プロコフィエフの音楽を初めて意識したのは、いつごろ、何の曲だったろう? それは多分、学生時代に図書館のLPレコード貸出サービスで借りた、アイザック・スターン(Vn)、オーマンディ指揮フィラデルフィア管による「ヴァイオリン協奏曲第1番&第2番」のレコードだったのではないかと思います。その後、廉価盤で購入した「ヴァイオリン・ソナタ」の、自由で幻想的な音楽にハマりました。また、「ピアノ協奏曲第3番」や「交響曲第5番」、「チェロ・ソナタ」、「ロメオとジュリエット」、「ピアノソナタ第8番」などにもハマりましたし、近年はバレエ「シンデレラ」を映像付きで楽しむようになりました。ところが、彼の合唱付きの音楽や声楽曲については、ほとんど触れることなく来てしまいました。そんな意識が働いていたのか、たまたま某書店のCDワゴンセールで、カンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」を購入し、しばらく通勤の音楽としてくりかえし聴いております。
このCDというのは、NAXOS の 8.555710 で、イリーナ・ゲラホヴァ(MS)、スタニスラフスキー合唱団、ドミトリ・ヤブロンスキー指揮のロシア国立交響楽団による2002年のスタジオ・デジタル録音です。
第1曲:モンゴル治下のロシア。オーケストラのみで演奏されます。圧政を表すのか、低弦楽器が活躍するのだけれど、残念ながらカーステレオでは充分に再現されません。
第2曲:アレクサンドル・ネフスキーの歌。待望される英雄を讃える歌でしょうか。
第3曲:プスコフの十字軍。これは、ローマ・カトリック教会の東方進出の先兵たるドイツ騎士団でしょう。
第4曲:起て、ロシアの人々よ。力強い、戦意高揚の合唱です。
第5曲:氷上の激戦。ドイツ騎士団との決戦が迫る緊迫感、迫力の音楽ですが、中にはユーモラスな表情も。
第6曲:死人の野。メゾソプラノの独唱と管弦楽で、戦いの後の累々たる屍の光景を悼みます。
第7曲:アレクサンドルのプスコフ入城。勝利に凱旋する讃歌の合唱です。
CDで聴くと、充分ではありませんがロードノイズに負けずに迫力の音楽が展開され、ちょいと興奮してしまいます(^o^)/
Wikipedia 等で調べてみると、この曲はもともとエイゼンシュテインの映画「アレクサンドル・ネフスキー」(1938)のための音楽から、演奏会用カンタータとして改作されたものだそうで、カンタータとしての初演は1939年だそうです。ロシアの中世の英雄が、ドイツ騎士団の侵攻を退けた伝説を描く、せっかくの映画、音楽でしたが、1939年といえばスターリンとヒトラーが独ソ不可侵条約を結んだ年ですので、どうやら冷遇されたらしい。エイゼンシュテインは、スターリンの過ちを認識していたのだろうか? 中世の故事になぞらえて批判したのだろうか? このあたりは不明ですが、ローマ・カトリック教会の東方進出の先兵としてのドイツ騎士団を退け、ロシア正教を保護したということで聖人視される「救国の英雄」を描いた作品が、スターリンのソビエト連邦とヒトラーのナチス・ドイツとの結託を批判する暗喩となって厄介視されるという事情は、なんとも皮肉な状況です。
映画「アレクサンドル・ネフスキー」は、YouTube で全編を観ることができます。白黒の映像は鑑賞にたえるけれど、残念ながら音声は充分とは言えず、当時のプロコフィエフにとっても、音楽的には満足できるものではなかったかもしれません。
Alexandre Nevski (Aleksandr Nevskii) - 1938 - Sergeï Eisenstein - VOSTFR
全編を観るのは時間がかかりますが、一部を観るだけでも作品の雰囲気はよくわかります。例えば次の「氷上の戦い」は、オリジナルの音声ではなく、カンタータの第5曲を映像にあてたものなのかもしれませんが、緊迫感や雰囲気は充分に伝わります。
Alexander Nevsky - "The Battle of the Ice"
