このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
やまねこデイサービスの事務室に戻ると、NPO法人なごやかの理事長がひどく渋い顔でソファに座っていた。
どうかしたのですかと尋ねると、梅味の飴がすっぱくて、という答えが返ってきた。
実は娘が先日、調理実習で青梅の甘露煮を作ったそうなのだけど、結構うまくできて自信を持ったらしく、次の休みに家で作ってパパにも食べさせてあげるから、と言われてね。
僕は仕事仕事で家に居ることがほとんどなかったので、娘は父親の好物も、食べられないものも、知る機会がなかったのだと思う。
とはいえ、せっかく作ってくれるというのだから、おいしい顔で食べて見せたいじゃない、それで現在は鍛練中なのさ。
飴をなめ、隠れて梅味のポテトチップスを食べ、昨日はそば屋で梅とじゃこの混ぜご飯を注文した。これは結構おいしかったね。
だいぶ慣れてきたけれど、でもまだ顔が引きつるんだよ。
「理事長、声もかすれてますよ。」
調子に乗って冷やかした。
「そう言われるとめげるなあ。ともあれ、当日まで毎日、日の丸弁当の、しかも真ん中を重点的に食べるよ、スマイル、スマイル。」
理事長は人差し指で唇の両端を上げておどけて見せた。
このひとはなぜこうまでして周囲を喜ばせようとするのだろう。
それにしても、お嬢さんは幸せだな、と私は少し妬ましく思った。