ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。

大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。 また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。

ボリューム

2020年06月22日 | 日記

 出張先で時間調整のため、古い雑居ビルの二階にあるビストロに入ってみた。

ランチタイムの終わりまであと5分というタイミングだったので、ドアを開けながらまだ大丈夫ですか?と店内をのぞき込むと、白米は終わっちゃいましたが、ケチャップライスでよければ、と厨房から声が返って来た。

広くない店内には女性が二組と、カウンターになじみ客らしい中年男性が一人。僕はカウンターの反対側の端に座って、本日の魚料理セットをオーダーした。

オーナーシェフが調理から配膳まで一人でこなしており、それでも料理を出すたび必ず一言添えている。

僕の前にはまずトマトの冷製ポタージュが運ばれてきた。

そのあとメインはマグロのフライの夏野菜ソース添え。三枚も?とそのボリュームに驚いていると、ケチャップライスがまた大盛りで、体のわりに小食な僕は内心焦りを感じていた。

テイクアウトの弁当も、そろそろ出なくなってきましてね。

話し好きらしいオーナーが言う。

このライスはお弁当用か。

 先客たちが出て行くと、さらにオーナーはいろいろ話してくれた。

先週、この店をオープンして5周年だったんですが、こんなコロナの状況にか、と恨めしく思いましたよ。

私はSホテル(東北で最初の洋式ホテル)で仕事を始めまして、それから34年間、飽きないように色々メニューを変えながら料理を作っています。

お客さん、初めての方ですが、お味はいかがですか?

「ええ、非常においしいです、ボリュームもあって。」

そう答えると、彼はいい表情で笑った。

ボリューム感は大事にしてるんで。

ぜひまたいらしてくださいね、と名刺を差し出された。

デザートはクリームブリュレと、蒸しケーキにバニラアイスクリームを添えて。コーヒーメーカーのホットコーヒーはセルフサービスで飲み放題とのこと。

この日は客がもう僕一人だったので、オーナーが出してくれた。

これで850円?!

オーナー、大丈夫ですか?という僕の問いかけに、彼は再度快活に笑った。

満腹過ぎてそのあとの打ち合わせに支障が出るほどだったけれど、思いがけずとても楽しいひとときを過ごせた。きっとまた行こう。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする