このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
NPO法人なごやかに入職して以来、不思議に感じていた小さな疑問を、私は理事長に尋ねた。
「理事長は200名いる職員の中でたった一人だけ、芦田夏美CMをニックネームで呼んでいますよね、なぜですか?」
なっちのことか、と理事長は苦笑した。
小さなお子さんがいて日勤帯でしか働けないという彼女がグループホームジョバンニに勤めて間もないころのことだ。
入居者様のインフルエンザがうつって休んでいる、と管理者から報告があった。
その二、三日後の夜、仕事がひと段落してから別の入居者様のお見舞いに市立病院へ行った。
正面玄関から入って、ふと右手にある救急外来の方を見ると、ベンチによく似た若い女性が座っている。
近寄って確かめると、やはり芦田さんで、胸元に赤い顔をしたお子さんを抱きかかえていた。
隣りにはお姑さんらしき方が腰かけている。
どうしたの?と問うと、子供にうつしてしまって、と熱で汗ばんだ顔で答えた。
理事長もうつると大変ですから、近づかない方がいいですよ。
ああいう時、どうしたら、どう言ったらいいのだろうね。
申し訳なさで胸がいっぱいになりながら、掛ける言葉が見つからなくて。
僕はお姑さんに深々と頭を下げてその場を離れた。
幸いなことにまもなく二人は無事恢復し、彼女は今もホームで穏やかに勤務している。
僕がなっちをニックネームで呼ぶのは、そうだな、親しみを込めてと言うよりは、あの時の申し訳ない気持ちを忘れないため、あるいは忘れていないよ、というアピール?なのかもしれないね。