電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

梶尾真治『ダブルトーン』を読む

2015年01月10日 06時04分30秒 | 読書
『つばき、時跳び』をきっかけに読み始めた、タイムスリップ・ラブロマンスを得意とする作家、カジシンこと梶尾真治著『ダブルトーン』を読みました。タイムスリップの要素は、ごく控えめな「二年間」という短距離、しかもサスペンス風味です。『つばき~』の世界とはだいぶ違って、若い二人の恋愛ではなく、子供はまだ小さいけれど、少々倦怠期ぎみの夫婦の物語。一人の主婦が、いきなり別人の記憶を部分的に持ってしまうという不思議から始まります。種明かしは興ざめですので遠慮しますが、犯人は意外なところに、というミステリーの常套パターンはきっちりと踏まえています。ふーむ、カジシンの多様性の一つに、スラップスティックのほかにもう一つ、ミステリーという要素が加わったと言えそうです。平凡社刊、2012年。

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