世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

カメリア・15歳

2012-01-16 07:46:42 | 画集・ウェヌスたちよ
15歳の誕生日に、お母さんがお菓子を作ってくれたの。
お母さんのお菓子は、甘くておいしいけれど、薬が入ってるから、少し苦い。

「いいこと、カメリア。あなたは15歳だけど、15歳でやれることだけを、やっていてはだめよ。なぜって、あなたは、普通の子ではないんだから。

いつも、今よりもひとつ上のことを、見ていなさい。
どこまでも歩いていって、これ以上歩けないところまで来たら、もう一歩、歩きなさい。
背を延ばしても届かない実を見つけても、あきらめてはだめ。知恵を使って、高く跳べるように自分をなんとかしてみなさい。

あなたはこれから、とても苦しいことを味わわねばならない、使命の子なの。
あまりにも特別だから、人々はあなたを憎むでしょう。
復讐するために来る人だれもが、きっとあなたに嫉妬するわ。
そしてあらゆる苦しみを、あなたに投げつける。
あなたはたくさんの石をぶつけられる。侮辱され、ののしられる。
いないほうがいいのにと、たまらなく冷たい視線で胸を刺される。

いいこと。
これ以上は耐えられないと思っても、いつも、もうひとつ上があることを、信じていなさい。今の自分よりも強い、もう一人の自分が、上にいることを。そしてその自分は、必ず、必ず、それが耐えられるのだと。できるのだと。やれるのだと。

そして、もう、どうしても耐えられないと思ったら、お母さんのことを、思い出しなさい。
いつでも、どこにいても、わたしだけは、おまえのことを思っているから。

カメリア、あなたを、愛しているから」

お母さん、お母さんは、やさしい。そして、厳しい。お母さん、大好き。





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