文春文庫で、鹿島茂著『レ・ミゼラブル百六景』を読みました。2012年11月に発行された本書は、もともと1987年に単行本として刊行され、1994年に文庫化された後、新装版として改められたものらしいです。
ヴィクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』は、若い頃に何度も読み返し、そのたびに感銘を受けておりましたが、近年はだいぶ遠ざかり、しばらく通読しておりませんでした。本書は、19世紀の木版画による挿絵を題材に、大まかなストーリーを追いながら、版画が語るものを解説しています。例えば、本書の表紙を飾る、幼い子どもが大きなホーキを持って掃除をしている姿を描いた有名な絵は、「第14景 歌わぬ《ひばり》」と題する章で、
という指摘がなされるように、より広い視点から、作品の背景をも知ることができる、という仕組みになっています。
『レ・ミゼラブル』のストーリーを承知している人は、これらのやや小さめの木版画の中に、大きな衝撃と感動を味わうことができるでしょう。うーむ、『レ・ミゼラブル』をまた読んでみたくなりました。
ヴィクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』は、若い頃に何度も読み返し、そのたびに感銘を受けておりましたが、近年はだいぶ遠ざかり、しばらく通読しておりませんでした。本書は、19世紀の木版画による挿絵を題材に、大まかなストーリーを追いながら、版画が語るものを解説しています。例えば、本書の表紙を飾る、幼い子どもが大きなホーキを持って掃除をしている姿を描いた有名な絵は、「第14景 歌わぬ《ひばり》」と題する章で、
人口の急激な増加によって矛盾を露呈しつつあった19世紀前半のフランス社会の暗部に横たわる児童虐待の問題をかなりアクチュアルに浮き彫りにしたものといえる(p.78)
という指摘がなされるように、より広い視点から、作品の背景をも知ることができる、という仕組みになっています。
『レ・ミゼラブル』のストーリーを承知している人は、これらのやや小さめの木版画の中に、大きな衝撃と感動を味わうことができるでしょう。うーむ、『レ・ミゼラブル』をまた読んでみたくなりました。