電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

Ubuntu18.04jaにLaTeX,emacs,yatexを導入する

2020年03月24日 06時01分53秒 | コンピュータ
1993年頃から実務に使うようになったコンピュータ組版ソフトウェア「TeX/LaTeX」は、仕事上の報告書や専門的な資料を作成するには良かったのですが、定年退職によりそうした資料等を作成する立場を離れると、日常生活ではあまり使いみちがなくなってしまいました。実際、通常の文書は LibreOffice の Writer で充分ですし、お遊びで作成したカレンダーなどは別として LaTeX で書かれた文書のタイムスタンプは最新のものでも2012年あたりで止まっています。今後、助っ人とはいえフルタイムでもう一度昔のように仕事をするとなると、できれば TeX/LaTeX 環境はきちんと整備しておきたいものです。そういえば、プリンタ・ドライバ騒ぎ(*1)で Ubuntu Linux を入れ替えてから、LaTeX を導入していなかったなと思い出し、主パソコンにまず LaTeX の導入から。

せっかくなので、埼玉大学工学部の後藤祐一先生のサイト(*2)をもとに、きちんと導入してみることにしました。以下、手順は自分用の控えです。

まず、LaTeX の導入です。

$ sudo apt-get install texlive-lang-cjk xdvik-ja evince

インストールには741MBの空き容量が消費されると表示され、私の環境でおよそ30分程度の時間がかかりました。apt-get は apt になっているみたいだけれど、なんとなく get をつけたくなるのは昔の習性か(^o^)/

この段階で、既存の .tex ファイルを組版してみると、

$ platex sample.tex
$ xdvi sample.dvi

で、表示も印刷もOKでした。

ここで、テキストエディタ Emacs が必要になりますが、Ubuntu ソフトウェアセンターにたしかあったはず、と思って Emacs を導入、Emacs 用 LaTeX 入力支援環境 YaTeX も大丈夫かとおもったら、つまづきました。Ubuntu ソフトウェアセンターにあるのは古い版の Emacs25 で、現行の YaTeX はより新しい Emacs26 を前提にしているみたい。そこで、Qiitaにある解説(*3)などをもとに、Ubuntu にはない Emacs26 を導入するため、リポジトリを追加し、update して、apt-get install します。

$ sudo add-apt-repository ppa:kelleyk/emacs
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install emacs26

これで、Emacs26 が導入されましたので、実際に立ち上げて、自分自身の環境ファイルを作成し、

C-x C-f ~/.emacs.d/init.el

ウィンドウ間の移動を META(Alt)キー+↑,↓ キーに定義しました。
さらにパッケージ・マネージャー package.el を設定します。以下に示すのは全部の作業が終了した後の init.el ですので、このうち、mozc の設定の前までの部分が出来上がっていることになります。

;; windmove
(windmove-default-keybindings 'meta)
;;; package.el
(require 'package)
;; MELPAを追加
(add-to-list 'package-archives '("melpa" . "https://melpa.org/packages/"))
;; MELPA-stableを追加
(add-to-list 'package-archives '("melpa-stable" . "https://stable.melpa.org/packages/"))
;; Marmaladeを追加
(add-to-list 'package-archives '("marmalade" . "https://marmalade-repo.org/packages/"))
;; Orgを追加
(add-to-list 'package-archives '("org" . "http://orgmode.org/elpa/"))
;; 初期化
(package-initialize)
(custom-set-variables
;; custom-set-variables was added by Custom.
;; If you edit it by hand, you could mess it up, so be careful.
;; Your init file should contain only one such instance.
;; If there is more than one, they won't work right.
'(package-selected-packages (quote (yatex mozc))))
(custom-set-faces
;; custom-set-faces was added by Custom.
;; If you edit it by hand, you could mess it up, so be careful.
;; Your init file should contain only one such instance.
;; If there is more than one, they won't work right.
)
;;; mozc
(require 'mozc) ; mozcの読み込み
(set-language-environment "Japanese") ; 言語環境を"japanese"に
(setq default-input-method "japanese-mozc") ; IMEをjapanese-mozcに
(prefer-coding-system 'utf-8) ; デフォルトの文字コードをUTF-8に
;;; yatex
(require 'yatex) ; yatexパッケージの読み込み
(add-to-list 'auto-mode-alist '("\\.tex\\'" . yatex-mode)) ; auto-mode-alistへの追加
(setq tex-command "platex") ; 組版コマンド
(setq bibtex-command "pbibtex") ; BibTeXコマンド
;; reftex-mode
(add-hook 'yatex-mode-hook
#'(lambda ()
(reftex-mode 1)
(define-key reftex-mode-map
(contact YaTeX-prefix ">") 'YaTeX-comment-region)
(define-key reftex-mode-map
(contact YaTeX-prefix "<") 'YaTeX-uncomment-region)))


ここで、CTRL+x, CTRL+s で設定ファイルを保存します。

次は、 Emacs 上で日本語入力 mozc が使えるようにします。まず、Emacs-mozc を導入します。

$ sudo apt-get install emacs-mozc-bin

次にEmacs を起動し、

M-x package-list-package

によりパッケージマネージャーを起動し、mozc を探します。

一覧中の移動 上へ移動:p 下へ移動:n
インストール:i 削除:d で複数マーク可、 実行:x

ここで

mozc 20180101.800 melpa

を見つけましたので、i (install) をマークし、x で実行すると、operation finished と表示されました。init.el ファイルを開いてみると、mozc が変更したことがわかりますので、(require 'mozc) の行以下を Emacs で追記していきます。文字コードは、Windows との共用を想定して utf-8 とし、C-x C-s で init.el を保存。この時点で、Emacs 上の日本語入力 mozc の切り替えは CTRL+¥ キーになります。

最後に、目的である YaTeX の導入です。開発者の広瀬雄二先生は現在は山形県の酒田市にある東北公益文科大学に在籍のはず。以前、一度お会いしたことがありますが、お元気でしょうか。

Emacs26 でパッケージ・マネージャーから yatex を探し、i(nstall), x(execute) で完了。YaTeX の基本操作は、

C-c t j LaTeX のタイプセット(組版実行)
C-c t d タイプセットし pdf ファイルを作成
C-c t b BibTeX のタイプセット
C-c t p プレビュー
C-c '  エラー行へのジャンプ

あたりでしょうか。カッコの対応など、ちゃんと補完してくれるのが実にありがたい。ここまでできると、LyX は別にいらないかな(^o^;)>poripori

参考までに、作成したサンプル文書のスクリーンショット。クリックすると大きくなります。ブラウザの「←」で元記事に戻ります。



こういう文書が、体裁の心配をすることなく中身を考えるだけでよいので、記法を覚える労力は必要でも、仕事上ではやはり手放せないと痛感します。

(*1):OSごと入れ直したほうが早かった〜「電網郊外散歩道」2020年2月
(*2):論文執筆環境をUbuntu18.04ja上に整える〜埼玉大学工学部、後藤祐一先生のサイト
(*3):Emacsで快適な研究環境を整えよう〜導入編パッケージ&日本語入力編YaTeX & RefTeX 編


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