このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
「僕は相手の時間を無駄にしていると思われるのがとにかく嫌で、いつも早めに、あっさり退出してくる。長居することはない。じゃあまた、であったり、さようなら、と告げたあとは振り返ることもほとんどない。
『名残惜しい』はその対極で、別れ際の気持ちの切り替えがつかないほど思いが残っているという状態を言う。
日本語にはそのような表現が多くあり、『後ろ髪を引かれる』や『立ち去りがたい』など、趣きを感じさせる言葉ばかりだ。
『名残』の語源は、海や川の波を表わす『波残り』で、波が打ち寄せたあと岸辺に残った水や藻などを指すのだそう。
ある時、忙しい相手への気遣いから、ではそろそろ、と暗に促がしたところ、相手に立つ気配がない。いぶかしく感じながら、また少し話したあと、ではそろそろ、と再度促がしたが、やはり動く様子がない。
僕ははっとした。
相手は名残りを惜しんでいるのだ。
破たんなくきれいにもてなしていたつもりが、最後の場面でこのような心の琴線に触れる無言の所作と思いをいただいてしまい、僕はサヨナラ負けした敗戦投手のようだった。
でも、悪い気分でもなかった。」