こういう作品ほど、映像付きの迫力がものをいう面があります。残念ながら、通勤の音楽にはCDかUSBメモリに仕込んだMP3等の音楽ファイルに限られますが、CD等をきっかけに通勤の音楽で聴き馴染んだ作品を、週末に自宅のPC-audioで映像付きで楽しむというのが、どうやら正解のようです(^o^)/
エイゼンシュテインの映像を観ながらプロコフィエフの音楽を聴くと、短い場面を繰り返し重ねることによって、緊張感やリズムを作り出す手法が、プロコフィエフの音楽でも意図的に使われていることがよくわかります。自宅でそういうこともわかるようになったという意味で、すごい時代になったものです。
このCDというのは、NAXOS の 8.555710 で、イリーナ・ゲラホヴァ(MS)、スタニスラフスキー合唱団、ドミトリ・ヤブロンスキー指揮のロシア国立交響楽団による2002年のスタジオ・デジタル録音です。
第1曲:モンゴル治下のロシア。オーケストラのみで演奏されます。圧政を表すのか、低弦楽器が活躍するのだけれど、残念ながらカーステレオでは充分に再現されません。
第2曲:アレクサンドル・ネフスキーの歌。待望される英雄を讃える歌でしょうか。
第3曲:プスコフの十字軍。これは、ローマ・カトリック教会の東方進出の先兵たるドイツ騎士団でしょう。
第4曲:起て、ロシアの人々よ。力強い、戦意高揚の合唱です。
第5曲:氷上の激戦。ドイツ騎士団との決戦が迫る緊迫感、迫力の音楽ですが、中にはユーモラスな表情も。
第6曲:死人の野。メゾソプラノの独唱と管弦楽で、戦いの後の累々たる屍の光景を悼みます。
第7曲:アレクサンドルのプスコフ入城。勝利に凱旋する讃歌の合唱です。
CDで聴くと、充分ではありませんがロードノイズに負けずに迫力の音楽が展開され、ちょいと興奮してしまいます(^o^)/
Wikipedia 等で調べてみると、この曲はもともとエイゼンシュテインの映画「アレクサンドル・ネフスキー」(1938)のための音楽から、演奏会用カンタータとして改作されたものだそうで、カンタータとしての初演は1939年だそうです。ロシアの中世の英雄が、ドイツ騎士団の侵攻を退けた伝説を描く、せっかくの映画、音楽でしたが、1939年といえばスターリンとヒトラーが独ソ不可侵条約を結んだ年ですので、どうやら冷遇されたらしい。エイゼンシュテインは、スターリンの過ちを認識していたのだろうか? 中世の故事になぞらえて批判したのだろうか? このあたりは不明ですが、ローマ・カトリック教会の東方進出の先兵としてのドイツ騎士団を退け、ロシア正教を保護したということで聖人視される「救国の英雄」を描いた作品が、スターリンのソビエト連邦とヒトラーのナチス・ドイツとの結託を批判する暗喩となって厄介視されるという事情は、なんとも皮肉な状況です。
映画「アレクサンドル・ネフスキー」は、YouTube で全編を観ることができます。白黒の映像は鑑賞にたえるけれど、残念ながら音声は充分とは言えず、当時のプロコフィエフにとっても、音楽的には満足できるものではなかったかもしれません。
Alexandre Nevski (Aleksandr Nevskii) - 1938 - Sergeï Eisenstein - VOSTFR
全編を観るのは時間がかかりますが、一部を観るだけでも作品の雰囲気はよくわかります。例えば次の「氷上の戦い」は、オリジナルの音声ではなく、カンタータの第5曲を映像にあてたものなのかもしれませんが、緊迫感や雰囲気は充分に伝わります。
Alexander Nevsky - "The Battle of the Ice"
こういう作品ほど、映像付きの迫力がものをいう面があります。残念ながら、通勤の音楽にはCDかUSBメモリに仕込んだMP3等の音楽ファイルに限られますが、CD等をきっかけに通勤の音楽で聴き馴染んだ作品を、週末に自宅のPC-audioで映像付きで楽しむというのが、どうやら正解のようです(^o^)/
エイゼンシュテインの映像を観ながらプロコフィエフの音楽を聴くと、短い場面を繰り返し重ねることによって、緊張感やリズムを作り出す手法が、プロコフィエフの音楽でも意図的に使われていることがよくわかります。自宅でそういうこともわかるようになったという意味で、すごい時代になったものです。