このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
「おかえりモネ」もとうとう今週で最終回を迎える。
ヒロインが東京へ出てとんとん拍子に運を掴むさまを観て、思い出したことがある。
僕が足を踏み入れたアパートの中で最も悲しい気持ちにさせられたのは、大学生のころに知り合った友人が住んでいた三軒茶屋(太子堂)の物件だった。
共用玄関、内廊下、共同トイレの、いわゆる「めぞん一刻」式で、もちろん風呂などない。かろうじて、古ぼけたタイル貼りの流しがついていた。
ある日、その部屋から片手に靴を持って出ようとドアを開けると、折あしく隣人に出くわした。
洗濯物を入れているのか紙の手提げ袋を持ったその人とは目が合ってしまったので軽く会釈したところが、「井浦くん?」と相手が言う。
もう一度よく顔を見ると、小中と同級のコだった。
驚きから立ち直れず、ああ、ハタノさんもこっちに出てきてたんだね、などとマヌケな返答が口から出た。
うなずいた彼女は、僕が手にした靴とドアを交互に見やると、「じゃあ、またね」と笑って部屋の中に消えた。
上京した十代の僕たちのほとんどがまず直面するのが、劣悪な住環境とビンボーだった。
これにめげずに、勉学や目標や夢に邁進する新生活を築くのは本当に容易なことではなかった。
そのあと彼女とは顔を合わせる機会がないままでいるが、どこかで幸せに暮らしていて欲しい。
というか、気仙沼を出て他県・他市町村で暮らしているすべての女性たちが、幸せにすこやかに暮らしていることを、切に切に願ってやまない。