レコードやCDでは、有名大家の定評ある演奏を聴く楽しみがありますが、一方で実演ではなかなか聴くことが難しいレアな曲目を、世界の様々な演奏家により楽しむことができます。たとえば、今の季節に通勤の音楽として聴いている、コルンゴルトの「ヴァイオリン協奏曲」です。
Wikipedia によれば(*1)、コルンゴルトという作曲家は、1897年に、ウィーンの高名な音楽評論家の次男として誕生し、幼少時より音楽の才能を発揮するとともに、Erich Wolfgang Korngold のミドルネームが示すように、作曲においても天才とうたわれます。
ユダヤ系の彼は、1934年にハリウッドで映画音楽に携わったのをきっかけに、1938年のナチスドイツのオーストリア併合を逃れてアメリカに亡命、ハリウッドで映画音楽を書きながら生活するようになります。なるほど、コルンゴルトの音楽がいかにもハリウッド風というよりも、ハリウッド風の映画音楽はコルンゴルトによって創られたと言ってよいのでしょう。
第二次大戦後は、十二音技法など前衛音楽が席巻する中で、1970年代に再評価が始まるまで、彼の音楽は忘却されてしまったようです。しかし、1945年に作曲され、ハイフェッツが愛奏したというこのヴァイオリン協奏曲は、いささかハリウッド風ではありますが、まさしく二十世紀のヴィルトゥオーゾの時代に相応しい名曲のように思います。
第1楽章:モデラート・ノビレ、ニ長調、ソナタ形式。
第2楽章:ロマンツァ、ト長調。
第3楽章:アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ、ニ長調、ロンド・ソナタ形式。
幸いに、時津英裕氏(Vn)と九州交響楽団による日本初演の録音も残っており、ネット上で公開(*2)されているようです。
ところで、1946年にコルンゴルトが映画音楽から足を洗う時の台詞(*3)が、何とも言えないものです。
うーむ。映画を愛する方々ならば激怒しそうな発言ですが、ハリウッドの黄金期を支える屋台骨であった作曲家の言葉だけに、思わず考え込んでしまいます。つまらない映画もあるけれど良い映画もある。「映画が」ではなく「会話が」というところが救いです。
CDは、ナクソスの 8.553579 というもの(*4)で、コルンゴルトとゴルトマルクのヴァイオリン協奏曲集です。Yu Long(裕龍) 指揮ラズモフスキー・シンフォニアの演奏で、独奏ヴァイオリンは Vera Tsu という上海生まれの女性ヴァイオリニスト。1980年にジュリアード音楽院に渡り研鑽を深め、2000年からは北京中央音楽院のヴァイオリンの教授をつとめており、このコルンゴルトの協奏曲は彼女の代表盤のようです。
■Vera Tsu 盤
I=9'25" II=8'27" III=7'12" total=25'05"
YouTube にも、ヒラリー・ハーンやルノーカプソンらが演奏した映像がありました。
Hilary Hahn - Korngold - Violin Concerto in D major, Op 35
コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 op.35|ルノー・カプソン|WDRシンフォニアー・オーケストラ|クリスティアン・マセラール
(*1):エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト~Wikipediaの記述
(*2):時津英裕(ヴァイオリン)思い出の録音集~MP3形式による
(*3):エーリヒ・ヴォルグガング・コルンゴルト~早坂隆志さんの記述
(*4):外出先で文庫本と音楽CDを購入したこと~「電網郊外散歩道」2012年1月
Wikipedia によれば(*1)、コルンゴルトという作曲家は、1897年に、ウィーンの高名な音楽評論家の次男として誕生し、幼少時より音楽の才能を発揮するとともに、Erich Wolfgang Korngold のミドルネームが示すように、作曲においても天才とうたわれます。
ユダヤ系の彼は、1934年にハリウッドで映画音楽に携わったのをきっかけに、1938年のナチスドイツのオーストリア併合を逃れてアメリカに亡命、ハリウッドで映画音楽を書きながら生活するようになります。なるほど、コルンゴルトの音楽がいかにもハリウッド風というよりも、ハリウッド風の映画音楽はコルンゴルトによって創られたと言ってよいのでしょう。
第二次大戦後は、十二音技法など前衛音楽が席巻する中で、1970年代に再評価が始まるまで、彼の音楽は忘却されてしまったようです。しかし、1945年に作曲され、ハイフェッツが愛奏したというこのヴァイオリン協奏曲は、いささかハリウッド風ではありますが、まさしく二十世紀のヴィルトゥオーゾの時代に相応しい名曲のように思います。
第1楽章:モデラート・ノビレ、ニ長調、ソナタ形式。
第2楽章:ロマンツァ、ト長調。
第3楽章:アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ、ニ長調、ロンド・ソナタ形式。
幸いに、時津英裕氏(Vn)と九州交響楽団による日本初演の録音も残っており、ネット上で公開(*2)されているようです。
ところで、1946年にコルンゴルトが映画音楽から足を洗う時の台詞(*3)が、何とも言えないものです。
「ぼくは昔は英語がわからなかった。でも今は映画の中の会話が分かるんですよ。」
うーむ。映画を愛する方々ならば激怒しそうな発言ですが、ハリウッドの黄金期を支える屋台骨であった作曲家の言葉だけに、思わず考え込んでしまいます。つまらない映画もあるけれど良い映画もある。「映画が」ではなく「会話が」というところが救いです。
CDは、ナクソスの 8.553579 というもの(*4)で、コルンゴルトとゴルトマルクのヴァイオリン協奏曲集です。Yu Long(裕龍) 指揮ラズモフスキー・シンフォニアの演奏で、独奏ヴァイオリンは Vera Tsu という上海生まれの女性ヴァイオリニスト。1980年にジュリアード音楽院に渡り研鑽を深め、2000年からは北京中央音楽院のヴァイオリンの教授をつとめており、このコルンゴルトの協奏曲は彼女の代表盤のようです。
■Vera Tsu 盤
I=9'25" II=8'27" III=7'12" total=25'05"
YouTube にも、ヒラリー・ハーンやルノーカプソンらが演奏した映像がありました。
Hilary Hahn - Korngold - Violin Concerto in D major, Op 35
コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 op.35|ルノー・カプソン|WDRシンフォニアー・オーケストラ|クリスティアン・マセラール
(*1):エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト~Wikipediaの記述
(*2):時津英裕(ヴァイオリン)思い出の録音集~MP3形式による
(*3):エーリヒ・ヴォルグガング・コルンゴルト~早坂隆志さんの記述
(*4):外出先で文庫本と音楽CDを購入したこと~「電網郊外散歩道」2012年1月