電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

三連休の仕事できごと備忘録

2013年10月16日 06時01分51秒 | 季節と行事
強い台風26号が接近しています。皆様の被害が極小なことを祈ります。

さて、十月上旬の三連休で、我が家では様々な仕事を行いました。土曜日には、某地域行事に参加し、その足で某祝賀会に参加して、一日つぶれましたが、日曜日からはなんとか自宅の仕事ができました。

(1) 祖母が丹精し収穫したサツマイモの運搬を行いました。
(2) 果樹園のサクランボに、積雪期の枝折れ防止のための支柱を立てました。
(3) ほぼ放置したリンゴのうち、一部摘果していた「紅将軍」が食べられることを発見。
(4) 自宅西側の窓から、夏場の日差しを遮るスダレを撤去しました。
(5) 委託している水田の耕作者に、小作料として玄米を受領した旨の領収書を持参。
(6) 夜には、非常勤で今年から頼まれている大学の授業の準備をしました。

三日間ともお天気に恵まれ、ほとんど全部を片付けることができました。

ちなみに写真は、出先で過日偶然に遭遇したヘリコプターです。なかなかの迫力でした。わざわざ別記事にするほどの内容もありませんので、ここに貼っておきましょう。





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ハイドンの「太陽四重奏曲集」から弦楽四重奏曲第33番ト短調を聴く

2013年10月15日 06時02分03秒 | -室内楽
通勤の音楽に、ハイドンの「太陽四重奏曲集」から、弦楽四重奏曲第33番ト短調、作品20-3を聴いています。もちろん、10月19日(土)に山形市の文翔館議場ホールで予定されている、山形弦楽四重奏団(*1)第49回定期演奏会のための予習です。



聴いているCDは、DENON のクレスト1000シリーズから、COCO-70733~4 という型番のもので、二枚組1,500円というお財布に優しいもの(^o^)。ウルブリヒ弦楽四重奏団による演奏です。添付のリーフレットによれば、作曲年は、1772年と記載がありますから、1732年生まれのハイドンは、ちょうど40歳になります。この時代のハイドンは、後年の優しく穏やかな作風からは意外なほどに、こういう内面的な激しさや憂愁を見せることがあり、この曲集でも顕著に感じられます。おそらく「作曲家が表情を強め、かつ深めようとしている証拠」という大宮真琴氏の指摘のとおりなのでしょう。

第1楽章:アレグロ・コン・スピリト、4分の2拍子、ト短調、ソナタ形式。ト短調の出だしはかなり強い印象があります。そしてこの主題が、全曲を通して曲の性格の一面を強く印象づけているように感じます。いっぽう、もう一つの主題はやや明るい性格を持ち、曲全体が暗鬱な印象となることから逃れているようです。
第2楽章:メヌエット。アレグレット、4分の3拍子、ト短調。メヌエットというにしてはいささか暗い楽章です。曲は前進する活力を持ち、同様に明暗を描き分けますが、全体的には憂愁の色調が支配的で、終わりは結末が明瞭でないままに、自然に次の楽章に移っていきます。
第3楽章:ポコ・アダージョ、4分の3拍子、ト長調。唯一の長調の楽章で、この曲のもう一つの性格が、この楽章のような穏やかな慰めを感じさせるものです。曲全体の中では最も長い演奏時間を要する楽章で、でも、ずっと聴いていたいと思ってしまう、とくに後半部でチェロの歌う旋律がたいへんに魅力的な音楽です。これは、ぜひ生で聴きたい!と強く思ってしまいます。
第4楽章:フィナーレ、アレグロ・モルト、4分の4拍子、ト短調。大宮真琴氏の言葉を借りれば「ソナタ形式の枠組みの中に対位法的な書法のタッチを盛り込」んだ緊密さを持った短い楽章で、最後はフッと消えるように終わります。これも、印象的な終結です。

1970年の4月に、ドレスデンのルカ教会で収録されたアナログ録音で、制作は Heinz Wegner、録音担当が Horst Kunze、ドイツ・シャルプラッテンによるもの。DENON はオイロディスク社からライセンスを得たもののようです。ウルブリヒ弦楽四重奏団は、ドレスデンのシュターツカペレのメンバーによって組織されたもので、レコード会社の宣伝政策上は地味な存在ですが、演奏は見事なものだと感じます。

