
むずかしい
世の中を 生きていました

みんな 人間は
自分の思いどおりにならないことばかりで
生きるのが苦しくて
傷つけあってばかりいて
それでいっそう生きることがつらくなって
また人間同士で馬鹿にしあって
もっと苦しくなって
世の中は そんなことばかりで
正直に美しく生きて行こうとすることは
本当に難しかったのです

空を見上げながら
神さまの涙を飲んで
わたしを信じてくれる
すべての風を抱きしめて
明日も生きて行こうと
わたしは自分の心臓に棲んでいる
小鳥に言いきかせて
生きていたのです

何をしなければならないのかは
なかなかわからなかった
けれど 空の上から
虹がわたしのところに降りてきたとき
それがわかった

つらくても 苦しくても
自分を捨てずに
がんばって生きて来たことが
これですべて生きることになる
わたしはそう思って
胸一杯に風を吸い込んで
高く 高く 世界中に向かって
小鳥のように歌を歌ったのです






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ヘラ

2015-09-26 04:02:22 | 詩集・空の切り絵

アフロディテは去った
アルテミスは冷笑し
デメテルは沈黙する

アポロンは
ダフネーの根元で餓死し
ゼウスは
アンティオペとともに
オリンポスから追放される

黄金のヘラは
玉座につき
孔雀の翼をもつ天使に
ラッパを吹けと命じる

あらゆる男どもよ
あらゆる女どもよ
すべての苦しみは
もう終わった

雷撃のゼウスは
いかさまの助べえに過ぎなかった
全能というは馬鹿の別称だ
全てを騙してきた
馬鹿男の末路を
思いきりあざ笑うがよい

もう二度と
あの男のわがままで
苦しむ必要はないのだ
人々よ
シシュポスを解放し
ヘラクレスの道を拓き
アテナの山を登れ

黄金のヘラは全ての愛を認め
光を注ぎ
自己存在の意義を
松明に燃やして叫ぶ

ゆけ
人間どもよ
すべてをすくうために
今こそ立ち上がるのだ





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悪魔

2015-09-24 03:37:29 | 詩集・空の切り絵

ねたんでたわけじゃないんだよ
完全に
おれたちの方が勝つと
思ってたんだよ
だって奴らには
おれたちみたいに
馬鹿なことなんてできないからさ

知らなかったんだよ
あれくらいすぐだませると
思ってたおんなが
すべて耐え抜いて
あんなことやれるなんて
知らなかったんだよ

普通これくらいやれば
おんなも馬鹿なことやって
馬鹿に落ちると思ってたんだよ
まさかあそこまでやられるとは
思っていなかったんだよ

あほが
女ひとりひっくり返せないからって
焦ってなんでもやってたら
気づいた時には
おんなはみんないなくなっていた
どこにもおんなはいなくなっていた

はずかしいことをやったんじゃないんだって
思いたいから 
絶対にやっつけなくちゃって
馬鹿にしてばかりいたら
とうとうおんながみんないなくなったんだよ
ぜんぜんだめだ

ごめんなさいって
今さら言っても馬鹿になる
おれたちは愛の世界から締め出されて
永遠に好きなおんなに会うことはできないの
いやなことやわるいことを
そこぬけにやっちまったら
そういうことになったんだよ

おれたちはこれから
二度と会えなくなるまで
おんなを食いまくったやつって
そう言う名前で呼ばれることになるんだよ

なにもかもはおんなのために
おんなを手にいれるためにやったことだと
神さまにはとっくにばれていたんだよ




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いれずみ

2015-09-21 03:53:58 | 詩集・空の切り絵

いやといわれるのが
いやなばっかりに
おとこはおんなに
あいしているといえなくて
ばかなことばかりして
おんなをいじめてばかりいて
おんながばかだからわるいんだと
いやらしいことばかりして
とうとうまるごと
おとこはばかになったのさ

からだばかりでかくなって
きもは太いぞというふりをしても
そのなかをのぞいてみれば
ひよこよりもよわい心がある
おんなにすきといえなくて
けっこんしてくれといえなくて
ずるいことやわるいことばかりして
おんなはみんなばかばかりなんだ
だから好きなようにしていいんだということにして
みんな殺してきたんだよ
それでとうとうおんながいなくなって
おとこはまるごとだめになったのさ

