福田さんがシンガポールからの帰国後の11月22日の読売はその社説のASEAN外交 EPA締結を関係強化のテコにで概略次のように主張している。
・日本と、東南アジア諸国連合(ASEAN)が、経済連携協定(EPA)の締結で最終合意した
・日本は、シンガポール、マレーシア、フィリピンなどASEANの主要6か国や、メキシコなど計8か国とEPAに署名し、一部は発効済みだ。
・日本は韓国との交渉が中断し、農業大国・豪州との交渉も難航している。成長センターのASEANとの経済関係の強化は、人口減社会を迎えた日本にプラスとなる。
・ASEANは、主要6か国が日本からの輸入額の90%以上の製品で、関税を10年以内に撤廃する。ベトナムなども15~18年以内に段階的に関税を撤廃する。
・日本は、ASEANからの輸入額の90%分の関税を即時撤廃し、さらに3%分を5年から10年かけて撤廃する。だが、コメ、乳製品など農産品の一部は対象外とした。農業分野の市場開放に、相変わらず消極的だ。
・日本は、ASEANに日中韓、豪州、ニュージーランド、インドを加えた16か国での「東アジアEPA構想」を提唱している。
・だが、農業の国際競争力を高め、農業を含めたオープンな市場を目指さなければ、構想の実現は難しい。市場開放に伴う痛みに耐えられるよう、農業の構造改革を加速しなければならない。
・ASEANは首脳会談で、2015年までに貿易・投資などを自由化し、域内経済を一体化する「経済共同体」を目指すことで一致した。
・中韓両国やインドなどが、ASEANとの関係を強化している。日本もASEANとのEPAをテコに、戦略的な通商政策を構築しなければならない。
他のブログではこの社説を日本政府へヨイショするものだとコテンパンに書いているものをたまたま見かけたが、その社説に一理あるものもあると思う。
ASEANとの関係強化の中でいうように、工業製品の輸出に頼るしかない日本で一番頭の痛いことは、日本農業の保護の問題だ。
その点から言えば、衰えかけたとはいえなお世界最強の工業力を持つ米国や工業の発展が目覚ましい中国がなどが広大な土地を利用した農業製品の輸出でも有利な立場を利用して、自由貿易を推進するのに対して狭い国土を持つ日本が及び腰なのは致し方ないのかもしれない。
国土の広さと言えば、私がもと住んでいたことのある淡路島ていどの国土しか持たずに頑張っているシンガポールの例を考えて見たい。
(以下一部 Wikipediaの記述を参照した。)
シンガポールは金融、貿易、産業立国だ。
金融では日本、香港と共にアジアの中心だ。
東南アジア・東アジアとヨーロッパや中東、オーストラリアを結ぶ交通の要所であるため、古くから海運産業や航空産業が発達している。
狭い海岸線や付近の島などは工場が林立している。
そのため政府は特に人材育成にも力を入れている。
同国では中国系民族中心の国だが、最近では小学校から全ての授業(数学も理科なども)が英語で行われるので、若い人は皆独特の発音だが殆ど英語が話せる。
小学校4年生から全国一斉の共通学力テストが行われ、普通コース(工員や店員向け)と進学コース(エリート向け)に強制的に分けさせられる。
例として、国際教育到達評価学会(IEA)による理科の成績は、
シンガポール 日本
小学3年 7位 2位
小学4年 7位 2位
中学1年 1位 4位
中学2年 1位 3位
が示すように、日本は全ての生徒の成績であるのに、シンガポールでは小学4年までは一般、それ以後は選抜された生徒の成績だ。
それ以後も進学のたびに全国共通テストが行われ、一定の成績を得たものの他は上級校に進めないようになっている。(普通コースの人も進学の機会は与えられているが、その結果は想像に難くない。)
詰まり選ばれた生徒達が特別の教育を得て第一線で活躍する仕組みになっているのだ。
このように金融、貿易、産業に力を入れる一方、農業はごく一部の人達の家庭菜園くらいの物で、本格的な畑などみたことも無かったように、殆ど全ての食料品は輸入に頼っている。
それどころか、人々や工業の生命線である水もライバル関係にありいつも仲が良いとは限らないお隣のマレーシヤから輸入している始末だ。
外国人の私からみると事が起こったときの危機管理はどうなっているのだろうと思うがシンガポール政府は農業は完全に諦めて、全てを同国の得意分野に力を入れているようだ。
そしてASEAN随一の経済力と東南アジアの中では、無視できない軍事力を背景にして、同地域のリーダーとして近隣各国と友好関係を続けることで食料を確保しょうとしているのだろう。
国内では、社会主義政党の一党独裁のもとで今までの成功してきた実績と、強い言論統制で国民の不安をなんとか押さえているのかも知れない。
一方日本は米国や中国のような広い国土はないし、しかも山に囲まれた狭い農地で集約農業が行われている。
然し、食料自給率はドイツが1965年66%が2002年には91%に向上しているのに比して、日本は(農業政策の失敗などで)73%から40%(2007年も40%)に下がっている。
韓国、北朝鮮、中国など近隣諸国との関係も余りうまくいっていない。
ロシヤも今のプーチンさんのやり方を見ていると100%信頼できない。
それでアジアでなにか紛争が起こったときに、はるか太平洋を隔てた米国やオーストラリヤなどからからの援助を期待するのも不安だ。
また農業を守る為に農産物の輸入を抑え過ぎると肝心の工業製品の輸出にかげりが生じる。
しかもシンガポールと違って日本は自民、民主も頼り無いが独裁国家ではないので、国民を押さえつけるなど論外、国民の支持なしには同国のような思い切った対策も取れない。
残る道は唯一つ、そして決め手ではないが、読売の主張するように、農業団体なとどからの抵抗など万難を排しても農業の生産性を上げ、そして農作物の輸入の圧力を少しでも緩和する位しか出来ないと思う。
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