参考までに、CDに記載された演奏時間を示します。
■ウルブリヒ弦楽四重奏団
I=4'04" II=4'35" III=7'00" IV=2'40" total=18'19"

(*1):山形弦楽四重奏団公式ブログ

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スリップシール機構をもってしても乾燥する場合はあるか

2013年10月14日 06時19分35秒 | 手帳文具書斎
落っことして故障したブルゴーニュ万年筆はただいま修理依頼中。万全の状態で戻ってこれるように祈りつつ、頭の中であれこれと万年筆談義をしております。

さて、乾燥しにくいスリップシール機構をもってしても、ペン先が乾燥して書けなくなってしまうということがありうるか?これは、古典ブルーブラックインクを愛用する者にとっては、きわめて重大な結果をもたらしますので、本質的な問いになりえます。

充分な量のインクが補充されていれば、数ヶ月程度で乾燥することは考えにくいのですが、インクタンクが空の状態で放置したら、あり得るのではないか。実際、プラチナの#3776ブルゴーニュを購入する以前に、同社の廉価万年筆プレッピー(プレピー?)で、こういう状態を経験し、あやうく書けなくなるところでした。あわてて水洗いして復活しましたが、過信は禁物だと痛感しました。

結論:スリップシール機構は、インク量が充分にあれば効力を発揮するが、インクがなくなってしまえば乾燥を防ぐことはできないのでは。過信せず、インク残量に注意を払うべきだろう。



写真は、過日、偶然に交差点の信号待ちで遭遇した仙台フィルハーモニーのトラック。どこか演奏旅行の途中なのでしょうか。トラック野郎でなくても思わず目を引く車体塗装です(^o^)/

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宮城谷昌光『楽毅(一)』を読む

2013年10月13日 06時03分38秒 | -宮城谷昌光
風邪で寝込んだ床の中で、宮城谷昌光著『楽毅(一)』を再読しました。

戦国時代の中期、中国が統一される前に、河北に中山という国があり、宰相の子・楽毅は斉の都である臨淄に学びます。下級役人である田氏を友とし、孫子の兵法や季梩の法などを修めつつ、本当に身になったのは、大都市における孤独を味わい、自らの生き方を考えたことでした。

故国の中山は、武のみを尊ぶ独善的な王により、拙劣な外交しか行えず、孤立して諸国の支援さえ受けられぬままに、趙の武霊王の侵略を受けています。楽毅は、留学先の斉を離れる前に、孟嘗君と会見し、中山を救うべく中山と斉の同盟を訴えます。両国の国民感情から、この同盟の実現は難しいものの、孟嘗君の知遇を得たことは大きかった。帰国してから、中山の太子が聡明であることを知りますが、王は太子を殺し別の公子を後嗣としたいと考え、太子と楽毅を魏に派遣します。魏との交渉はうまくいかず、太子と楽毅は帰途に中山王の内意を受けた暗殺者の襲撃を受けますが、楽毅の武勇と知略、砦を守る騎兵の龍元の登場などで危機を脱し、二人は互いに信頼を深めます。

一方、趙の武霊王は国を挙げて胡服騎射を決断、中山を含む北方の征服に決意を示します。中山王は太子に騎馬軍を預けますが、実はこれは、城を出て戦う騎馬軍の将は戦死の可能性が高いという、陰険な思惑が背後にありました。太子は楽毅を副将に任じ、彼の戦略を信頼します。楽毅は、小邑の住民を避難させ、その中に騎兵を充満させて門を閉じます。趙軍は小邑を無視し、後方から中山の正規軍が攻撃することに備えていました。ところが、夜、ひそかに邑門を出た太子の騎馬軍五千は趙の後軍三万を襲います。趙の太子章は逃げ、武霊王は将軍趙紹を呼び、右軍を中山の騎馬軍に向けます。逃げる中山の騎馬軍を追った趙軍は、楽毅の策にはまり、みじめな敗戦を喫します。

敵の見事な策に武霊王は瞠目し、中山の太子の存在を再認識するとともに、背後に孟嘗君の存在を意識しますが、まだ楽毅のことは注目しておりません。それは、楽毅自身が、その名を伏せた方が良いという判断があったからでした。一年間、ひそかに中山の内情を探り、用心すべきは太子と宰相の楽氏の動向という判断をもって、武霊王は再び趙軍を中山攻略に向けます。しかも、今回は三方からの侵入です。楽毅は父と太子と離れ、井徑の塞で趙与の軍を迎え撃ちます。この攻防はまことに読み応えがありますが、いかにも孤立無援の戦いで、中山は趙に四つの邑を献ずることで停戦を図ろうとします。



