このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
浦島は軽薄な男だった。
竜宮城での贅沢三昧の暮らしに慣れ切って、元々あまり持ち合わせていなかった謙虚な気持ちをもはやすっかり失くしてしまっていた。
鯛やヒラメの踊りにケチをつけ、乙姫の美貌にすら飽き飽きしたなどと暴言を吐いた。
彼は亀を半ば脅して元いた村まで送り届けることを約束させ、姫に帰郷したい旨を申し出た。
翌日、浦島は亀の背中に乗り、竜宮をあとにした。
乙姫は気分がすぐれないとのことで見送りに現れず、鯛から手土産にと小箱を一つ渡された。
帰るとなると冷たいものだな、と彼は自分のことを棚に上げて少々腹を立てた。
郷里はすっかり変わっていた。
浦島を知るものはもう誰もおらず、親兄弟はすでに亡くなっていた。
浦島は粗末な小屋に独り住んでその日暮らしの生活を続けた。
やっと、遅ればせながら彼の胸に反省というものが湧いてきた。
彼は竜宮城での日々を思い、頭をかきむしった。
毎日浜辺に出てあの亀を捜し歩いたけれど、その姿を見つけることは出来なかった。
浦島はしまい込んでいた箱のことを思い出し、小屋中引っかき回した末につづらの奥から取り出した。
ふたを開けて中を見ると―時が立ち、干からびた小さな心臓が入っていた。
浦島は生まれて初めて、大声を上げて泣いた。