このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
NPO法人なごやか理事長にまた図々しくせがんで、アルファヴィルのオーナーとIさん、私は昭和20年代の創業という老舗割烹へ出掛けた。
玄関で靴を脱ぎ、自分で下足箱に入れてから仲居さんの案内で二階に上がると、「蔵王」、「吾妻」など東北の名山の名を冠した個室が並んでいる。
古い一棟ビルだが中は明るく改装されており雰囲気はとても上品だ。
床の間つきの広い個室には高級感が漂っていた。
接待や密談用だね、と女三人で顔を見合わせた。
年配の仲居さんは理事長が下足箱の前で立ち止まっていたのが気になったらしく、なにかお気づきになられましたか、と尋ねた。
好みの番号がないかと思ってね、と彼は88番の札をかざした。
ああ、末広がりでございますか。
お姐さん、よくわかっている、と理事長は愉快そうに笑った。
この夜のお料理も美味しかった。
先付のウニ豆富から始まって、コースの〆は冷やしたゴマだれの丸森米麺だった。
理事長はオーナーを床の間の前に着かせたので、当然のことながら料理はすべて上座から順に配膳され、彼女を一層気まり悪がらせていた。それもまた楽しかったのだが。
先日の料亭同様、会計は席で済ませるシステム。
理事長はお釣りを受け取ると千円札を二枚、すばやく畳んで仲居さんの手の中にすべり込ませた。
またいらしてくださいね、と繰り返し言いながら、彼女は私たちの姿が見えなくなるまで玄関先で見送ってくれた。