華やかな恋愛模様など皆無に近い、浮ついたところがないという点で、まことに男性的でストイックなお話です。でも、読んでいて気分はたいへんよろしい。爽快感があります。

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免許証と名刺とメモ用紙を一緒に持ち歩くには

2013年10月12日 06時03分37秒 | 手帳文具書斎
上着を着ないことが多い夏場には、運転免許証と名刺を一緒にして革製の免許証ケース(*1)におさめ、ワイシャツの胸ポケットに入れています。たいていはシステム手帳を持参していますので、とっさのメモも取れるのですが、たまたま手帳を持っていない時に、急にメモする必要に迫られました。筆記具は、アルミ軸のパワータンク・スマートかジェットストリームのラバー軸などを身につけていますので、なんとか大丈夫なのですが、メモを取る紙がない!名刺の余白になんとかかんとかメモをして事なきを得ましたが、こういう事態もあるのだな、と今更ながら反省しました。

紙がな~い!

なんだかトイレで叫んでいるような事態ですが(^o^;)、ではどういう対策があり得るか?

厚手の免許証入れに名刺と小型のメモ帳を入れておく、という対応も考えられますが、ワイシャツの胸ポケットに、あまり大げさなものは似合いません。あくまでも軽薄短小なものでありたいところです。緊急時に大量のメモというのは考えにくく、たぶん名刺サイズの白紙の情報カードを1~2枚、免許証の裏側あたりにしのばせておくことなどが現実的な対応なのでしょう。

(*1):Jetstreamの三色ボールペンと一緒に免許証入れを購入~「電網郊外散歩道」2008年2月
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再び「カトルセゾン」のケーキを購入する

2013年10月11日 06時05分16秒 | 散歩外出ドライブ
過日、出先でふと思い立って、先頃いたく感激した洋菓子店「カトルセゾン」(*1)を再訪し、こんどはショートケーキを購入して帰りました。早めに帰宅すると、あいにく妻も娘も出かけており、老母は畑に出かけている様子でしたので、ちょいと「オアズケ」。でも、待っていてもなかなか帰って来ないので、コーヒーと一緒に、イチゴのタルトをお先にいただいてしまいました!いや~、実に良いお店を知りました。

某オーケストラに所属する、都会育ちの弦楽器奏者の方々(*2)は、田舎の山形県の地酒をこよなく愛好し、田舎育ちの中高年オジサンは都会的でハイカラな洋菓子を発見して喜んでいるのですから、世の中は全くおもしろいものデス(^o^)/
いやいや、そのような趣味嗜好の多様性こそ、平和で幸福な生活の証左なのデス(^o^)/

(*1):「カトルセゾン」にロールケーキを買いに行く~「電網郊外散歩道」2013年9月
(*2):お酒の話し(山形県)カテゴリー~「中爺通信」
(*3):「お酒の備忘録」カテゴリー~「らびおがゆく Vol.3」

本日は花の金曜日ですので、お酒の情報と薀蓄をリンクして備忘としてみました(^o^)/

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ブルゴーニュ万年筆を落っことし修理を依頼する

2013年10月10日 06時01分02秒 | 手帳文具書斎
過日、大学の教室(*1)で、愛用のプラチナ#3776ブルゴーニュ万年筆を転がして床に落っことしてしまいました。幸い、キャップを閉めたままでしたので、ペン先が曲がるといった事態は避けることができ、外観も異状がありませんでした。ところが、どうも書いているうちにインクが途切れてしまうのか、途中でかすれてしまいます。これは大変と、プラチナ社のウェブサイトから電話番号を調べ、状況を説明して問い合わせたところ、販売店を通じて修理を依頼してほしいとのことでした。期間はおよそ一ヶ月ほどかかるそうです。さっそく行きつけの文具店に持参し、修理を依頼しました。最近は最も頻繁に愛用していたのに、しばらくは使うことができず、残念無念!

