このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
「当法人には今、活動車が何台あるでしょう?」
机に向かっているNPO法人なごやか理事長に、私は尋ねた。
60台前後かなあ。顔を上げずに彼は答えた。
「では、そのうちで8004番の活動車は何台でしょう?」
45台くらいかも、と理事長はやっと振り向いた。
本当は52台だ。
「昨日、娘と一緒にドラマを観ていたのですが、その中で高校生の男の子が好きな同級生の名前、ナツミにちなんで723番の車のナンバープレートを撮りためて、7月23日、彼が言うには「ナツミの日」に写真の束をプレゼントするというエピソードがありました。
二人はそのあと10年、交際を続けることになるのですが、男の子はその間も変わらず723号を撮影し続けてきた、と悪友にばらされていました。
理事長も、保有するだけでは飽き足らず、8004号の後ろになったりすると、スマホで撮影していますよね?しかも、8005号にすれ違うと、ハズレくじだ、と舌打ちしたりして。
ドラマのエピソードを上回る熱意で8004番を信じているのですね。」
私は少しだけ皮肉のタッチを言葉に込めた。
理事長は顔を赤らめながら言った、「大震災当日、たまたまなのか必然なのか、僕は8004号と行動を共にした。その後の苦しい日々も。裏切られることもあったし、面罵されることもあった。でも、8004号はいつもかたわらに黙ってたたずんでいてくれた。とても救われたね。だからその末広がりの数字を、これからも信じ続けるのだ。誰がなんと言おうと。」