例年ならば厳しい寒波に襲われることの多い時期に、珍しく穏やかなお天気で迎えた平日の演奏会、山形弦楽四重奏団の第54回定期演奏会を聴きました。山形市の文翔館議場ホールにおけるプログラム、本日の曲目は
の3曲です。
18時30分からプレ・コンサートがありまして、小松崎恭子さん(Fl)と田中知子さん(Vla)のお二人が、ドヴィエンヌの「フルートとヴィオラのための二重奏曲第4番」を演奏しました。フルートとヴィオラという組み合わせの音色がよく合う、楽しい曲でした。
その後で、第2ヴァイオリン担当の今井東子(はるこ)さんが登場、曲目を紹介します。ハイドンのところはよく聞き取れず、モーツァルトはこの日が誕生日だということと、フルートの小松崎さんを紹介しました。ベートーヴェンの曲については、山形弦楽四重奏団としては今回で全曲演奏することになるのだそうで、最後まで取っておいた曲ということになるようです。今井さんの感覚では、この曲は山登りをするようなもので、登頂のあとの景色を見たいとのことでした。途中、何やら前の方で手を挙げていた人もいたようですが、どうやら「第14番を聴いたことがある人」というアンケートだった模様です。残念! 私はこの一週間、通勤の音楽として毎日聴いていたのでしたが、やや後ろの方に座っていたもので、挙手できず。状況を把握しきれていませんでした~(^o^)/
1曲目、ハイドンのロ短調です。この曲は、けっこうお気に入りの曲の一つなのですが、短調なのに暗くないところがいいですね~(^o^)/
山Qの演奏は、出だしこそベートーヴェンの大曲を意識しすぎていたのか、ハイドンの軽みの点でちょいと重かったようですが、徐々に本領を発揮して、気持ちよく聴くことができました。
第2曲目、モーツァルトのフルート四重奏曲です。比較的聴き馴染みのある曲ですので、明るい音色やリズミカルな動き等、水を得た魚のように活発な小松崎さんのフルートと山Qの音楽を楽しみました。
休憩の後は第3曲目:ベートーヴェンの14番、嬰ハ短調の弦楽四重奏曲です。第1ヴァイオリン~第2ヴァイオリン~ヴィオラ~チェロと加わりながら始まる不思議な音の世界。夢遊病の雰囲気というか、ぼやけた幻想の中を歩く心象風景というべきか。途中のロンド風の第2楽章も同様の性格を持ち、活力に満ちた中期のベートーヴェンではありません。ごく短い第3楽章に続く第4楽章は、主題と変奏の形を取り、いちばん長く、ほんとに聴き応えのある音楽です。第5楽章は速いテンポで奏されるスケルツォで、マリオネットの動きみたいだったりガイコツのおしゃべりみたいな響きもあったり。スピーカで再生する音とは違って、ナマのチェロが迫力で響きます。第6楽章、再びぼやけた世界を散策する短い楽章で、最後の第7楽章は力強さのある音楽です。全曲がアタッカで演奏されますので、メンバーの皆さんはおよそ40分間奏きっぱなし。でもフィナーレはベートーヴェンらしい力強さと覚悟の中に終わります。不思議な厳粛さを感じます。
この一週間、通勤の音楽としてずっと聴いておりました。後期の弦楽四重奏曲だからといって、それほど敬遠される曲だとは思いませんし、変化もあり聴き応えのある音楽だと思います。もちろん、若いベートーヴェンが持っていた清新さや、中期の「オレの音楽を聴け!」みたいな強さよりも、わが道を歩んだ結果わけ入ることとなった荒野を歩く孤独な旅人が、深みへ沈んでいくような感じはありますが。実際、ただ一人でしだいに老いていき、病む中で覚悟を決めていくということは、そういうことだろうと思います。
いや~、今回も良い演奏会となりました。メンバーの皆様、お疲れさまでした。おかげさまで、たいへん充実した時間を過ごしました。今井さんの右腕は大丈夫だったでしょうか。小松崎さんを加え、おそらくゴキゲンな打ち上げとあいなったことと思います。
さて、次回は4月下旬の予定で、第55回となります。ハイドンの弦楽四重奏曲ニ長調Op.71-2、フォーレの弦楽四重奏曲ホ短調Op.121に、まだ聴いたことがないオネゲルの弦楽四重奏曲第1番の予定となっています。楽しみです。
- ハイドン 弦楽四重奏曲 ロ短調 Op.33-1
