このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
日曜日、公休の私はまた喫茶店アルファヴィルで接客を手伝っていた。
新型コロナウイルス流行の影響で以前ほどの客足ではなかったが、それでもオーナーの人柄を慕って変わらず通い続けている常連さんたちに、お店は支えられていた。
表の方で、どしんがらがらがらっという大きな音がして、入り口のドアが揺れた。
オーナーも私も、なにごとかと急いで外へ出てみると、NPO法人なごやか理事長が段ボール箱を抱えたままに倒れていて、にんじんやじゃがいもが舗道に散乱していた。
いててて、年をとってから転ぶとダメージが大きいね。
いったいどうしたのです?とのオーナーの問いに、慌てて起き上がった理事長は顔を赤らめながら答えた。
「小中学校が再度の臨時休校になったため、給食センターへ納めようと大量に仕入れた食材の行き場がなくなってしまった業者から、卸し値で買い取ってくれないか、との要請が僕に来たんです。それで、まとめて引き受けたものはあらかた各事業所へ配分したのですが、こちらにもおすそ分けしようと思い、運んできたところが、やはり一度に運ぶのは無理でしたね。」
それはそうだ。
拾い集めてみると、キャベツとにんじん、じゃがいもが一箱10キロずつに、ベーコン5キロ、ウインナー、つきこんにゃく、れんこん水煮がそれぞれ3キロある。
なんて無茶な。
足を引きずりながら帰ろうとする理事長を私たちは二人がかりで無理やり店内に引きずり入れ、オーナーはいただきもののベーコンを手早く焼いて添えた目玉焼きを彼の前に出した。
とたんに香ばしいかおりが店内に広がった。