自宅やオフィスのデスクと比べて、大学の教室の教卓は、ごく狭いのですね。資料を広げてノートパソコンをセットしているうちに、机上の万年筆を落としてしまったもので、使わないときはクリップでファイルに留めるか胸ポケットに入れるようにすればよかったと、深~く反省したところです。

写真は、購入直後(*2)のもの。

(*1):某大学から非常勤講師を依頼される~「電網郊外散歩道」2013年9月
(*2):プラチナ万年筆#3776ブルゴーニュ(F)を使ってみる~「電網郊外散歩道」2013年8月

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山響モーツァルト定期第20回で演奏会形式の「フィガロの結婚」他を聴く

2013年10月09日 06時02分39秒 | -オーケストラ
風邪で寝込んだために、少々間があいてしまいましたが、山形交響楽団によるモーツァルト定期「アマデウスへの旅」第20回で、交響曲第32番と演奏会形式の「フィガロの結婚」(ハイライト)のレポートです。記憶が曖昧だったり誤りを含んだりというのは、たぶん風邪による発熱のせいで、脳ミソが少々変性したせいでしょう(^o^;)>poripori

私は土曜出勤でしたので、山形テルサホールで妻と待ち合わせをしました。最初は駐車場側で待っていたのですが、待ち人はなかなか来らず、偶然に うに さんとお会いして、山形産業技術短期大学校の校歌作曲のお話などをうかがいました。その後、妻に電話して、待ち合わせ場所を入口側に変更し、ようやく合流。プチ「君の名は」現象です。

さて、一曲目は、交響曲第32番。10分弱の小さな交響曲で、楽譜には珍しくppやffの指定などもあり、ほんとにモーツァルトの曲?という疑問もあるのだとか。
楽器の配置は、ステージ向かって左から、第1ヴァイオリン(9)、チェロ(6)、ヴィオラ(6)、第2ヴァイオリン(8)の対向配置、ただし、コントラバス(3)は、正面奥ではなくて、今回は左手後方に位置します。これは、おそらく合唱団の配置の関係でしょう。管楽器は、正面奥にフルート(2)、オーボエ(2)、その後方にホルン(2)、クラリネット(2)、ファゴット(2)、その右手にトランペット(2)とティンパニ、というものです。

休憩の後、演奏会形式の「フィガロの結婚」(ハイライト)です。このオペラは、映像付きのヴィデオディスクで観ても、「楽しいけれどいささか長い」作品です。それをコンパクトに楽しく演奏しようという意図と見ました。

思わずワクワクするような「フィガロの結婚」序曲は、活き活きとした山響の音、そして澄んだ響きをよく表すものでした。
続いて登場する語り手は、純白のドレスを着た山形放送の青山友紀アナウンサー。これが実に「フィガロ」の語りの雰囲気にぴったりです。語りの中で、飯森さんが突然後ろを振り向いて、フィガロの気分で「倍返しだ!」と叫んだり、青山さんが「じぇじぇじぇ!」とびっくりしたりと、今年の流行を巧みに取り入れて、オペラ・ブッファ(喜歌劇)らしいコミカルさを出しておりました。
曲や場面の中では、ケルビーノ役の村松稔之さんのカウンター・テナーにびっくりです。通常はメゾソプラノで歌われるかと思いますが、「恋とはどんなものかしら」なども、たしかに少年のイメージで、これなら成長してドン・ジョヴァンニになってもおかしくなさそうです(^o^)/
森雅史さんのフィガロと萩原潤さんの伯爵、中川恵美里さんのスザンナと安藤赴美子さんの伯爵夫人との二重唱など、ほんとに素晴らしかった。中川さんの清新なスザンナはたいへん印象的でした。合唱の中から出てきて歌った、村娘役の真下祐子さんらの地元陣も、良かった~。そして、いつもながら合唱の見事なこと!ほんとに楽しみました。

ファン交流会での出演者スナップです。





体調はあまり良くなかったけれど、せっかくの楽しい演奏会の後ですので、夕食を食べていきましょうということで、会場のすぐ近くのリストランテで食事をして帰りました。




そうしたら、翌朝から発熱!最高で37.8℃でしたので、普通の風邪だと思いましたが、とにかくひたすら寝て……

ようやく復活しました(^o^)/

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今日は山響モーツァルト定期で演奏会形式の「フィガロの結婚」ほか

2013年10月05日 06時02分24秒 | クラシック音楽
一日また一日と秋が深まる十月の土曜日、当方は残念ながら半日出勤日ですが、午後からはなんとか時間が作れそうです。良かった~!