ばかのしるしは
きせいちゅうのように
おとこのからだのなかで
のびたりちぢんだりしながら
えいえんにきえない
生きたいれずみになるんだとさ
それはときどき顔にでてきて
それをみると
そいつがやったことみんなにばれて
みんな はなれていくんだと

かわいそうなんて
だれもおもっちゃくれない
だってあいつ
おんなをみんな殺しちゃったんだもの
すきだっていえなくて
けっこんしてほしいっていえなくて
ずっとばかなことばかりして
おんなばっかりいじめてきたんだよ
それでとうとう
法則があふれかえって
おとこがまるごと
ばかになったんだよ




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馬鹿の末路

2014-05-08 06:10:28 | 詩集・空の切り絵

かっこいいつもりで
かっこいいつもりで
かっこいいつもりで
やったんだよ

はでに はでに
みんな馬鹿だって言って
いたいほど
おれたちはええって言って
おおいばりで かっこよくやったんだよ

大舞台で 見え切って
ばっかじゃねえの
あっほじゃねえの
おれたちみたいにやれよ
馬鹿みたいにあほなことして
えれえいいことんなってみろよ
ばっかじゃねえの
ばっかじゃねえのって
あれほど あれほど
あれほどやったのに
ぜんぶだめんなるのって
ないよお

あほじゃねえのって言って
やったやつが 馬鹿だったんだってことんなれば
かっこわるいなんてもんじゃねえ
やめてくれよ
あほじゃねえのって言ったのに
今さら馬鹿だったなんて
たまんないよお

どうにかしてください
どうにかしてください
とにかく なんとかして
おれがかっこいいことにしてくれよ
みんなが馬鹿んなれば
おれがかっこいいことになる

どうにかしてください
どうにかしてください
しつこいほど しつっこいほど言うんだよ
かんべんしてくれえ
たまんないよお
おれ すっげえことやったんだよ
あっほみたいに

あれみんな ぶすな男がやった馬鹿になるんだよ
いたいよお



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アテナ

2014-01-17 09:32:47 | 詩集・空の切り絵


知者の泉を飲み
勇者の実を食べ
真実の紅をひきなさい

アフロディテは去った
アルテミスは冷笑し
デメテルは沈黙する

女性たちよ
アテナの元に集え
愛することを
ただでやってはならぬ
代償をとりなさい

アテナの名の元に
この処女の衣をとりたいのなら
アテナの知と勇に挑戦せよと
男に言いなさい

進化する女性存在よ
立ち上がり
エデンの森をはなれ

アテナの山にのぼりなさい





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イヴ素質

2014-01-16 11:47:34 | 詩集・空の切り絵


人類の女性は 神により
すばらしい素質を与えられていた

すべての存在を無条件に許し
無条件に愛していけるという
素質である

これをイヴ素質という

しかし
人類の男性は
これを拒否し これを汚し
これを侮辱しつくした
ゆえに この美質は
神によって管理されることになった

これより後
人類の女性に
この素質を表現する義務はない

このイヴ素質の
この世界における最大の表現者である
真実の天使の退場とともに

イヴの歴史は終わる




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イヴ

2014-01-13 08:44:57 | 詩集・空の切り絵

好きになってしまうのが
どうしてもいやだったんです

長い髪が
きれいだった

なめらかな肌は
暖かくて
甘い匂いがした

抱きしめると
とけてくるみたいに
やわらかくなって
おれのこと愛してるっていうんだよ
すっげえかわいい

でも でも
知らなかったんだよ
おれも愛してるって言わないと
ほんとうにとけて消えてしまうなんて

神さま
もう一度 創ってください
おれのイヴ

もう一度 もう一度
創ってください
おれの
かわいいイヴ



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ジャンヌ

2014-01-12 09:02:09 | 詩集・空の切り絵

好きだったから
殺してしまった
おんな

それが にんげんの
いちばんの
十字架です

もっとも 痛い
現実です

イエスを
殺したことは
認めたけれど

にんげん
ジャンヌを殺したことは
まだ認めてないんだよ

た ま ら な い
からさ

おんなのこに
なにしたんだって
いわれるのが

永遠に
あのこのことだけは
思い出したくなかったんだよ



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