このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
好きな花を尋ねられるたび、百合と答える。
好きな小説の中で繰り返し印象的に使われていたからかもしれない。
大切なお客様が来訪される時など、大ぶりのものをやはり大きめの花瓶にたくさん挿してサイドテーブルなどに置いたら、とてもいいもてなしになるだろうなと思っている。
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代助は雨を衝いてまた坂を上った。花屋へ入って、大きな白百合の花を沢山買って、それを提げて、宅へ帰った。花は濡れたまま、二つの花瓶に分けて挿した。まだ余っているのを、この間の鉢に水を張って置いて、茎を短かく切って、すぱすぱ放り込んだ。それから、机に向って、三千代へ手紙を書いた。文句は極めて短かいものであった。ただ至急お目にかかって、お話ししたい事があるから来てくれろと云うだけであった。
代助は手を打って、門野を呼んだ。門野は鼻を鳴らして現れた。手紙を受取りながら、
「大変好い香ですな」と云った。代助は、
「車を持って行って、乗せて来るんだよ」と念を押した。門野は雨の中を乗りつけの帳場まで出て行った。
夏目漱石「それから」より
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長男にダイスケと名付けた。
二日ほどたってから、文字こそ違うものの、その小説の主人公と同じ名前だったことに気づいた。父は相当なうっかり者である。