というのは、本日は山形交響楽団のいわゆるモーツァルト定期こと「アマデウスへの旅」が予定されており、16時から山形テルサホールにて、

モーツァルト:
交響曲 第32番 ト長調 K.318
歌劇「フィガロの結婚」K.492(演奏会形式 抜粋)
 飯森範親 指揮、山形交響楽団
 スザンナ:中川恵美里
 フィガロ:森 雅史
 ケルビーノ:村松 稔之
 伯爵:萩原 潤
 伯爵夫人:安藤赴美子
 合唱:山響アマデウスコア

というプログラムで演奏されることになっています。

これは、今年のモーツァルト定期の中でも、とくに楽しみにしているものです。妻はやや風邪気味、私も少し咳が出る可能性がありますが、なんとか皆さんの邪魔になりにくい席を確保し、のど飴を充分に用意して出かけたいと思います。いつかみたいに、こわ~いお客さんに後ろを向いてジロリと睨まれたりすることのないように祈りつつ(^o^;)>poripori

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「もともとそういう人だったのだろう」という見方

2013年10月04日 06時01分03秒 | -宮城谷昌光
このところ、宮城谷昌光作品を一気に再読しています。なかなかおもしろいです。
ところで、項羽と劉邦の二人については、乱暴で戦に強い項羽と、戦は弱いが人徳のある劉邦という見方が通り相場なのでしょう。ところが劉邦は、偉くなると昔の仲間を次々に粛清していきます。その理由を後からあれこれと考え、そうするしか仕方がなかったのだと弁護する、いわば英雄という結論にそった描き方もありますが、逆に「もともとそういう人だったのだ」という描き方もできます。

後者の典型が、宮城谷昌光の『香乱記』でしょう。こちらは、滅亡する側の田氏三兄弟を描くなかで、劉邦の詐欺・卑劣を描き出します。こうなると、後年の粛清は「もともとそういう人だったのだ」と理解することができます。

「高い地位に登った英雄なのだから、きっと立派な人物だったのだろう」という発想は、勝者の立場に立った見方であって、英雄は立派な人物とは限らない。「非道な者であるがゆえに、歴史の谷間に転落しなかったのだ」という見方は、たぶん勝者・敗者いずれの側にも与しない、冷静な見方なのでしょう。

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商品について知る機会~文房具の場合

2013年10月03日 06時02分44秒 | 手帳文具書斎
インターネットが普及する以前は、商品について知る機会があまりありませんでした。実際にお店で実物を見るか、または分厚いカタログ等を見せてもらい、商品について知るのがせいぜいで、定番の商品を使うことで満足しておりました。

ところが、インターネット時代になると、様相はがらりと変わりました。キーワードで検索すれば、数多くの候補が画像付きで並びますし、通販で素早く入手することもできてしまいます。また、メーカーのサイトを訪れれば、製品カタログにも様々な工夫がなされ、価格別や用途別など、目的の製品に素早く到達できるように工夫が凝らされています。

例えば、パイロットののウェブサイトで、A5判サイズのノートカバーについて調べてみた(*)ところ、商品番号NYNC01-130-R(赤)というものがあることを知りました。これは、ナイロン製のマルチノートカバーで、A5判ノート二冊を収納し、ファスナーポケットやポーチに小物を収納し、ペンを差して表紙を留めるというスタイルです。コクヨのシステミックSYSTEMICやキングジムのレザフェスLezaface等とはまた違った製品のようです。1,365円。



こういう製品の存在は、これまでは知る機会があまりなくて、お店が実物を置いてくれないかぎり、触れることはできませんでした。今は、このように幅広い製品の存在を知ることができ、また通販等で入手することもできます。ネット時代の恩恵であるとともに、地方の文具店にとっては、むしろ脅威であることは間違いありません。

(*):ナイロンシリーズ マルチノートカバー~Pilotの製品情報のページ
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A4判の書類を軽快に持ち運ぶには

2013年10月02日 06時04分26秒 | 手帳文具書斎
出張などに限らず、ちょっとした文書を持参して出かける機会はけっこう多いものです。昔も今も、分厚いファイルを持ち運ぶのはかさばり、重い荷物になってしまいます。必要なのはわずか数枚の文書(書類)だけ、というのが大半です。必要な書類だけを軽快に持ち運ぶには、例えばこんな方法がありました。