- モーツァルト フルート四重奏曲第4番 イ長調 K.209
- ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 Op.131
(演奏:山形弦楽四重奏団、フルート:小松崎恭子)
の3曲です。
18時30分からプレ・コンサートがありまして、小松崎恭子さん(Fl)と田中知子さん(Vla)のお二人が、ドヴィエンヌの「フルートとヴィオラのための二重奏曲第4番」を演奏しました。フルートとヴィオラという組み合わせの音色がよく合う、楽しい曲でした。
その後で、第2ヴァイオリン担当の今井東子(はるこ)さんが登場、曲目を紹介します。ハイドンのところはよく聞き取れず、モーツァルトはこの日が誕生日だということと、フルートの小松崎さんを紹介しました。ベートーヴェンの曲については、山形弦楽四重奏団としては今回で全曲演奏することになるのだそうで、最後まで取っておいた曲ということになるようです。今井さんの感覚では、この曲は山登りをするようなもので、登頂のあとの景色を見たいとのことでした。途中、何やら前の方で手を挙げていた人もいたようですが、どうやら「第14番を聴いたことがある人」というアンケートだった模様です。残念! 私はこの一週間、通勤の音楽として毎日聴いていたのでしたが、やや後ろの方に座っていたもので、挙手できず。状況を把握しきれていませんでした~(^o^)/
1曲目、ハイドンのロ短調です。この曲は、けっこうお気に入りの曲の一つなのですが、短調なのに暗くないところがいいですね~(^o^)/
山Qの演奏は、出だしこそベートーヴェンの大曲を意識しすぎていたのか、ハイドンの軽みの点でちょいと重かったようですが、徐々に本領を発揮して、気持ちよく聴くことができました。
第2曲目、モーツァルトのフルート四重奏曲です。比較的聴き馴染みのある曲ですので、明るい音色やリズミカルな動き等、水を得た魚のように活発な小松崎さんのフルートと山Qの音楽を楽しみました。
休憩の後は第3曲目:ベートーヴェンの14番、嬰ハ短調の弦楽四重奏曲です。第1ヴァイオリン~第2ヴァイオリン~ヴィオラ~チェロと加わりながら始まる不思議な音の世界。夢遊病の雰囲気というか、ぼやけた幻想の中を歩く心象風景というべきか。途中のロンド風の第2楽章も同様の性格を持ち、活力に満ちた中期のベートーヴェンではありません。ごく短い第3楽章に続く第4楽章は、主題と変奏の形を取り、いちばん長く、ほんとに聴き応えのある音楽です。第5楽章は速いテンポで奏されるスケルツォで、マリオネットの動きみたいだったりガイコツのおしゃべりみたいな響きもあったり。スピーカで再生する音とは違って、ナマのチェロが迫力で響きます。第6楽章、再びぼやけた世界を散策する短い楽章で、最後の第7楽章は力強さのある音楽です。全曲がアタッカで演奏されますので、メンバーの皆さんはおよそ40分間奏きっぱなし。でもフィナーレはベートーヴェンらしい力強さと覚悟の中に終わります。不思議な厳粛さを感じます。
この一週間、通勤の音楽としてずっと聴いておりました。後期の弦楽四重奏曲だからといって、それほど敬遠される曲だとは思いませんし、変化もあり聴き応えのある音楽だと思います。もちろん、若いベートーヴェンが持っていた清新さや、中期の「オレの音楽を聴け!」みたいな強さよりも、わが道を歩んだ結果わけ入ることとなった荒野を歩く孤独な旅人が、深みへ沈んでいくような感じはありますが。実際、ただ一人でしだいに老いていき、病む中で覚悟を決めていくということは、そういうことだろうと思います。
いや~、今回も良い演奏会となりました。メンバーの皆様、お疲れさまでした。おかげさまで、たいへん充実した時間を過ごしました。今井さんの右腕は大丈夫だったでしょうか。小松崎さんを加え、おそらくゴキゲンな打ち上げとあいなったことと思います。
さて、次回は4月下旬の予定で、第55回となります。ハイドンの弦楽四重奏曲ニ長調Op.71-2、フォーレの弦楽四重奏曲ホ短調Op.121に、まだ聴いたことがないオネゲルの弦楽四重奏曲第1番の予定となっています。楽しみです。