左から、
(1) A4判の簡易なファイルにおさめて運びます。枚数が少なければクリアファイルが普通ですが、写真は20枚くらいは可能なリヒトのウーパー・ファイル。書類カバン等に入れて運びます。
(2) A5判のクリアファイルに、二つ折りにして入れ、セカンドバッグに入れて持ち運びます。写真のファイルがずいぶん可愛らしいのは、以前、倉敷の大原美術館で購入した泰西名画シリーズのものだからです。
(3) 三つ折りにした文書を角封筒などに入れて、スーツの内ポケットにしのばせて持ち運びます。先日購入した「オレッタ」は、セカンドバッグには良いけれど、内ポケットにしのばせるにはちょいとデカすぎるようです(^o^;)>poripori

「オレッタ」が上着の内ポケットにはデカすぎるというのは、車のシートベルトを締めたときに痛感します。なんだかじゃまっけです。使用済の角封筒ではあまり感じたことがないのですが、素材が厚いのでかなりの重さもあります。これは、セカンドバッグに入れて持ち運ぶのがよろしいようです。

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伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』を読む

2013年10月01日 06時01分50秒 | 読書
新潮文庫で、伊坂幸太郎著『フィッシュストーリー』を読みました。fish story とは、釣り師の手柄話から来るものだそうで、「ほら話」という意味とのことです。なんともはや、釣り師の方々には不名誉なことですが、辞書にそうあるのですから、仕方がありません。中身のほうは、次の四編があつめられています。

1. 動物園のエンジン
2. サクリファイス
3. フィッシュストーリー
4. ポテチ

最初の「動物園のエンジン」というのは、ちょいと不思議な感覚の小編。次の「サクリファイス」は、たぶん宮城県の七ヶ宿町あたりから山形県の上山市方面に抜ける、羽州街道金山峠ルートあたりを舞台にした話でしょうか。これはミステリー風でおもしろい。辺鄙なローカル性をどう活かすか、という課題に、「人を隠す」という解を提出した話。でも、昔から平家の落人伝説とか、ナントカ上皇の隠棲伝説とか、山奥に隠れる話はたくさんありますので、新規性は薄いのですが(^o^;)>poripori

三編めの表題作「フィッシュストーリー」は、初読時は構造というか、時間的な関係がよく理解できませんでした。少し整理すると、
(1) 二十数年前……独身の大学助手が、友人の小学校教諭と、あるロックバンドの最後の録音を話題にします。実家から野菜をもらって帰る時にその曲を流していたら、間奏の途中で長い無音の状態がある。たまたまそこで女性の悲鳴が聞こえ、車を停めて林間を探すと、女性を暴行しようとしている現場に遭遇します。途中で拾った木の枝が、どうやら決め手だったようです。
(2) 現在……どうやら、その女性と助けた男性が結婚して、生まれたのが瀬川氏らしい。正義の味方になるには、職業や肩書きではなくて、強い肉体と動じない心を身に付ける準備こそが必要だ、と父親に教えられた息子は、体を鍛え、護身術や格闘技をマスターします。それが、ハイジャックの鎮圧の準備になったとは。
(3) 三十数年前……発端となった曲の事情が明かされます。ロックに日本語の歌詞をかぶせるのに、歌詞と旋律を韻を踏むように同調させるのではなく、話すようにそのまま歌うというやり方の実験的なロックバンド。たしかにありましたね、そういう時代が。
(4) 十年後……ハイジャックを鎮圧した瀬川さんの隣に座っていた橘さんが、どうやらネットワークのセキュリティ上の問題を発見し警告したために、いわば「世界を救った」のだそうです。

ふーむ、風が吹いて桶屋が儲かったレベルではなく、アマゾンで一羽の蝶が羽ばたいたらアメリカ南部でハリケーンが発生するレベルでしょうか。いやいや、ロックバンドの最後の録音で生じた無音部が女性への暴行を防ぎ、ハイジャック犯を鎮圧し、ネットワークと世界を救う話です。たしかに壮大な「フィッシュストーリー」です(^o^)/

四編めの「ポテチ」は、なんとものどかな空巣の話。こういう味も、悪くありません。

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